Best Engine vol.5
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打って、「ストゥーパ 〜新卒塔婆小町〜」という舞台に取り組んでいます。この舞台は「卒塔婆小町」※5の物語をもとに私自身で脚色台本を書いたものです。題材は仏教色の濃い古典作品ですが、原作を読み込んでいくうちに、これはキリスト教をはじめ、様々な宗教の教えと重なる感覚になりました。日本でいう“幽玄”の観念は、表現としての“通訳”ができさえすれば、より広く世界と共有できるという思いがあります。その一つのアプローチとして、ヨーロッパの楽器を使って、アジアの観念をうまく伝えられないかと考えました。例えば西洋では、音はより正確に奏でるという指針で、楽器の改良が進み、音楽もより多声的に展開的に大編成となり、複雑に入り組みながらも調和を目指しました。和楽器の場合は、例えば尺八なら、大きさ太さも一つひとつ異なる生の竹です。他に一つとしてない。息づかい一つで精神世界を表現し、より内面的な世界を与えてくれます。菊地 ITの世界では今は“オープンイノベーション”という言葉が飛び交っていて、日本の多くの会社で、「イノベーション」という言葉を冠した組織が次々に立ち上がっています。そして皆さん、IoT※6や人工知能を使って何か新しいことをやろうと考えています。 しかし、イノベーションというのは本来、手品のように何か全く新しいものを作り出すことではないんですね。既にあるものを分解し、新たな技術や視点を入れて再構築することです。そういう意味で西本さんの舞台はまさにイノベーションですし、そのように、これまであったものにしっかりと目を向けて、新たな命を吹き込むような仕事こそがとても重要になっていると感じます。“幸せ”が何よりも大切西本 今、社長がおっしゃったことにとても共感します。科学や技術がものすごいスピードで変化し次々と新しいものが生まれていく現在だからこそ、先人たちの素晴らしいものを見直して、復刻することによって、次の一歩の歩き方が変わってくるのかもしれないと思っています。菊地 新しいことが求められる時代ですが、会社の商売という点で言うと、売上の最も大きな部分は基本的には従来型の商売なんです。CTCグループで言えば、お客様から委託を受けてのシステム構築や、ハードウェア/ソフトウェアの販売・保守です。でも、その中で新しいことに取り組んでいくことは

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