事例

関東自動車工業株式会社 様

更新

サーバ、ストレージ、運用を統合する全社共通のIT基盤を構築

CTCのSI能力が実現する全社的なシステム統合とインフラの共有化

全社的なシステム統合や全体最適化は、早くから理想として追求されていたが、多くの会社が踏み切れないでいた。そんな中、関東自動車工業が、社内各アプリケーションの共通インフラとなる統合IT基盤を構築。仮想化技術により102台ものサーバを集約するとともに、ストレージの階層化と統合に着手した。全社規模で仮想化技術を取り入れた、先進的なシステム統合である。仮想化による実験的なサーバ統合から、全社的なITインフラ全体の共通化へと時代は一気に進もうとしている。そして、その統合IT基盤の構築能力を持つのがCTCなのである。

課題と効果

課題
  • コスト削減
  • 災害時の早期復旧
  • 運用の統一と最適化

全社システムの統合IT基盤を構築

効果
  • サーバとストレージの統合で4割のコスト削減
  • 災害サイトへのデータバックアップによるディザスタリカバリの実現
  • プロジェクトを立ち上げ、全社で運用業務を標準化

導入事例インタビューデータ

会社名
関東自動車工業株式会社
所在地
神奈川県横須賀市田浦港町無番地
資本金
6,850百万円
従業員
5,758人 (2008年3月31日現在)
URL
http://www.kanto-aw.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 関東自動車工業株式会社 本社・情報センターIT推進部 部長新倉正道 氏

    関東自動車工業株式会社

    本社・情報センターIT推進部 部長

    新倉正道 氏

  • 関東自動車工業株式会社 本社・情報センターIT推進部 第1システム室 室長森分清孝 氏

    関東自動車工業株式会社

    本社・情報センターIT推進部 第1システム室 室長

    森分清孝 氏

  • 関東自動車工業株式会社 本社・情報センターIT推進部 第1システム室門前総一氏

    関東自動車工業株式会社

    本社・情報センターIT推進部 第1システム室

    門前総一氏

導入背景

本社移転を機に全社統合IT基盤を検討

集合写真

関東自動車工業はトヨタグループの中核企業として、乗用車の企画・開発・生産と、トヨタホームブランドの住宅躯体を製造している。とりわけ車では、一時代を画した小型スポーツカーのトヨタスポーツ800やレビン/トレノ(AE86)をはじめ、小型車から大型高級車まで多種多様な車の開発や生産を手がけ、現在はカローラやベルタ等のコンパクトクラスを中心にセンチュリーやレクサスSC430といった高級車までを生産している。

同社では2006年8月、本社機能と技術開発・生産技術部門を、神奈川県から静岡県に移転。「この移転の際にITシステムを統合し、全社共通のIT基盤を構築できないか検討しましたが、時期尚早との結論が出ました。仮想化の統合技術が途上の時期で、大規模な実績もありませんでした」と、関東自動車工業株式会社 本社・情報センターIT推進部 部長 新倉正道 氏は振り返る。

同社では、開発本部やエンジニアリング本部、生産本部など、部門ごとにシステムを構築しており、そのサーバ数は270台にも及んでいた。これらサーバに接続されているストレージも多数存在し、運用の作業内容もレベルも統一されていなかった。

サーバ、ストレージ、運用の統合を目指す

移転した年の10月、改めてプロジェクトチームを発足し、IT基盤の統合と共有化が可能かどうかの検討に入った。そこで、目標として上がった項目は4点。「コスト削減」「災害時の早期復旧」「運用の統一と最適化」、そして「ビジネス拡大への対応」だった。

「自分たちだけでは分析や検証のノウハウも不足していますし、時間もかかります。そこで外部企業にコンサルティングを依頼しました」と、同 第1システム室 室長 森分清孝 氏は語る。このコンサルティングの期間は2007年1月から4月まで。情報インフラの現状分析、新システム構想の立案、移行計画までを依頼している。

その結果、仮想化により既存サーバの統合は可能と判断された。ストレージも統合することで、ディスクの使用効率も大幅に改善できることが判明した。インフラ構築に必要なコストとハードウェアの設置スペースも削減できる。「これら統合IT基盤構築で削減した費用を災害対策に回し、システムの信頼性と可用性の向上を目指すことにしました」(森分氏)。

システム概要

マルチベンダー環境でのSI能力でCTCを採用

コンサルティング会社からの報告書を元にRFPを作成。2007年7月、これをメーカー、SIerを含め10社以上に配布し、提案を求めた。こうして、最終的に全社統合IT基盤の構築ベンダーとして決定したのがCTCであった。

「我々は初めに幅広くベンダーに提案を求め、公平に審査しました。その中でCTCは総合的に優れていました。特に、特定のメーカーに偏ることなく、理想的なマルチベンダーシステムになっていました」と、同 第1システム室 門前総一 氏はCTCの提案力を評価する。「ユーザー主導で長く使えるシステムが理想です。特定のベンダー製品を中心に構築すると、囲い込まれて柔軟性がなくなります。CTCにはそんな危惧がありませんでした」と、森分氏も補足する。

「実績という点で、心配はありました。それまで当社でお願いしたのはUNIXマシンの導入程度でしたから。ある意味大変な冒険であり、チャレンジでした。しかし、営業やSEと対話を重ねるうちに、次第に不安は解消されていきました。何より、CTCには絶対に失敗できないという、熱意がありました。全面的にサポートを得られると確信できました」と、新倉氏はCTCの熱意を認めている。

102台のサーバを集約、ILMでストレージを階層化

システム概要図

270台のサーバのうち、集約の対象となったものは102台。解析系に使用しているサーバ群や基幹系の生産管理・経理システムなどは対象外となったが、VMware社製品の導入により、HP社製ブレードサーバに集約している。

ストレージはEMC社製を採用。NAS(Network Attached Storage)では、ILMの考え方を元に、頻繁にアクセスするデータとそうでないデータをレベル分けし、アクセス頻度の低いデータはアーカイブ専用のストレージに保存する。「ファイルサーバに蓄積されている8割ほどのデータは、保存義務はあるもののほとんどアクセスされないデータでした。これらをアーカイブ専用ストレージに移行することで、ストレージコストの削減が期待できました」(門前氏)。

ストレージの階層化は、SAN(Storage Area Network)においても実施されている。システムの重要度によってTier1からTier3に分類し、使用するストレージも分けている。「このストレージの使い分けにより、投資を軽減できます」(門前氏)。

サーバとストレージの統合化によるコスト削減により、遠隔地にバックアップデータを蓄積する災害サイトを構築した。NASはストレージの機能で自動的にバックアップ。SANはデータレプリケーション用のアプライアンスを利用することで、災害サイトへバックアップしている。「マルチベンダー対応のアプライアンスを利用することで、ストレージのベンダーや機種を選びません。本社と同等の高価なストレージを災害サイトに設置する必要がありませんから、これもコスト削減に繋がりました」(門前氏)。

導入効果

4割のコスト削減

新たな統合IT基盤は、2008年11月にプラットフォームがほぼ完成。12月には引き渡され、以降アプリケーションの移行作業に移る。このプラットフォーム部分において、当初から期待されていたコストの4割削減が見えてきた。「コスト削減は構築だけではありません。今後の運用や拡張のコストも大幅に削減できます。また、災害対策により、万一の災害時にも早期復旧が可能となりビジネスを止める心配がありません。これらにより社員はビジネスに打ち込むことができ、システムは会社の成長に柔軟に追随できるのです」と、森分氏は語る。

運用の標準化も進んでいる。2008年9月にはプロジェクトチームを発足。「運用の標準化は大きな課題でした。これまでは部門ごとにまかせていましたし、それぞれの部門でさえルール化が、しっかりとされていない状態でした。そこで、この統合IT基盤のインフラ部分では、統一した運用ポリシーとなるように標準化を進めています。また、これを統一するのは、サーバやストレージの統合と同じレベルの労力が必要になります」(新倉氏)。この運用プロジェクトにもCTCが参画。「CTCは幅広い企業で多くの運用実績があります。CTCからのアドバイスは大変貴重で、助かっています」と、門前氏はCTCの運用ノウハウを認める。

今後の展望

2008年度と2009年度で対象サーバの8割を集約

2008年12月からアプリケーションの移行がはじまり、2009年3月には第1フェーズがカットオーバーされる。「その後もアプリケーション移行は続行されます。2008年度と2009年度にサーバのリプレースが集中しており、この2年間で8割ほどのサーバを集約できる予定です」(門前氏)。

CTCの評価として森分氏は「CTCは自社製品を保有していないためマルチベンダー環境に精通していると感じています。提案していただいた機器構成で機能していない機器もありませんし、組み合わせの失敗もありません。また、プロジェクトマネジメントが優れているため、安心してまかせることができます」と語る。

また、新倉氏も「ユーザー視点で親身になって提案や作業を進行していただいています。選んで正解でした。このプロジェクトは絶対に失敗できませんし、構築したらおしまいでもありません。末永くご協力をお願いしたいと思います」と、CTCに期待している。

プラットフォームの統合と共通化の後は、アプリケーションの統合も視野に入ってくる。「統合IT基盤構築の次のステップとして、IT部門としてできることは、EA(Enterprise Architecture)ベースに、SOA(Service Oriented Architecture)技術を取り込み、アプリケーション統合を推進することではないかと考えています。これら最新技術をしっかり検証し、次に挑戦していきたいと思います」と、森分氏は次のゴールを見据えている。今後の挑戦を支えることになる全社共通のIT基盤を構築することにより、CTCは関東自動車工業のビジネス拡大を支援していく。

用語解説

ILM(Information Lifecycle Management)
情報の重要度や利用頻度、またはこれらの変化に応じて、格納に適したストレージ移動・配置すること。

EA(Enterprise Architecture)
全社的な業務手順や情報システムの標準化、組織の最適化を進め、効率よい組織の運営を図る考え方。

SOA(Service Oriented Architecture)
ソフトウェアをサービス単位の部品(コンポーネント)として、それらを組み合わせることでシステムを作る設計手法。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。