事例

日本生活協同組合連合会 様、コープ情報システム株式会社 様

更新

日本最大規模のECサイト基盤をプライベートクラウドで構築。

「サービス拡大と変化へ挑戦できる新たな基盤です。利用単価も向上できました」

インターネットの利用拡大を背景に、販売の主要なチャネルに成長したECサイト。その一方で、増加するユーザーへの対応、瞬間的な大量アクセスへの対策など、解決するべき課題も多い。そこで日本生活協同組合連合会では、CTCと共にプライベートクラウドの仕組みを取り入れたECサイト基盤を構築した。CTCではアプリケーション開発、インフラ構築、データセンター・運用保守サービスとトータルSI案件に位置付けられた取組みとなる。また新技術要素として「Oracle Coherence」を採用するなど、SIベンダーとしての総合力を発揮し、卓越したパフォーマンスと柔軟な拡張性を実現。増加を続け、リピート率の非常に高い100万人を超えるインターネット会員に対応する、日本最大規模のECサイトとなった。新基盤により利用単価の向上を実現。今後、様々な施策に安心して取り組むことができると、高い評価を得ている。

課題と効果

課題
  • 自由度の高いサイト(売り場)提供ができる仕組み
  • アクセス集中増への対応
  • 拡張性の高いシステム

アーキテクチャ、アプリケーションも含めたシステム全体の見直し

効果
  • プライベートクラウドによる機能とリソースの提供
  • 高いパフォーマンスと拡張性の実現
  • 利用率と利用単価向上

導入事例インタビューデータ

会社名
日本生活協同組合連合会(日本生協連)
所在地
〒150-8913 東京都渋谷区渋谷3-29-8 コーププラザ
出資金
91.6億円
会員数
481生協(購買生協)
URL
http://jccu.coop/新しいウィンドウで開く
会社名
コープ情報システム株式会社
所在地
〒169-0073 東京都新宿区百人町三丁目25番1号 サンケンビルヂング4F
資本金
5000万円
従業員
118名(2010年4月現在)
URL
http://www.coopis.co.jp/default.htm新しいウィンドウで開く
  • 日本生活協同組合連合会事業企画室インターネット事業部 部長茂木 伸久 氏

    日本生活協同組合連合会

    インターネット事業部 部長

    茂木 伸久 氏

  • コープ情報システム株式会社インターネットシステム部部長スタッフ大島 晋 氏

    コープ情報システム株式会社

    インターネットシステム部 部長スタッフ

    大島 晋 氏

導入背景

2,500万人の組合員を擁する生協

「買い物難民」という言葉が注目されている。小売店の撤退などの影響で、高齢者を中心に、生活用品の購入に不便を感じている人々が、地方のみならず都市部でも増えている。こういった人々にも喜ばれているのが「コープ」や「生協」として親しまれている生活協同組合である。各地の生協では、店舗だけでなく、宅配事業を行っている。生協によっては移動店舗という方法も開始され、商品を過疎地へも届けている。都会においても、子育て世帯や仕事に追われ買い物の時間が取れない方々など、幅広い人々の暮らしを支え、消費者・組合員のニーズに応えた商品を提供している。

これら全国生協をとりまとめている連合会組織が日本生活協同組合連合会(以下、日本生協連)だ。加盟している購買生協の数は約500に及び、医療生協なども含めた全国トータルの組合員は約2,500万人を数える。

生協での宅配スタイルは、毎週、カタログの配布、注文の受け取り、商品の引渡を同時に行う完成されたモデルである。「これにインターネットからの注文を加えていったのが2000年のことです。組合員の利便性の向上を考慮しての取り組みでした」と、日本生活協同組合連合会 事業企画室インターネット事業部 部長 茂木 伸久 氏は説明する。

可能性の拡大を求めてシステムを刷新

多くの生協は地域毎に事業連合という形で結びついており、事業連合を含めた全国会員生協の連合会機能として日本生協連は位置する。これら会員生協に提供するECサイトとして最初のシステム「eフレンズ」は2000年にサービスを開始した。当初のeフレンズは、商品カタログを手に、画面から該当する注文番号を入力するというシンプルな構造だった。「組合員の方の反応は予想以上に良く、すぐに10万人、20万人と利用者が増加していきました」(茂木氏)。

やがてインターネットは、ADSLへ、そして光へとブロードバンド化が進み、その可能性も飛躍的に広がっていく。携帯電話の利用者も増え、モバイルでインターネットにアクセスする人も増加するなど、大きく環境が変わっていった。

2005年の最初のリプレースでも、システムのコンセプトは大きく変わらなかった。そこで、2006年ごろから日本生協連内で、ECサイトの抜本的な見直しの検討を開始した。「最大の目的は商品カタログがなくても、組合員が商品情報の入手から選択、注文まで一貫してできること。更に、地域の生協でオリジナルのページを作成して、特売やキャンペーンなどの企画をWeb上で展開できることでした」と、茂木氏は強調する。生協はより組合員に密着した、それぞれに独自色のあるECサイトを構築できるような仕組みを求めていたのである。

システム概要

プライベートクラウド方式を採用

システム概要

検討を重ね開発を進めて、新システム「CWS(Coop-Web-Standard)」は2008年5月にサービスを開始する。地域の事業連合単位でシステム利用を申し込み、事業連合独自色を出したお買物サイトを構築することになる。そして、組合員には画面構成もサービスも充実した「eフレンズ」としてリニューアルされていった。

「CWS」は、生協が機能とリソースを必要なだけ手に入れることのできる、プライベートクラウド方式のひとつと言える。クラウドコンピューティングという言葉が使われはじめたころの話で、極めて先進的な挑戦でもあった。

当初の狙い通り、生協からの情報提供や、組合員の商品選択、注文もWeb上で完結できるようになった。レシピの照会機能を設けるなど、生協側で組合員の料理の支援も可能となっている。更に、コミュニティ機能を設け、日記や個人アルバム、お気に入り、おすすめ情報などを交換できる。「もともと生協は口コミから発達した活動なのです。SNSの機能はぜひ欲しいと考えていました」(茂木氏)。

想定以上の負荷

新システムは、機能としてのコンセプトは網羅していたが、要件として整理していた負荷が、依頼していたベンダーサイドの想定とずれており、パフォーマンスの劣化が大きな問題となった。「顕著な例が数量限定商品の販売です。瞬間的に大勢の人がサイトにアクセスするものですから、大幅なレスポンスの低下など問題が出てきました」「予定している時間内に終わらないバッチ処理も問題となっていました」と、コープ情報システム株式会社 インターネットシステム部 部長スタッフ 大島 晋 氏は説明する。コープ情報システム株式会社はCWSの構築を担った、日本生協連の情報子会社である。

CTCによるアーキテクチャの見直し提案

こんな時に、インフラを構築しデータセンターサービスを提供していたCTCから、システムアーキテクチャ、アプリケーションも含めた見直しの提案が出る。「主体的に提案を頂きまして、これならシステムの寿命が確実に延びると確信しました」と、茂木氏は語る。

複雑だったシステムの内部構造を整理しシンプルにするとともに、処理の平準化と最適化を実施した。最大のボトルネックはデータベース上の処理と判断し、その解消のために、極めて高速な処理に対応し、拡張性にも優れるインメモリ・データグリッド・ソリューション「Oracle Coherence」を採用した。また、日本生協連からのリクエストに応えテンプレートエンジン「FreeMarker」も組み込み、サイト画面生成レベルでもユーザーの変化に対応できる構成とした。

導入効果

1分あたり7,000ユーザーの処理性能を実現

新たな「CWS」は2010年6月にサービスを開始し、以降、極めて安定して稼働している。「CTCには1分あたり2,500ユーザー処理できるパフォーマンスをお願いしましたが、最終的には7,000ユーザーまでの処理が可能になりました。もう数量限定商品販売も怖くありませんし、Web商品一覧のページめくりも自然になりました」と、大島氏は新システムを高く評価する。注文集中時のボトルネックをOracle Coherenceで解消し、その他様々な工夫を実装する事で、性能上の要件をクリアしたのだ。

「今後、ビジネスの拡大に伴い、サーバ等の増強も考えられます。システムの内部構造を整理した事により、業務側にも理解しやすい構成となり、増強が必要な要素が明確になりました。これからの会員増やサービス増の負荷にも、適正なコストで対応していくことができます。狙いどおり、寿命の長いシステムを得ることができました」(茂木氏)。

基盤となるシステムが完成した事で、システムのリソースを各会員生協の規模に合わせ振り分ける事が可能となった。2010年6月における初回のサービス開始後、順次、会員生協の導入が進んでいる。

新CWSとなり、お客様のサイト内滞在時間も増え、利用単価も向上してきている。「購入いただく商品も増えています。2割程度の人に特に変化が見られ、これらの人たちは1~2割ほど利用単価が向上しています」と、茂木氏はほほ笑む。

今後の展望

供給高拡大と変化への挑戦

2011年6月には現時点において新CWSの利用を予定している会員生協への導入が終了する。「その時点でCWSを利用する会員は140万人にまで増えると見込まれています。これら多くの方が毎週10~60点ほどのお買い物をします。日本最大規模のECサイトですが心配はしていません。処理能力と信頼性には自信を持っています」と、大島氏は胸を張る。

「これで完成ではありません。ようやくスタート地点に立つことができたのです。CWSは私達にとって挑戦の基盤なのです。変化する組合員のニーズにいかに対応していくか、いかにすれば喜ばれるサービスを提供できるか、商品の供給を拡大できるか。CWSという基盤を使って挑戦していきたいと思います」と茂木氏は将来を見つめている。

日本生協連の果てしない挑戦を、CTCのクラウド技術が支援していく。

用語解説

SNS
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Network Service)。会員同士のつながりの促進や支援を提供するコミュニティ型のサービス。

Oracle Coherence
高い可用性と高速なレスポンスを提供するインメモリ・データグリッド・ソリューション。複数ハードウェアのメモリ空間を統合して仮想化することで、高いスケーラビリティを持つ。

FreeMarker
Javaで動作するオープンソースのテンプレートエンジン。

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