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事例・レポート

事例

広告配信システムに 「IBM Netezza TwinFin」を採用

株式会社マイクロアド 様

会社名
株式会社マイクロアド [ 英文表記:MicroAd, Inc.]
設立日
2007年7月2日
本社所在地
〒150-0044 東京都渋谷区円山町 19-1
渋谷プライムプラザ 9 階
資本金
8,750 万円
URL
http://www.microad.jp/

株式会社マイクロアド アドネットワーク事業本部 システムグループマネージャー
松田 佑樹氏

 株式会社マイクロアド(以下マイクロアド)は、オンライン広告配信サービスを提供する企業である。1日に3億件の広告配信システムの広告効果分析や次期商品開発向け解析のために「IBM Netezza TwinFin」が採用された。

導入背景

1 日 3 億件の広告配信に対する取引伝票情報を多角的に分析したい

 マイクロアドは、親会社である株式会社サイバーエージェントの一部門としてインターネット広告配信事業を展開していたが、2007 年 7 月に独立。現在、コンテンツ連動型広告である、MicroAd ターゲット、ユーザーの趣味嗜好を分析して配信する MicroAd 行動ターゲティング、広告主サイトへの訪問者に対して、広告を再配信する MicroAd リターゲティング、キャラクターを育成するコミュニケーションサービス meromero park(メロメロパーク)などの事業を展開している。
 マイクロアドの事業の中核であるインターネット広告配信サービスは、「アドネットワーク」と呼ばれるビジネスモデルである。アドネットワークとは、大量の広告とウェブサイト、そしてウェブサイトの利用者をネットワーク化し、IT システムを活用することでそれらを自動的にマッチングさせ、ウェブサイトの利用者にとって最適な広告を配信するための仕組みだ。
 現在、マイクロアドでは、ポータル系、ニュース系、エンタメ系、IT 情報系、金融系、女性系、ブログ、専門媒体、地域情報・口コミ情報など、さまざまなウェブサイトにマイクロアドの広告枠を設置してもらい、そこに自動的に広告を配信している。
 アドネットワーク事業本部 システムグループ マネージャーである松田佑樹氏は、次のように語る。「広告とウェブサイトの利用者のマッチング方法としては、リターゲティング、行動ターゲティング、コンテンツ連動型の大きく 3 つの手法を採用しています」
 コンテンツ連動型は、ウェブサイトのコンテンツを言語解析し、そのコンテンツ内容に近い広告を選択して配信する手法。リターゲティングは、広告主サイトの訪問履歴をもとに、一旦そのサイトを離れた訪問者がマイクロアドの提携サイトにアクセスしたとき、以前離れたサイトの広告をピンポイントに掲載する手法。
 そして行動ターゲティングは、サイトの利用者が過去に閲覧したページなどの行動履歴データと、広告主サイトの訪問者の行動履歴データを解析し、広告主にとって最適なユーザーを探し出して、ピンポイントに広告を配信する。
 現在、マイクロアドが展開するアドネットワークに参加している広告主の数は数百社で、広告配信先の媒体数は数万サイトの規模で、広告を見ている利用者は月間 5000 万人以上、1 日の広告表示回数は3 億回を超えるという。

 松田氏は、次のように語る。「これは、毎日 3 億件を超える予測できない取引伝票が発生しているということです。そこで、3 億件の取引伝票に対し、1 件ごとに正確な取引伝票を生成し、誰もがそのデータを多角的に分析したり、閲覧したりできる仕組みを実現したいという思いがありました」

課題

集計分析 BI および発見型 BI、2 つのアプローチ

 マイクロアドでは、広告主、広告掲載サイト、ウェブサイトの利用者にとって、より高い広告効果と収益を提供することを目的に、集計分析 BI および発見型 BI という 2 つのアプローチにより予測・分析システムを構築している。
 集計分析 BI は、蓄積されたデータをさまざまな角度から集計分析することで、販売活動の見える化を推進し、業務を最適化することが可能。一方、発見型 BI は、大量のデータに対して、統計・予測分析を行うことで、効果・効率を最大化する高度な広告配信システムを実現することができる。
 従来は、この 2 つの仕組みを実現するために、各種マスタデータやログデータなど、テラバイト規模のデータを、オープンソースのデータベースである MySQL に蓄積し、取引伝票の生成やプロファイリングデータの長期分析などを実施していた松田氏は、「分析・閲覧方法としては、単純に SQL クエリや、MapReduce と呼ばれる分散並列処理用フレームワークを利用して、データにアクセスしていました。また統計解析ツールとして、IBM SPSS などの BI ツールも利用していました」と話す。
 しかし SQL クエリでは、テラバイトクラスのデータへのアクセスは現実的に実行不可能であり、またMapReduce は、定型処理に関してはパフォーマンスに問題はないものの、非定型処理においては運用が困難だった。さらに IBM SPSS も、あまり長期で大規模なデータ分析は得意としていないなど、さまざまな課題を抱えていた。

システム概要

圧倒的な総合評価の差で Netezza を採用
 マイクロアドでは、MySQL を中核とした予測・分析システムが抱える課題を解決するために、新たな予測・分析システムを構築することを決定。3 社のデータウェアハウス(DWH)製品を比較検討した結果、IBM Netezza TwinFin(以下、Netezza)を採用することを決定した。
 選定のポイントとなったのは、(1)処理件数とスピード、(2)アドホッククエリの性能、(3)運用の簡便性の大きく3 つのポイントだった。松田氏は、「Netezza を含めた DWH 製品の検証では、3 つの製品それぞれに 5 日分の実データをロードし、同じクエリを実行した場合の性能を比較しました」と話す。
 その結果、1 つ目の DWH 製品は、データのロードだけで 3 日間かかってしまい、試行錯誤の甲斐もなく、最終的に中途半端なデータしかロードできなかった。また、2 つ目の製品は、検証用のクエリに最適化されたチューニングが施されており、チューニングをしていない状態での検証では性能に問題があった。
 一方、Netezza の検証に関しては、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)が行った。CTC九段テクニカルソリューションセンター(TSC)に設置されている Netezza に、実データをローディングし、クエリ性能などの検証が実施された。
 松田氏は、「他社は提供した5 日分のデータしか検証してくれませんでした。しかし CTC では、5 日分のデータを、3 カ月分、6 カ月分にそれぞれ増幅し、最大で約 377 億件、15 テラバイト程度のデータを作ってクエリ性能の検証を実施してくれました。データを増幅して実施した検証の結果も非常に良く、Netezza のパフォーマンスの良さをあらためて実感しました。このことにより、CTC のサポートにも非常に良い印象を持ちました」と話す。
 検証の結果も単純クエリの性能においては、3 製品とも大きな差はなかったものの、データを増幅させた場合やローディングの性能、チューニング、運用性などを総合的に判断した結果では、「圧倒的に Netezzaが優勢でした」と松田氏は言う。
 マイクロアドでは、2010 年 2 月から 1 週間程度、実機による検証を実施し、その後、約 1 カ月かけてシステム構築のための検討を実施。3 月後半から約 3 日間という短期間でNetezzaを導入し、4 月より本格的な運用を開始している。

導入効果

Netezza 導入でクエリ性能が MySQL の 100 倍に

Netezza から抽出された情報は、オフィスの天井に設置されたモニターで表示

 Netezza を導入した効果を松田氏は、次のように語る。「Netezza と MySQL では、クエリ性能が100 倍以上の差となっています。また、行動ターゲティング分析で利用している IBM SPSS は、以前はあまり長期の分析はできませんでしたが、Netezza を導入したことで長期間のデータも容易に分析できるようになりました」
 マイクロアドでは、Netezza を導入した新しい分析システムを「Vernier(バーニア)」と呼んでいる。
 Vernier とは、ノギスの副尺やロケットの姿勢制御エンジンのこと。松田氏は、「Vernier という名称には、我々のビジネスにおいて、情報を精密に集計・分析し、事業の向かう先を的確に姿勢制御したいという意味が込められています」と話す。
 Vernier では、マスタデータやログデータから必要な情報を抽出し、変換してNetezza にロードし、各担当者が PC から大量データに対するアドホック分析を実施する仕組みになっている。Netezza から抽出された情報は、オフィスの天井に設置されたモニターでリアルタイムの分析情報としても表示される。
 松田氏は、「オフィスの天井にモニターを設置することで、これまで見えにくかったあらゆるデータを見える化することができました。これにより、社員一人一人に業務改善や効率化の意識が一気に芽生えました」と話している。

今後の展望

次世代広告配信システム構築に向け iClass に期待

「次世代広告配信システムの実現に向け、iClass に大きな期待を寄せています」

 今後、マイクロアドでは、Netezza を導入した Vernier を中核に、次世代広告配信システムの実現を目指している。松田氏は、「これまでの配信システムは、マッチングロジックの判断にゆだねられているために、どのサイトにどの広告が表示されるかは、表示される瞬間まで分かりませんでした」と話す。
 しかし、予測・分析システムと Netezza の処理能力の強力な連携により、数百社数十万件の広告と数万サイトの媒体、5000 万人のサイト利用者のすべての組み合わせを予測・統計解析し、広告効果と収益性が最大化するパターンを瞬時に発見、最適な広告を配信する次世代広告配信システムの実現を目指している。
 松田氏は、「次世代広告配信システムでは、解析対象データが膨大になるため、Netezza ソフトウェア・リリース 6.0 で標準サポートされる iClass を活用する計画です。これにより、外部の BI ツールを使うことなく、Netezza の中で、大量データに対して、より高速に予測や統計解析が可能になります」と今後の期待について語っている。

用語解説

アドネットワーク
アドネットワークとは、複数のWebサイトをネットワーク化し、様々なターゲティング手法を用いて、ネットワーク内のサイトに一元的に広告を配信できるサービスの総称。

行動ターゲティング
行動ターゲティング広告とは、Web閲覧ユーザーのWeb上での過去の行動履歴や過去の検索履歴を利用して、そのユーザーの興味・関心を推測して最適な広告を配信する手法。

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