事例

さいたま市 様

更新

仮想化をベースとしたシステム基盤への刷新

  • 仮想化インフラソリューション FlexPod
    • シスコシステムズ Cisco UCS
    • ネットアップ NetApp FASシリーズ
  • グループウェア Ariel Enterprise
  • メールソフト CyberMail

システム基盤の安定化、組織横断的な情報共有、コストの削減を実現し、行政サービスの向上へ

2001年に浦和市、大宮市、与野市が新設合併し、全国13番目の政令指定都市となったさいたま市は、行政サービスやコスト効率の向上を目指し、オープン化とマルチベンダー化を基本戦略としたIT基盤の刷新を進めている。その一環として、2014年、庁内グループウェア「S-net」を再構築。競争入札における総合評価を経てCTCの提案を採用し、システム基盤の安定化と組織横断的な情報共有、コスト削減を実現した。

課題と効果

課題
  • グループウェア関連機器のリース満了
  • レスポンス低下やシステムダウンによる業務効率の低下
  • 他部署と共有できない情報やスケジュール

オープン化、マルチベンダー化

効果
  • システム構築コストおよび運用コストの削減
  • 仮想化をベースとした冗長構成による安定稼働の実現
  • 組織横断的な情報共有による庁内業務の効率化

導入事例インタビューデータ

自治体名
埼玉県さいたま市
所在地
(市役所)埼玉県さいたま市浦和区常盤六丁目4番4号
URL
http://www.city.saitama.jp/新しいウィンドウで開く
  • さいたま市 政策局 政策企画部 情報システム課 課長 緑川 誠一郎 氏

    さいたま市

    政策局 政策企画部 情報システム課 課長

    緑川 誠一郎 氏

  • さいたま市 政策局 政策企画部 情報システム課 課長補佐 田端 正義 氏

    さいたま市

    政策局 政策企画部 情報システム課 課長補佐

    田端 正義 氏

  • さいたま市 政策局 政策企画部 情報システム課 主事 保田 康平 氏

    さいたま市

    政策局 政策企画部 情報システム課 主事

    保田 康平 氏

導入背景

基幹系システムのオープン化とマルチベンダー化を推進し毎年平均約15億円のITコスト削減を実現

埼玉県の県庁所在地であるさいたま市は、2001年5月に浦和市、大宮市、与野市が新設合併して成立した、日本で13番目の政令指定都市である。2005年4月に新たに岩槻市を編入し、約125万人(2014年現在)の人口を擁している。

現在、市政運営の最優先事項として「しあわせ倍増プラン2013」を策定し、市民一人ひとりが「しあわせを実感できる都市」を目指して全庁を挙げて取り組んでいる。また、浦和レッズと大宮アルディージャを擁する「サッカーのまち」としても有名なほか、昨年からは日本で唯一の「ツール・ド・フランス」の名を冠した自転車レース「さいたまクリテリウム」を開催するなど、スポーツや文化の発信拠点としても力を入れている。

そんなさいたま市が、先の合併時から現在まで精力的に取り組んでいるのがIT基盤の整備だ。「さいたま市情報化計画」並びにその行動指針である「さいたま市情報化アクション・プラン」を、第一次~第三次(現在)にわたって継続的に推進している。

さいたま市 政策局 政策企画部 情報システム課の課長を務める緑川 誠一郎 氏は、これまでの取り組みを次のように振り返る。

「合併前、旧3市はそれぞれ異なるIT基盤を導入しており、各システムの統合や運用体制の調整には大変苦労しました。また、統合後も大手コンピュータメーカーによる寡占状態が続いており、IT関連コストが市の財政を圧迫していました。この問題を何とかせねばと、2006年度から2010年度までの5年間をかけ、住民基本台帳や税金などの基幹系システムのオープン化並びにマルチベンダー化を推進してきました。」

その結果、さいたま市は基幹系システムからメインフレームを撤廃し、IT基盤導入にあたって多数のベンダーから寄せられた提案を競争入札によって柔軟に選定できる“自由度”が高まった。「2006年度との比較で、毎年約15億円のコスト削減を実現している」と緑川氏は語る。

一方では、2011年に発生した東日本大震災を教訓に、災害に強い設備環境の重要性をあらためて認識。2013年には老朽化が進んだ情報センター(市の施設)から最新設備を備えた民間データセンターへ、主要システムの移行を完了させた。

他部署の職員とも情報共有ができるシステムを目指し、庁内グループウェア「S-net」を再構築

こうしたIT基盤の変革を進める中、2011年にスタートした「さいたま市情報化アクション・プラン2011」の一環として取り組んできたのが、庁内のコミュニケーションの活性化や業務効率の向上を目的とした情報系システムの刷新である。

さいたま市では、旧大宮市と旧浦和市がそれぞれ独自に所有していたシステムを一体化した「S-net」と呼ばれるグループウェアを2003年から運用してきたのだが、「ここにきて様々な問題が顕在化していました」と話すのは、情報システム課の課長補佐を務める田端 正義 氏である。

「例えば、これまでは、組織間でスケジュール管理を連携する必要はありませんでした。しかしながら、組織横断で取り組むべきプロジェクトがいくつも立ち上がっている現在、庁内の組織を“横串”で貫いて、他部署の職員とも簡単に情報共有ができるシステムが求められるようになりました。」

更に、情報システム課の主事である保田 康平 氏が、次のように続ける。

「システム構築から10年が経過して機器がリース満了となり、リプレースを検討しなければならない時期を迎えていました。また、職員が一斉ログインした際などのレスポンス低下や、年に2回くらいの頻度で突発的なシステムダウンが起こるといった問題も抱えており、これを機に時代に即したシステムに作り替えることになりました。」

システム概要と導入効果

仮想化技術をベースとした基盤の冗長構成によって、システムのパフォーマンスと可用性を大幅に向上

この要求に応えるべく複数のベンダーから寄せられた提案の中から、競争入札を経てさいたま市が採用を決定したのが、シスコシステムズとネットアップのインフラソリューションであるFlexPodを軸としたCTCのシステム基盤である。

「率直なところ機能面では各ベンダーのいずれの提案にも一長一短があり、優劣を付けることができませんでしたが、コストや技術力、SI体制などを含めた総合評価からCTCに決定しました」と緑川氏は語る。

「実際、CTCはさいたま市が抱えていたレガシーシステムの問題点を深く理解し、私たちと協働して課題解決にあたってくれました。その意味でもS-net再構築のパートナーにCTCを選んだことは正解でした」と田端氏も評価する。

こうした経緯を経て2014年1月に稼働を開始した新S-netは、数多くの成果をもたらした。旧システムで最大の課題であった組織横断のスケジュール管理をはじめとする情報共有が可能となり、職員からも「便利で使いやすくなった」という声が寄せられている。

また、システムの運用面では冗長性と柔軟性に優れたFlexPodの採用によって、パフォーマンスと可用性が大幅に向上。「新S-netにサービスを移行してから現在まで、業務時間内のレスポンス低下やシステムダウンは全く起こっておらず、安定稼働を続けています」と保田氏は話す。

さいたま市グループウェアの遷移

さいたま市グループウェアの遷移

今後の展望

市政のスピードアップや住民サービスの向上とともに地域社会と一体になった情報活用を目指す

もっとも、S-net刷新の取り組みは緒に就いたばかりであり、さいたま市としてシステムの更なる高度利用を目指していく計画だ。

「システム標準機能の中でも、まだ十分に活用しきれていない機能がたくさん残っています。これらの機能についても本格的な全庁展開を図り、様々な部署の職員がより使いやすい、業務効率の向上につながる環境を整えていきます」と保田氏は話す。

庁内業務が効率化すれば、結果的にそれは市政のスピードアップや住民サービスの向上といった多大な利益をもたらしていく。

「将来的には庁内だけのシステムではなく、職員がタブレットを持ち歩いて庁外での活動にも利用するなど、住民とのコミュニケーションを活性化させるツールとしても活用できるのではないかと考えています」と田端氏は構想を膨らませている。

「オープンデータに象徴されるように、今後の自治体にとって住民や地域社会と一体になった情報活用の推進は、非常に重要なテーマとなっています」と緑川氏も語る。

こうした目標を一つひとつ実現しながら、さいたま市は全国に20市ある政令指定都市の中でも、IT活用で先頭を目指していく考えだ。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。