事例

株式会社ジャパンディスプレイ 様

更新

「TechnoCUVIC」でワールドワイドなIT基盤を5カ月で構築

  • TechnoCUVIC

組織をあげて我々の右腕として柔軟に対応してくれました

企業のグローバル化や、ワールドワイドレベルでの事業統合や分社化・グループ化などが活発になっている。ITシステムは、事業の成功を大きく左右する重要なものとなっている。世界中で同じように使える仕様の標準化、環境変化に対応できる柔軟性、そして早期の事業開始を実現するスピード。ソニー、東芝、日立の中小型液晶ディスプレイ部門を統合して誕生した株式会社ジャパンディスプレイ(以下ジャパンディスプレイ)は、正式契約からわずか5カ月で事業を開始し、順調に売上を拡大している。このスピーディな立ち上げを支援したIT基盤が、CTCとそのクラウドサービス「TechnoCUVIC」であった。

課題と効果

課題
  • グローバルに活用できるシステム
  • 変化に強いシステム
  • 極めて短期間での構築"

CTCクラウドサービス「TechnoCUVIC」の採用

効果
  • 競争力の維持と強化
  • ライフサイクルの短い電子部品市場への対応
  • ワールドワイドなロケーションフリー
  • 世界統一のワークスタイルを実現"

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社ジャパンディスプレイ
所在地
〒105-0003 東京都港区西新橋三丁目7番1号 ランディック第2新橋ビル
設立
2012年4月1日
資本金
2300億円(資本準備金を含む)
URL
http://www.j-display.com/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社ジャパンディスプレイ 情報システム部 プロフェッショナル望月 達也 氏

    株式会社ジャパンディスプレイ

    情報システム部 プロフェッショナル

    望月 達也 氏

導入背景

日本の世界戦略を担うジャパンディスプレイ

かつて世界市場を圧倒した日本の製造業の国際競争力の低下が指摘されている。だが、電子部品など十分な競争力、高い技術力を維持している分野も少なくない。中小型液晶ディスプレイもその1つだ。とりわけ、この分野はスマートフォンやタブレット端末の普及で、市場が急成長しており今後の将来性も大きい。

それだけに海外勢の伸長も著しく、これに対抗するために官民ファンドである産業革新機構(INCJ)からの出資を受け、2012年4月1日、ソニー、東芝、日立の中小型液晶ディスプレイ部門を統合してジャパンディスプレイが誕生した。3社のシェアを合わせると、世界トップクラスの規模である。

ディスプレイ業界は常に新たな投資が求められ、企業の体力が競争力を左右する。日本企業各社が個々に投資するよりも、統合して世界有数の会社を設立するべきという日本の世界戦略も背景にあった。

この3社の最先端技術や生産手法を集約し誕生したディスプレイが「イノベーションビークル」だ。超薄型・省電力とともに、新IPS技術による広視野角と高コントラストを実現している。2012年12月の「FPD International 2012」に出展し、プロトタイプながら内外から大きな反響を得た。

新会社の事業基盤を構築

新会社設立の準備と同時にITシステムの構築も開始された。「新会社の構想はITシステムのデザインそのものです。ビジネスモデルも業務フローも、事業基盤となるITシステムと切り離すことはできません。中小型液晶ディスプレイ業界をグローバルにリードする新会社の事業をいかに支援するか。理想とするITシステムを追求しました」と、同社 情報システム部 シニア ゼネラルマネージャー 矢野知隆 氏は強調する。

そのコンセプトの1つが「グローバル」であった。母体となった各社ともに、活発に海外展開をしている。販売拠点のみならず製造拠点も海外にある。これらを統合し、一元管理するためのグローバルなIT基盤が求められた。

2つ目が「変化に強いシステム」である。電子製品はライフサイクルが短く、期単位あるいは月単位で求められる仕様が異なってくる。急激な拡張も考えられるし、その逆もある。そのめまぐるしく変化する市場へ対応しなければならない。

そして、3つ目が「スピード」。新会社設立の基本合意は2011年8月末。正式契約は2011年11月で、翌年4月の業務開始まで半年もなかった。「新システム構築の準備は、具体的なことはほとんど決まっていない状態で、手探りで走り出した形です」と、情報システム部 望月達也 氏は振り返る。

技術力と組織力に期待しCTCを選定

企業統合においては、しばしば「片寄せ」が行われる。比較的規模の大きい企業のITシステムに他社のシステムを統合する手法である。「グローバルや柔軟性を追求するために、片寄せは考えられませんでした。アプリケーションの流用はあるにせよ、インフラは全て新規構築となりました」と、望月氏は語る。

更にスピードを加えたコンセプトを実現するため、重要なキーワードとなったのが「クラウド」であった。「適正なITコストを維持するためにもオープンクラウドを採用し、利用し尽くし、最新のテクノロジーを常に使い続けることにしました」(矢野氏)。スケジュールとしては、2012年4月の事業開始までに基幹系と販売系を構築。2012年6月にはワールドワイドなネットワークを完成させ、2013年4月には各製造拠点もシステム統合して、各社の親会社のシステムから切り離すことが決定した。

その大規模なシステムに採用されたのがCTC案であり、中核となったのがクラウドサービス「TechnoCUVIC」(テクノキュービック)であった。「大規模なクラウドシステムを構築できる技術力はもちろん、世界中にネットワークを張ることができる拠点があること、たとえ拠点がなくてもパートナーと組むなどの体制をつくり保守できること。これら技術力と組織力をCTCに期待しました」と、望月氏が採用の理由を語る。

システム概要

オープンクラウドの徹底活用

システム概要イメージ

「TechnoCUVIC」は、仮想サーバ、仮想ストレージ、ネットワークを組み合わせて提供するIaaS型のサービスである。CTCの所有するデータセンターから提供され、高信頼性・低コストであることはもちろん、拡張や縮小にもスピーディに対応できる。
インフラのみならず、アプリケーションもオープンなクラウドサービスを多く利用している。例えばメールも自社でメールサーバをたてることなく、クラウド環境を利用し、ファイルサーバも自社では所有していない。

ワールドワイドなWAN構成は、ネットワークに卓越したCTCが設計。現地のスタッフがルータを設置設定し、日本国内と同様に使えるよう試験を繰り返した。ネットワークだけではない。各拠点にパソコンも配備し、オフィスのIT環境も整備。そのサポート体制も拠点ごとに作り上げていった。

類を見ない大規模なグローバルシステムだけに、苦労も多かった。会社が統合される前のため、どの国のどの地域にネットワークを張るか、なかなか決まらない。それでいて、決まるとすぐに現地での作業が開始される。しかし、それぞれの国に異なる法令があり、商習慣がある。申請してから認可までの期間も異なる。その調査から開始しなければならなかった。

「かつてはこのような海外拠点展開はそれぞれの親会社がITサポートをしてくれていました。新会社では、全て自分たちでやらなければなりません。1国あるいは1地域ずつじっくり取り組む時間的な余裕はなく、一気に稼働させなければなりませんでした」(望月氏)。

導入効果

適性コストで競争力を強化

新システムは構築途上にあり、目に見えて効果が現れている状況ではないが、変化に強いITインフラを実現することができた。

グローバルスタンダードな製品を選定し、カスタマイズは加えず、標準仕様で使用している。変化に強いシステムとなるうえ、各地域での固有性をなくし、同じワークスタイルで作業できる。

「モバイルも最大限に活用しています。完全なロケーションフリーです。国内レベルではないワールドワイドなロケーションフリーとなっています」(望月氏)。

更に望月氏が指摘するのはこれらを適正なコストで実現していることだ。「3社が集まったからといって、規模も3倍、コストも3倍では意味がありません。コストは適正な範囲に収めています。我々のデザインしたITシステムは、事業を十分に支援していると自負しています」と望月氏は語る。

今後の展望

守りから攻めのITシステムへ

ジャパンディスプレイ情報システム部の皆様

ジャパンディスプレイ情報システム部の皆様

ジャパンディスプレイでは、ソニー、東芝、日立の既存工場だけではなく、茂原に新工場を建設しており、ラインの増強が急ピッチで進んでいる。各製造拠点のシステムのIT統合を進めており、そのカットオーバーを2013年に予定している。

「これで新会社としてのベーシックなシステムの構築は一段落します。ここまではいわゆる守りのシステムでした。これからは攻めのシステムです。経営者の判断を支援する、営業力を強化する、需要変動への高い追従性を実現する、そのようなシステム構築に着手していきます」と、望月氏は抱負を語る。

望月氏はCTCの功績も高く評価する。「我々は知っている範囲が限られています。グローバルも含め、いろいろな世界を知っているCTCには助けられました。これからの新システムはもちろん、サポートも本格化します。心強いパートナーとして今後ともぜひ一緒にやっていきたいと思いますね。未確定な部分が多い中、決まれば一気に走り出すという状況で、CTCの技術力はもちろん、組織をあげて音を上げることなくここまで支援してくれたと思います。」

最後に矢野氏は、「システムは構築中ですし、理想と現実のギャップも多くある、まだまだ道半ばです。しかし、今後とも理想を追い続けていくのが我々情報システム部員の努めです。今後もぜひ協力してほしいと思います」と、締めくくった。

用語解説

新IPS技術
IPSは「In Plane Switching」の略で液晶ディスプレイの一形式。今回広視野角と高コントラストの「IPS-NEO」技術を開発した。

IaaS
クラウドのサービス形態の1つで、インフラをサービスとして提供する。

ロケーションフリー
モバイルを利用することで、立地条件に左右されずどこでも同じように情報の受発信ができること。

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