イベント・レポート

CTC Forum 2017 講演

『エンゲージメントモデル』に基づく未来のエンタープライズITへ向けて
~CTOの眼で見た最先端の動きも紹介~

更新

未来のエンタープライズITには「エンプロイエンゲージメント」と「カスタマーエンゲージメント」を両立させた「エンゲージメントモデル」の仕組みをつくることが大事

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開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
取締役 専務執行役員 技術戦略グループ担当役員 CTO/ CIO 大久保 忠崇

取締役 専務執行役員 技術戦略グループ担当役員 CTO/ CIO 大久保 忠崇

未来のエンタープライズITとはどのような姿なのでしょうか。この点について、私がいま考えていることをお話ししたいと思います。まずは現在のエンタープライズITの姿を思い浮かべてみると、とくに日本企業では、基幹系、営業系、管理系などと業務別にきめ細かく整備されているところが多いと思います。しかし、そうした整然としたシステムが、これからの新しいビジネスに対応していけるのか。また、実際にそのシステムを使っている人たちは満足しているのか。私はやや疑問に感じています。

そこで、私がこれからのエンタープライズITのキーワードとして挙げたいのは「エンゲージメント」という言葉です。私は「愛着を持った関係」という意味で捉えています。この言葉を用いて、これからのエンタープライズITに必要な要件を挙げると、「エンプロイエンゲージメント」と「カスタマーエンゲージメント」です。しかも、この2つを両立させた「エンゲージメントモデル」の仕組みをつくることが大事だと考えています。

従業員を対象としたエンプロイエンゲージメントを推進するためには、自立した個人が自律的に多様なスタイルで働いたり、定型業務は自動化されて非定型業務を人間が行ったり、働き方を変えていかなければなりません。私はこれを「ワークモデル改革」と呼んでいます。

一方、お客様を対象としたカスタマーエンゲージメントを推進するためには、社内外との“共創”で新たなビジネスを生み出したり、企業単位ではなくコミュニティタイプのプロジェクトで仕事を進めたりといったように、ビジネスのやり方を変えていかなければなりません。これは「ビジネスモデル改革」になります。

私はCTOとともにCIOも兼務していますので、CTCの社内システムについても、いわゆるステークホルダーすべてにエンゲージメントをもたらす新しいエンタープライズITをつくり上げていこうと指示しています。ちなみに、これはシステムアーキテクチャの話ではありません。そこがチャレンジングなところです。

実は、このエンゲージメントモデルに基づくエンタープライズITという発想は、世界のさまざまな場所や企業、また市場が異なるコンシューマー領域での動きなどから思いついたものです。その中から最近とくに、私が訪問して強い刺激を受けた出会いを3つ紹介しておきましょう。

1つめは、Halliburton社という米国の老舗エンジニアリング企業です。主に石油・ガスの探鉱/生産を手がけていますが、そのすべての作業にIoT技術が活用されています。そこで強く認識させられたのが、「IoTの進化を支えるのはITのみならずOT(業務運用技術)である」ということです。

2つめは、中国の深セン市南山科学技術園です。いまや「中国のシリコンバレー」と呼ばれているところで、スタートアップ企業のエネルギーあふれる状況に驚きました。今回紹介する、オモチャを活用した通信デバイスを提供するNufilo社やオンラインゲーム向けSNS機能を提供するYoume社も、どちらもコンシューマー向け技術を活用してエンタープライズ市場への展開を狙っています。

そして3つめは、米国NVIDIA社の新本社ビルです。同社はGPGPUを中心に近年AI分野で急成長している企業ですが、新本社ビルでは最先端技術を駆使して、まさしく宇宙ステーションにいるかのような印象でした。これもお客様や従業員に快適に過ごしてもらおうという工夫なのです。

エンゲージメントモデルに基づくエンタープライズITが、具体的にどのようなものであればよいのかは、これからさらに試行錯誤を重ねていくことになるでしょう。ぜひ皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

他講演レポート

2017年10月13日開催「CTC Forum 2017」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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