コラム

クラウドを知る

~第1回 クラウドの衝撃~

更新

CTCのクラウドサービス「TechnoCUVIC」の担当者が、クラウドについて自由に語ります。

2010年03月17日

今年度、IT業界はクラウドコンピューティング一色でした。雑誌やセミナーのタイトルにクラウド(雲)が踊り、TV番組でもクラウドコンピューティングが取り上げられたことも驚きの1つでした。読者の皆様もどこかでクラウドについて見聞きしたり、雑誌を読んで研究されているのではないかと思います。
本コラムでは、現在CTCで「TechnoCUVIC」というクラウドコンピューティング・サービスを推進している筆者が、クラウドコンピューティングについて、僭越ながら、その想いを自由に語らせていただきたいと思います。

クラウドコンピューティングとは

クラウドコンピューティングは、ネットワークを介して、いろいろなアプリケーションやコンピュータリソースなどをユーザーにサービスという形態で提供するものという説明が、広義では一般的になされております。これは、従来から存在するホスティングサービス、ASPサービス、古くはオンラインシステムと大きくは変わる概念ではありません。
大きく変わる点はなんでしょうか?

おそらくは、これまで想像しなかった「コンピュータリソースがある1箇所にあつまり、そのスケールを使って低コストと柔軟性(オンデマンド性)を実現している」という点ではないかと思います。

「クラウドコンピューティング」という表現は、GoogleのCEOであるエリック・シュミット氏が2006年8月に開催された公演の中で使われたのが最初だそうです。

Googleという会社は、皆様ご存知の通り、インターネット上の検索エンジン等のサービスを運営するソフトウェア・テクノロジー企業です。彼らは自社のサービスを運営するために、約30万台のサーバを所有しているといわれております。

30万台という数は、1企業、1団体、1個人がもつサーバ台数から比較すると、途方もない数です。

これだけのスケールのコンピュータリソースを持っている会社が、あなたにその一部をとてつもなく安く貸してくれるとなったらいかがでしょうか?
是非、利用してみたいと思いませんか?

身近にあるクラウドサービス

これまでのIT業界のバズワードと違い、クラウドコンピューティングは誰もがすぐに使ったり、アクセスできたりするのが面白い点かもしれません。

従来大規模なコンピュータシステムというのは、大企業の基幹システム、銀行の勘定系システム、研究所のスーパーコンピュータなど、通常は人目にさらされず、一般の人は立ち入ることもできない場所(DC)に隠されていることが多かったのではないしょうか。

しかしクラウドコンピューティングは違います。GoogleのメールサービスGmailは、インターネットに繋がっていれば、自宅のPCからも皆様のポケットの中の携帯電話からもアクセスすることが可能です。

クラウドコンピューティングから少し脱線しますが、総理大臣や著名人もこぞって利用しているTwitterという“つぶやき“をインターネット上で公開して新しいコミュニケーションのあり方やライフスタイルを提案する、社会現象にもなろうとしているソーシャルサービスも、実は米国のクラウドサービスを利用して動いているそうです。

実は筆者は、米国のクラウドコンピューティング・サービスを利用して個人のブログサイトを2年ほど前から運営しております。それまではブログが稼動するサーバを自宅のキッチンにて8年ほど稼動させていたのですが、古いサーバのため故障し、動かなくなったのを機会にクラウドコンピューティング・サービスに切り替えました。
結果、自宅サーバでは月額5000円の電気代が掛かっていたのですが、クラウドコンピューティング・サービスを利用することで、サーバ利用代の1000円まで、実に1/5に下げることができました。キッチンで異音がしたり、無駄に電気を食っていることに不機嫌だった妻からも歓迎される結果となりました。

ここまでの話ですと、クラウドコンピューティングは、インターネット技術やインターネットビジネスの話が多く、IT業界全体に影響があるの?という疑問を抱かれるかも知れません。

しかしながら、インターネットの登場がそれまでのITシステムを根底から変革させたように、クラウドコンピューティングも、IT業界に大きな変化をもたらす黒船になろうとしております。

The Times They Are a-Changin’

クラウドコンピューティングは、企業システムにおいても大きな変革を起こそうとしております。いくつかの理由を、既存の企業システムの抱える課題を通じて考えてみました。

持つことの不都合

従来、ITシステムを構築するためには、OSやアプリケーションを動かすためのサーバやストレージを購入する必要がありました。購入したサーバやストレージは、3年から5年ほど使われ、その後リプレースされるというのが一般的でした。

サーバやストレージを購入するとそれらを置く場所や稼動させる電気も必要ですし、システムの安定的運用や故障時の対応に専任の人員が必要になったりします。

本当はあるシステムが欲しいだけなのに、サーバやストレージなどを運用する体制も持たないといけないというのは、中小企業では困難でしょうし、中堅・大企業にとってもできるだけ減らしたい部分であるのではないかと思います。

サーバやストレージなどは必要なときに借りて、不要になったら返す。故障などの対応も一元的に行なってくれるサービスは、企業システムのあり方において必然なのかもしれません。

サイジングは無意味

必要なサーバ台数やストレージ容量を見積もるサイジングというのは、システム設計を行う上でもっとも重要な事項であり、もっとも経験や技術力を必要とされる設計作業でした。しかしながら、昨今のITシステムは、ビジネス変化をダイレクトに受け、サイジングがより難しくなっております。例えば、社内のメールシステムは利用する社員数をベースに見積りますが、法令によるメール保管期間の増大、M&Aなどによる社員数の急激な増減などが発生することは珍しい話ではないと思います。
ECサイトやコンテンツ配信、BtoBなどのシステムなど、そもそもサイジングが意味をなさないITシステムの利用ケースも多くなっております。

できることならば、ITシステムは、“いつでも”、“いくらでも”、“簡単に”ITリソースを増減することができ、一瞬でシステムを拡張することができるようになることが望まれます。

最大の決め手はコスト削減

企業内において変化に対応する柔軟なITシステムを構築することは、決して難しいことではありません。将来の変化に対してより多くの余剰リソースを持っていればいいですし、不要になれば、一度作ったシステムを壊して作り直せばよいのです。
しかし、実際には膨大なコストがかかり、1社にて実現することは困難です。

どうやったら低コストで柔軟なITシステムを構築することができるのでしょうか?
魔法のクリスタルボールはどこかにあるのでしょうか?

これを解決してくれるのがクラウドコンピューティングです。
ITリソースはネットワークを介して、サービスという形態で提供されるため、場所も電気も運用人員も企業には必要ありません。また、ITリソースは“いつでも”、“いくらでも”、“簡単に”かつ低コストで利用することができます。

クラウドコンピューティングを提供するサービスプロバイダは、既存ビジネスで大量のコンピュータリソースを保有しておりますし、クラウドコンピューティング・サービスを利用して、更に多くの余剰リソースをたくさんの企業でシェアすることでコストを極限まで下げることが可能です。

企業システムにおいてもクラウドコンピューティングを利用したいという欲求は、既存ITシステムの課題解決と圧倒的な“低コスト”というクラウドコンピューティングの本質とあいまって、今後急激に加速する可能性があります。

CTCが提供するサービス

CTCでは、2008年4月に業界先駆けとして「TechnoCUVIC」というクラウドサービスを立ち上げております。
次回は、この「TechnoCUVIC」を通じて、クラウドサービスについてもう少し詳しくお話をさせていただきます。

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