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CTCのダイバーシティ推進
2008年4月1日
ダイバーシティを経営戦略として考える ・・・長い目で見て、一歩一歩前進あるのみ
ダイバーシティを経営戦略として考える ・・・長い目で見て、一歩一歩前進あるのみ
伊藤忠テクノソリューションズ(以下CTC)では「働きがいがあり、魅力的な会社」を目指して、2007年1月にダイバーシティ推進課を設置し、様々な取り組みを行っている。その第一歩として女性のキャリア推進、仕事と出産/育児の両立支援に注力してきた。今回は、人事部 ダイバーシティ推進課長 小澤聡子さんが、ワーキングウーマンのための仕事、生活情報を提供している「日経WOMAN」編集長 麓幸子さんに女性活用を中心にダイバーシティの成功の秘訣について伺った。
■経営トップの強い意志とコミットメント
小澤:
CTCでは2007年1月にダイバーシティ推進課を設置して、ダイバーシティへの取り組みを強化しています。その第一歩として、まずは女性の活躍の場を広げる取り組みを行っています。ダイバーシティの推進をうたっている企業は多いですが、成功していると言われる企業はどのようなことを行っているのでしょうか?
麓:
成功していると言われる企業には3つのポイントがあります。まず、「経営トップの明言化」、次に「男女を問わない公正な人事制度」、そして3番目が「ワークライフバランスの考え方と施策」です。この3つが揃ってこそ、推進がうまくいくと思います。
まず、やはり経営トップがどのような気持ちをもってダイバーシティや女性の活躍推進に取り組んでいるかですね。経営トップが、宣伝や広告目的ではなく、本気で経営戦略にいかに必要かという事を強く打ち出す必要があると思います。例えば、女性向けの商品を扱っている企業なら、「女性マーケットのために女性の力を活用する」と言えば分かりやすいですが、御社のような業界の企業にとっては、より企業トップの明言が大切ですね。
私はよく、「女性が働きやすい企業の選び方」というテーマで、就職活動中の大学生向けに講演をしますが、「経営トップが明言しているかどうか確認してください」と言います。例えば、ダイバーシティ推進月間を毎年設けて、経営トップが役員や管理職層の前でその必要性を訴える、イントラネットや社内報など色々な媒体を使って経営トップが強い思いを全社員に伝えているかどうかということですね。
まず、やはり経営トップがどのような気持ちをもってダイバーシティや女性の活躍推進に取り組んでいるかですね。経営トップが、宣伝や広告目的ではなく、本気で経営戦略にいかに必要かという事を強く打ち出す必要があると思います。例えば、女性向けの商品を扱っている企業なら、「女性マーケットのために女性の力を活用する」と言えば分かりやすいですが、御社のような業界の企業にとっては、より企業トップの明言が大切ですね。
私はよく、「女性が働きやすい企業の選び方」というテーマで、就職活動中の大学生向けに講演をしますが、「経営トップが明言しているかどうか確認してください」と言います。例えば、ダイバーシティ推進月間を毎年設けて、経営トップが役員や管理職層の前でその必要性を訴える、イントラネットや社内報など色々な媒体を使って経営トップが強い思いを全社員に伝えているかどうかということですね。
小澤:
経営トップが本気で取り組むという姿勢を見せることで全社員の意識に浸透させるということですね。
CTC 人事部 人事企画課長
兼 ダイバーシティ推進課長
小澤聡子さん
兼 ダイバーシティ推進課長
小澤聡子さん
麓:
そうですね。ダイバーシティ推進の部門もしかりです。トップの意欲が伝わりやすい企業は、施策を実施する上でパワーが違います。
昨年、政府がワークライフバランスに関する憲章を作りましたが、全社員、特に男性にダイバーシティがビジネスにとって重要だということをしっかりと分かってもらわないと、前に進まないと思います。
今は、第一子が生まれるまでに6割を超える女性が職場を去ります。これはコストをかけて育てた優秀な女性が途中で辞めてしまうということで企業にとって大きな損失になる。それだけでなく、多様な経験をして、多様な価値観を持った人の考え方を事業に取り込む機会も損失している。出産・育児を経て就業を継続している社員の経験や視点を商品・サービス開発に役立て業績を上げている企業もあります。つまり、最終的には多様性を活かして収益を向上させるというのがダイバーシティ・マネジメントの目的。そういう意味でダイバーシティは経営戦略のひとつなんです。育児をしている女性がかわいそうだから、ちょっと手を貸しましょうという姿勢ではだめですね。
昨年、政府がワークライフバランスに関する憲章を作りましたが、全社員、特に男性にダイバーシティがビジネスにとって重要だということをしっかりと分かってもらわないと、前に進まないと思います。
今は、第一子が生まれるまでに6割を超える女性が職場を去ります。これはコストをかけて育てた優秀な女性が途中で辞めてしまうということで企業にとって大きな損失になる。それだけでなく、多様な経験をして、多様な価値観を持った人の考え方を事業に取り込む機会も損失している。出産・育児を経て就業を継続している社員の経験や視点を商品・サービス開発に役立て業績を上げている企業もあります。つまり、最終的には多様性を活かして収益を向上させるというのがダイバーシティ・マネジメントの目的。そういう意味でダイバーシティは経営戦略のひとつなんです。育児をしている女性がかわいそうだから、ちょっと手を貸しましょうという姿勢ではだめですね。
■公正な人事制度も仕組みだけでは意味がない
麓:
ダイバーシティを成功させるポイントのひとつに「男女を問わない公正な人事制度」をあげましたが、制度だけ整っていても仕方ありません。やはりその制度を誰もが利用できる風土というものが大切です。
例えば取材に行くと、育児期の女性が時短などの制度を利用しながら「本当に申し訳ございません」と職場に気兼ねしてバタバタと働いているところと、社内託児室があって、女性も男性も自分の子供を預けて働いているところがあります。育児支援制度を設けているという意味では同じなのですが、中身は全然違いますね。前者は、「女性だけに仕事も家庭も育児も」というメッセージを送っている企業です。そういう企業は、育児によってもたらされる多様な価値観、多様な生活体験を企業活動にとってはマイナスに捉えているんですね。そうではなくて、男性も含めた多様な経験が事業にとって、ビジネスにとって必要であるというメッセージがあれば、「申し訳ございません」ではなくて、負い目を感じることなくワークもライフも充実できる会社になると思います。
女性は30歳くらいで出産を理由にフェードアウトしてしまったり、バーンアウトしてしまったり、体を壊して辞めるケースが多く、職場でのスキルが女性の場合は継承されにくい。そういう意味で御社は、メンタリング制度やキャリアデザイン研修をはじめとする各種研修があり、制度として十分取り組んでいると思います。
例えば取材に行くと、育児期の女性が時短などの制度を利用しながら「本当に申し訳ございません」と職場に気兼ねしてバタバタと働いているところと、社内託児室があって、女性も男性も自分の子供を預けて働いているところがあります。育児支援制度を設けているという意味では同じなのですが、中身は全然違いますね。前者は、「女性だけに仕事も家庭も育児も」というメッセージを送っている企業です。そういう企業は、育児によってもたらされる多様な価値観、多様な生活体験を企業活動にとってはマイナスに捉えているんですね。そうではなくて、男性も含めた多様な経験が事業にとって、ビジネスにとって必要であるというメッセージがあれば、「申し訳ございません」ではなくて、負い目を感じることなくワークもライフも充実できる会社になると思います。
女性は30歳くらいで出産を理由にフェードアウトしてしまったり、バーンアウトしてしまったり、体を壊して辞めるケースが多く、職場でのスキルが女性の場合は継承されにくい。そういう意味で御社は、メンタリング制度やキャリアデザイン研修をはじめとする各種研修があり、制度として十分取り組んでいると思います。
社会人経験5年目以上を対象としたキャリアデザイン研修
CTCのメンタリング制度
小澤:
2007年11月からメンタリング制度を導入し、女性管理職にメンターを担当してもらっています。それなりに負担だと思いますが、現状は上手く進んでいると思います。
麓:
とにかく女性の場合、ロールモデルが少ないということがネックとなります。ロールモデルというのは、身近にいるほど効果を発揮しますので、この人に相談すればいいというメンタリング制度があるのは、女性にとってすごく心強いと思いますね。
小澤:
女性管理職が管理職全体に占める割合は3%程度です。2010年にはこれを5%にすることが目標です。昨今、男性でも女性でも管理職に魅力を感じにくい人も増えているので、その意識をどうやって上げていくのかというのも難しいですね。今は、社内ポータルなどで管理職になって改めて気づいたことややりがいなどを紹介しています。
麓:
それはいいですね。もっともっと、管理職の魅力、やりがい、うまみを伝えていったほうがいいと思いますよ。
小澤:
男性と女性では違う点は多いと思うのですが、女性管理職ならではの“うまみ”とはどんなことだと思われますか。
麓:
そうですね、女性のほうがミッション・オリエンテッド、つまり自分でやるべきだと思うことにそのパワーを使えると思います。女性の場合、男性と比べて同期の人間より昇進昇格してやるという上昇志向は強くありません。自分の出世のためとか、見栄のためではなくて、会社の組織やお金を使って、自分がいいと思う方向に、その力を発揮することができると思います。管理職になればそういうパワーを持てるわけで、それはとても魅力的なことだと思うんですね。
小澤:
今後は管理職の魅力をどんどん伝えていくことが大切ですね。制度を利用できる風土という意味では、CTCもまだまだやらなければならないことがあります。ダイバーシティに対する考え方も、女性の活躍推進に対する考え方も個人差があるのは当然です。しかし、そのレベル感を少しでもあわせていかなければならない。そこで、先日CTCのダイバーシティに対する取り組みを全員が再認識することを目的に社内向けイベント、「ダイバーシティフォーラム」を初めて開催しました。よりダイバーシティに関する意識を浸透させていくために、今後も継続して実施していきたいと思います。
■短時間でハイパフォーマンスを
ワークライフバランスは時間の効率化から
ワークライフバランスは時間の効率化から

小澤:
気兼ねなく制度を利用できる風土を実現するには、社員全員の啓蒙活動の他に、働く時間に制約がある人を活用するということが、経営戦略上どれほどプラスになるかということも社員にわかってもらうことも重要ですよね。しかし、生活に関わる商品などを売っているわけではないので、そこが難しいところです。
麓:
御社のように生活領域の商品やサービスを出していない業界にとって、ダイバーシティの必要性を分かりやすく示すのは難しいと感じるかもしれませんが、ダイバーシティの推進というのは、ワークライフバランスの達成による効率的な働き方というものが鍵になると思います。一般的に、今までは残業をたくさんしてもパフォーマンスを出すということがひとつの考え方だったと思うのですが、これからはそうではなくて、効率のいい働き方をして短時間でパフォーマンスを出すことが求められていると思います。
時間の制約がある、ないというのは、育児だけではないのですが、「24時間何時間でも働けるよ」というよりも、時間に制限があったほうが、密度が高まって効率がいいパフォーマンスになる、生産性が上がる働き方ができるという気がします。つまりダラダラ残業をして残業代を稼ぐというような形ではなくて、定時で帰っても長時間働いていたときと同じくらいのパフォーマンスを出して、帰宅後はいろんな経験をして価値観や体験を広げるほうがいいということです。
時間の制約がある、ないというのは、育児だけではないのですが、「24時間何時間でも働けるよ」というよりも、時間に制限があったほうが、密度が高まって効率がいいパフォーマンスになる、生産性が上がる働き方ができるという気がします。つまりダラダラ残業をして残業代を稼ぐというような形ではなくて、定時で帰っても長時間働いていたときと同じくらいのパフォーマンスを出して、帰宅後はいろんな経験をして価値観や体験を広げるほうがいいということです。
小澤:
例えば官公庁などでは法定では1年のところ、育児休業を3年と設定しています。育児休業の期間についてはどのようにお考えですか。
麓:
自分自身は2回育児休業を取ったのですが、2回とも6カ月で切り上げたんです。育児休業の期間を長くするというのは、いろいろ選択肢があっていいことだと思います。例えば、2人の子供を産んで連続して5、6年取るとか、そういう例もあるでしょうね。
小澤:
IT業界では日々技術が進歩します。働きながらスキルを身に付けていくので、選択肢が増えるのは重要ですがブランクは短いほうがいいという考え方もあります。CTCでは、ITスキルを陳腐化させず、育児をしながら働ける環境を整えることが大切だと考え、短時間勤務制度や時差出勤制度などを充実させています。
麓:
私は男性でも女性でも、仕事も生活もシェアできる社会のほうがいいと思っています。その意味からいっても、専業主婦期間が長いというのは、むしろ男性の方から育児の楽しみを奪うことになりはしないかという気がします。男性も赤ちゃんが一番可愛い時期を知ってもらうためにも育児休業などを積極的に利用できればいいと思います。
■女性の活用はダイバーシティの第一歩
長い時間をかけてじっくり取り組む
長い時間をかけてじっくり取り組む
小澤:
女性の活躍の場を広げることからダイバーシティを推進する企業は多いですよね。女性の活躍推進から始めて、例えば外国籍の方や障がいをお持ちの方、さらには価値観にまで広がっていく。そのようにダイバーシティへの取り組みを上手く拡大していく企業に特徴はありますか。
麓:
ダイバーシティ推進の段階を変えるためのトリガーということですよね。例えば、ある大手ITソリューション企業の場合、最近はゲイなどセクシャリティの領域まで対象にしようとしていて、すごいなと思います。男性、女性という性差は一番簡単でハードルが低いダイバーシティなのだそうです。しかし、日本ではそれすらもなかなか進まない。そもそもダイバーシティマネジメントとは、女性の活躍推進だけを指すのでありません。様々な多様性を取り込み、それによって収益を上げる。そのための最初の一歩が女性の活躍推進であるということですね。
だから、現在、御社が注力している取り組みもダイバーシティ推進の中でファーストステップであるということを認識して、そのことを社内に伝えていくことが重要です。
だから、現在、御社が注力している取り組みもダイバーシティ推進の中でファーストステップであるということを認識して、そのことを社内に伝えていくことが重要です。
小澤:
そうですね。ダイバーシティ推進は時間がかかるものなので、ロードマップも全社員で共有しなければいけないですね。
麓:
20年くらいのスパンをかけて女性の活躍推進に成功している企業があります。20年前にはダイバーシティという言葉さえなかったと思いますが、 20年かけて女性の戦力化から経営戦略としてとらえるところまで、段階を踏んで進めています。本当に短期間じゃできないんですよね。
小澤:
そうですよね。女性だけで20年ですか。
麓:
ええ、当時の女性の平均勤続年数は5、6年だったそうなんですね。それが今はもう16年になったと言ってました。
「経営トップの明言化」、「男女を問わない公正な人事制度」、「ワークライフバランスの考え方と施策」。ダイバーシティ推進を考えた場合、この3つのポイントを意識しつつ、それを長い期間かけて着実に、一歩一歩やっていくことが大切なのではないでしょうか。
「経営トップの明言化」、「男女を問わない公正な人事制度」、「ワークライフバランスの考え方と施策」。ダイバーシティ推進を考えた場合、この3つのポイントを意識しつつ、それを長い期間かけて着実に、一歩一歩やっていくことが大切なのではないでしょうか。
小澤:
長期的な目標を持ちつつ、それに向かって目の前の課題をひとつずつクリアしていきたいと思います。今日はありがとうございました。

日経WOMAN編集長 麓 幸子さん
- 1984年、筑波大学第一学群人文学類(フランス哲学専攻)卒業後、日経ホーム出版社入社。88年「日経ウーマン」創刊に携わる。
- 以後、主婦向け月刊誌「ショッピング」、「グッドハウスキーピング日本版」、 エコロジー雑誌「日経エコ21」、日経ウーマン別冊「ココカラ」編集部等を経て、03年より「日経ウーマン」編集部に異動。
- 06年より現職。
記載されている会社名、製品名、サービス名は伊藤忠テクノソリューションズ(株)または各社の商標もしくは登録商標です。