事例

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 様

更新

システム提供のリードタイムを短縮し新規システムの構築コストを半減

VMPoolを採用しSOITでプライベートクラウドを構築

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)のクラウド構築手法「SOIT」とプライベートクラウド基盤「VM Pool」を採用し、プライベートクラウドを構築した。さらに、この上にシステムを構築するためのアーキテクチャーおよび運用の標準化を実現。これにより、柔軟かつ迅速にサーバやストレージなどのリソース提供が可能となり、これまで設計からシステムリリースまで3カ月以上かかっていたリードタイムが1カ月程度に短縮され、システム構築コストも大幅に削減できたという。

課題と効果

課題
  • サーバ機器やライセンスなど管理負荷の増大
  • 開発プロセスのばらつき

プライベートクラウドの導入による基盤環境の仮想化集約とシステム開発の標準化

効果
  • 業務基盤の安定性向上
  • 標準化されたサービス化により大幅なコスト削減

導入事例インタビューデータ

会社名
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
創業
1948年3月4日
資本金
180億円
従業員数
6621人(2011年3月現在)
会社名
MUS情報システム株式会社
創業
1990年6月29日
資本金
3億5000万円
従業員数
199人(2011年4月現在)
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社システム推進部 副部長前澤 新 氏

    三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

    システム推進部 副部長

    前澤 新 氏

  • MUS情報システム株式会社証券システム事業本部システム基盤部システム基盤二課長庵原 次郎 氏

    MUS情報システム株式会社

    証券システム事業本部 システム基盤部 システム基盤二課長

    庵原 次郎 氏

導入背景

個別にサイロ化したシステム 管理負荷とプロセスばらつきが課題

三菱UFJ証券とモルガン・スタンレー証券の投資銀行部門統合により誕生した三菱UFJモルガン・スタンレー証券。グローバルサービス力と商品供給力を高めるべく発足した三菱UFJフィナンシャル・グループの中核総合証券会社である。

証券業界の競争が激化する中、多様化する市場ニーズや顧客への要望に応えるには、証券業務を支える情報システムが重要な役割を担う。そこで同社は三菱UFJ証券ホールディングス子会社のMUS情報システムと連携し、様々なシステムの開発・保守に当たっている。

しかし、業務ごとに多種多様なアプリケーションが開発・利用されていたため、個別にサイロ化したシステムが乱立していた。「サーバ機器管理やライセンス管理などが煩雑になり、管理負荷の増大が課題になっていました」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の前澤新氏は話す。

開発におけるプロセスのばらつきも大きな課題だった。同社では、新規システムを開発する場合、個々のプロジェクトでそれぞれ独自の手法によって行われてきた。「しかし、基盤構築を行う上でOSやミドルウェアなどの利用基準および運用の仕組みが標準化されていなかったため、同一処理にもかかわらずシステム担当者ごとに実装方法が異なり、品質の均一化、システム維持管理要員の共有が難しい状況にありました」とMUS情報システムの庵原次郎氏は説明する。

システム概要

豊富な実績とノウハウを評価 短期間でスムーズな導入を実現

そうした中、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、基盤および運用の最適化に向けたプロジェクトを発足させ「STRONG-Cloud」と名付けた。今も継続的にPDCAを実施して成熟度を向上させている。その第一段として、プライベートクラウドの構築を計画。「基盤環境の仮想化集約とシステム開発の標準化を目指しました」と前澤氏は話す。

複数のベンダーを検討した結果、同社が最終的に選択したのが、CTCのクラウド構築手法「SOIT」である。決め手となったのは、金融・証券業界での豊富な実績と運用ノウハウだ。マルチベンダー対応である点も大きなポイントだった。「中立的な立場から、最適な技術、製品のベストな組み合わせを提案していただけるからです」と前澤氏はその理由を述べる。

プライベートクラウド基盤「VM Pool」を採用し、HPのブレードサーバ「HP ProLiant BL460c G6」に、共有ストレージとしてNetAppのユニファイドストレージ「NetApp FAS3140A」などを導入。さらに仮想化技術として「VMware vSphere」で、機能要件を満たすベストミックスを実現した。

このプライベートクラウドは2010年4月より開発を始め、同年10月から実運用を開始した。2011年6月現在、既に9システムが本番リリースされ、本番/UAT/開発の環境で約160台の仮想サーバが稼働中だ。

なお、本番環境では各種の業務系システムのほか、統合運用管理、特権ID管理、インシデント管理、メールチェックなどの運用系システムも実装されている。単なる仮想化集約だけでなく、システムやデータのバックアップなど各種基盤運用および監視の仕組みも標準化され、共通のサービスとして利用できる。「開発からカットオーバーまで約6カ月という短期間だったにもかかわらず、大きな問題もなくスムーズに導入を実現し、その後も安定稼働しています」と前澤氏は評価する。

これに加えてCTCは、OSやミドルウェアの標準化規約である「ITスタンダード」と「利用者向けガイドライン」を作成。ITガバナンスとセキュリティの強化、システム品質の均一化や新しいクラウド運用による効率化などに貢献している。

導入効果

業務基盤の安定性が向上 サービス化で大幅なコスト削減

プライベートクラウドは同社に様々なメリットをもたらしている。まず挙げられるのが、サーバやストレージのリソース提供をサービス化し、柔軟性のある仕組みとなったことだ。「例えば、業務の拡大や新規システムのリリースに応じて、最適なリソースを迅速に提供することが可能です。負荷状況に応じて仮想CPUやメモリーを増減できるため、業務基盤の安定性も向上しています」(前澤氏)。

システムの開発にも大きなメリットがある。従来はシステムごとに開発プロセスが異なるため、それぞれに基盤運用および監視の仕組みを用意する必要があった。今はそれらが標準化されたサービスとして利用できるので、機器の調達や準備にかかる手間が省けるだけでなく、運用や監視の設計・実装およびテストの必要がなくなり劇的に省力化されている。「従来は3カ月以上かかっていたシステムの設計からリリースまでのリードタイムを1カ月程度に短縮することができました」と庵原氏は満足感を示す。

しかも、リリース後に必要なくなった開発環境などのリソースは返却し、別のシステムに提供するなどリソースの有効活用も容易となった。「開発プロセスの短縮に加え、余剰リソースを抱える必要がなくなったため、開発に伴うトータルコストは従来に比べて半分程度に抑制されています」と前澤氏はそのメリットを語る。

今後の展望

STRONG-Cloudは今後も進化を続ける。具体的にはリソースの増強とサービスメニューを拡充すると共に、銘柄管理システム、連結決算支援システムなど、より幅広い業務システムへの適用を図り、クラウドのメリットの最大化を目指す。

また、本格的なサービス化へ向け、課金制度を含めた管理会計の高度化も大きな目標の一つ。それにはリソース管理のインテリジェント化などを加速する必要がある。「今後もCTCにはシステムの管理統制・運用自動化を促す革新的な提案を期待しています」と前澤氏は今後の展望を語った。

STRONG-Cloudについて

STRONG-Cloudの稼働状況

システム要件に応じ各環境(標準/MS-SQL/FC-SANなど)のITリソースを提供。
セキュリティ的にも本番環境と開発環境は物理的に分けられている。

成熟度モデルから見たSTRONG-Cloud

多様なシステムのクラウド化を進め、変化に即応できる基盤構築を進める予定だ。

STRONG-Cloudで使用されている製品や技術

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