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事例・レポート

事例

電力自由化が求める事業継続性

中国電力株式会社 様

会社名
中国電力株式会社
所在地
広島県広島市中区小町4-33
設立
1951年
URL
http://www.energia.co.jp/index.html

VMwareとEMCの技術で理想的な「自律型データセンター」の構築を目指す

中国電力では、2016年4月の電力自由化に伴って、ITインフラの信頼性をこれまで以上に高める仕組みが求められていた。膨大な検針データを扱う「メーターデータ管理システム(MDMS)」は、他の事業者を含めた事業継続計画が特に重要だった。そこで同社では、2013年にCTCが発表した「自律型データセンター」に注目し、VMwareとEMCの技術を活用して2つのデータセンターを仮想的な1つのデータセンターとしてシームレスに統合。事業継続性と運用性を大幅に向上させた。

中国電力株式会社 執行役員 情報通信部門(情報システム) 部長 丹治 邦夫氏

中国電力株式会社
執行役員
情報通信部門(情報システム)
部長
丹治 邦夫氏

中国電力株式会社 情報通信部門(情報基盤グループ) マネージャー 堀場 靖雄氏

中国電力株式会社
情報通信部門(情報基盤グループ)
マネージャー
堀場 靖雄氏

中国電力株式会社 情報通信部門(情報基盤担当) 副長 三原 辰司氏

中国電力株式会社
情報通信部門(情報基盤グループ)
副長
三原 辰司氏

中国電力株式会社 情報通信部門(情報基盤グループ) 担当係長 坂本 邦雄氏

中国電力株式会社
情報通信部門(情報基盤グループ)
担当係長
坂本 邦雄氏

導入背景

2016年の電力自由化 ITインフラの可用性向上が急務

中国電力は、「エネルギア」というコンセプトおよびブランドで、中国地方を中心に電力を供給する電気事業者である。2016年4月の電力自由化に伴って、会員制Webサイト「ぐっとずっと。クラブ」を開設し、新プラン の提供を開始すると共に、広島東洋カープや地場企業との提携によるポイントサービスのような新しい取り組みも強化している。

電力自由化においては、各家庭や企業にスマートメーターが設置される。従来は月ごとに検針員が訪問して電気メーターをチェックしていたものが、今後はネットワークを通じて30分ごとに検針データが収集される。また、これらのデータは他の電力事業者へ適切に提供する必要がある。

中国電力のIT部門を統括する執行役員情報通信部門(情報システム)部長の丹治 邦夫氏は、「新しいサービスやITインフラを、より安定的に提供するための仕組みが必要になりました。中でも検針データは、私たちが事業を遂行するうえで最も重要な要素の1つです。その仕組みを担うメーターデータ管理システム(以下、MDMS)は、特に止まることが許されません」と述べる。

中国電力では、2011年に同社およびグループにサービスを提供する「エネルギアクラウド」の運用を開始すると共に、東日本大震災から災害対策の重要性を学び、ディザスタリカバリを強化してきた。

しかし、既存の2つのデータセンターはアクティブ/スタンバイ構成になっており、災害復旧に必要な重要システム以外は、完全なリカバリに時間がかかることが分かっていた。このままでは、MDMSに求められる可用性・事業継続性を満たすことはできない。

2016年の電力自由化に向けて、MDMSインフラを既存のエネルギアクラウド上に実装することは決定していたが、この可用性・事業継続性をどのように実現すべきかという課題が残されていた。その手法を検討していた時、目に留まったのが、2013年に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が発表した「自律型データセンター」だった。

中国電力の情報通信部門(情報基盤グループ)マネージャー 堀場 靖雄氏は、「当社の保有する2つのデータセンター間で自律型データセンターを構築できれば、高い信頼性と可用性、そしてパフォーマンスを示すシステムが構築できるのではないかと考えました。ユーザーが2つのデータセンターの違いを意識せず、シンプルに運用できる仕組みとして、最適なインフラになると確信しました」と、当時を振り返る。

そして2015年1月、MDMSインフラをCTCと協同で構築することが決まった。

課題と効果

課題と効果

システム概要

全てのリソースを仮想化してシームレスな仮想データセンターを構築

中国電力は、広島と岡山に設置された2つのデータセンター間をネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX」によってL2(レイヤー2)延伸したネットワーク基盤を構築し、MDMSインフラを搭載した。

中国電力の情報通信部門(情報基盤グループ)担当係長 坂本 邦雄氏は、「他にもSDNを実現する技術や製品を検討しましたが、既存のネットワークに大きな変更を加えることなく導入できるのは、VMware NSXだけでした。同一IPアドレスでシンプルな運用が可能というのも選定要因の1つです」と評価する。

MDMSの仮想化環境には、使い慣れた「VMware vSphere」を選択した。運用管理ソフトウェア「VMware vRealize OperationsManager」を用い、MDMSインフラ上の仮想マシンだけではなく、約1,200台に及ぶエネルギアクラウド上の仮想マシンについても可視化した。

VMware vRealize Operations Managerの効果について、堀場氏は「運用事業者に依頼していた月次レポートを、自動で作成できるようになった点は大きいですね」と述べる。

加えて、構築中に発生したトラブルも、「VMware vRealize Log Insight」によって迅速に解決できたとのことで、運用時の効果にも期待する。

ストレージ基盤には、これまでもユーザーとして信頼を寄せていたEMCジャパンの製品が採用された。

まず、「EMC VMAX 40K」を各サイトに導入し、メインのストレージとして活用する。さらに分散ストレージ連携技術(フェデレーション)を持つ「EMCVPLEX Metro」を設置してストレージを仮想化し、両サイトから透過的にアクセス可能な共有ボリュームを構築。サイト間でサーバに影響を与えずに、データを同期できるようにした。これにより、ITサービスを止めずにシステムをメンテナンスすることも可能となった。

「EMC VMAXは信頼性とメンテナンス性が高く、安心して運用することができます。EMC VPLEXは、他社ストレージも接続できる拡張性が魅力の1つですね。また、高信頼な完全同期を図れるソリューションは、他にはありません」(坂本氏)。

中国電力はこうして、サーバ、ネットワーク、ストレージの3層を仮想化することによって、2つのサイトの隔たりがない仮想データセンターを実現した。広島-岡山間(約140キロ)の長距離間での仮想データセンターは国内最大規模である。

中国電力の情報通信部門(情報基盤グループ)副長 三原 辰司氏は、「開発部門やユーザー部門は、どちらがアクティブだ、スタンバイだと考える必要がありましたが、今は意識する必要はありません」と述べ、「運用管理を委託しているエネルギア・コミュニケーションズからも、新しい要望や不満は聞いておりません。スピーディな開発や円滑な運用を促すインフラだと確信しています」と強調する。

中国電力が構築した仮想的なデータセンターの構成図

中国電力が構築した仮想的なデータセンターの構成図

今後の展望

理想のITサービスへ大きな一歩 CTCの支援に大きな期待を寄せる

利便性や運用管理性の向上はもちろんだが、中国電力にとって最も重要なことは、BCPが劇的に強化できたことだろう。2つのデータセンターがアクティブ/アクティブで稼働していることにより、半日で復旧できるようになったという。

とはいえ、まだ課題は残されている。MDMSは巨大なため、一般的なWebサーバなどと比べて、マイグレーションに時間がかかるのだ。またネットワークをスムーズに移行するために、運用の見直しも必要となるだろう。エネルギアクラウドに搭載するMDMS以外のシステムも、同様の冗長化が図れるように移行したい。

しかし丹治氏は、中国電力が目指すITサービスに対して「まだ一歩にすぎないが、大きな一歩である」と評価する。

「CTCは、当社のビジネスを深く理解して、EMCジャパン、ヴイエムウェアと協力し、準備段階から的確なサポートを提供してくれました。そのおかげで、理想とするITサービスに向けたスタートを切ることができました。各社の製品やサービスは非常に信頼性が高く、親身に要望を聞いて、それに応えてくれたと感じています。今後もこの3社は、共に走り続けるパートナーとして、大きな支援を期待しています」と述べる。

中国電力では、より安定的な電力供給と利便性の高いITインフラの実現に向けて、既存の課題の解決や新しい仕組みの導入を積極的に行っていくという。CTC、EMCジャパン、ヴイエムウェアのサービスとテクノロジーが、同社の取り組みを支えていく。

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