Best Engine vol.5
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14RPAとは 「RPA」とは、Excelやブラウザから基幹システム、クラウドまで様々なアプリケーションを横断して行うPC操作を、愚痴をこぼさず、正確かつ高速に何時間でもこなす「ソフトウェアロボット」です。RPAが得意とするのは、逐次、一定の判断の元で、繰り返されるPC操作を伴う事務処理です。ある程度の柔軟性を求められる作業に対しても適応力は高く、状況に応じて作業内容を変更できるため、幅広い業務に適応できる可能性を秘めています。 現在は、主にバックオフィス業務を代行し業務効率化に寄与する技術として注目を集めていますが、一部の先進企業ではECサイトの販売促進や競合分析等、競争力強化に向けて取り組みが始まっています。 RPAの能力としては、一般的に1ロボットで人間3〜5人分の仕事量に相当すると言われ、これまで「人間にしかできない」とされてきた仕事をロボットに代行させることにより、人間はより高度(直観的)な判断や専門性が必要なクリエイティブな業務へシフトすることが可能になります(生産性向上と経営改善の実現)。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社金融・公益サービス企画部部長代行 AI(人工知能)との関係については、RPAは一定の判断の元、繰り返される作業を得意とし、AIは膨大な情報の元、複雑な判断を必要とする業務を得意としており、共に働き方改革やクリエイティブな業務へのシフトを支えるテクノロジーです。RPA市場と将来 RPAは、2010年代半ば以降、金融・保険業等一部の業種で先行して採用が進んでいました。しかし、近年の労働人口の減少に対応する働き方改革への関心の高まりや製品の選択肢の拡大、IT知識の乏しい現場スタッフでも利用できるRPAの登場等により、様々な業種で導入に踏み切る企業が急増しています(国内大手の広告代理店では400工程の業務が自動化され、既に10,000時間を超える時間創出の成果を公開しています)。 テクノロジー面においても、従来はPC作業の自動化が中心でしたが、全社レベルの自動化を実現できる製品が現れる等、急速に進化しています。近い将来、AI、IoTやビッグデータ等のテクノロジーとの連携・融合が進み、より高度かつ複雑な業務の自動化も実現されるでしょう。RPA導入による効果とリスク【導入効果】・ 高度な判断が求められる人間でしかできない業務へのシフト・ 繁閑差のある業務での体制の平準化、作業品質の向上・ システム開発コストの削減によるROI(Return on Investment)の早期化・ システム開発と比較し、トライ&エラーが容易・ 業務のリードタイムの短縮(昼夜を問わず働く)・ 少量多品種の業務(属人業務)の可視化・平準化・効率化【導入によるリスク】・ 操作対象システムの改修/処理対象データ変更等に起因する誤動作・停止・精度低下が生じるリスク ・ RPAの障害による業務停止リスク・ 誤処理/精度低下の未検知リスク・ 業務プロセスのブラックボックス化と業務改善意識の低下・ RPAへの不正アクセスによる情報 漏えいリスクRPA導入の勘所と落とし穴❶ツールの選定 RPA導入の第一歩は自社に適したツール選定になります。この1年のうち菅江 政満Technical Report RPA導入の勘所働き方改革や人手不足対応のソリューションとして期待されている「RPA(Robotic Process Automation)」が急速に普及しています。ここでは、RPAの市場動向や導入効果、導入の勘所等をご紹介します。

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