コラム

SEのためのストレージ講座

第6回 ITインフラにおけるストレージの位置付け

更新

IT基盤のストレージの役割や課題から仮想化・統合化まで、CTCのエンジニアが解説します

著:クロスファンクショングループ プロダクトマーケティング室
インフラソリューション推進部 菅 博

ストレージもサーバやネットワークと同様にIT基盤のひとつであるために、容量や性能の面では常に進歩してきました。しかし、ストレージに関して最も大きな変化は、IT基盤における位置付けが変わったことと言えます。

1990年頃から、コンピューティング・システムはサーバ・コンピューティングが主流となり、1990年代の後半からはネットワークの劇的な変化が起こりました。そして、サーバとインターネットの進化の後に、今はコンテンツの重要性が見直される時代となっています。

ここでは、IT基盤におけるストレージの位置付けがどのように変わってきたのかを簡単に振り返っておきます。

サーバ・コンピューティングの時代(1990年 - )

大規模なコンピューティングと言えばメインフレームやオフコンが主流だった時代から、サーバ・コンピューティングという概念が出現したのはこの頃です。それまでのメインフレームは独自のプロトコルと独自の言語のために、データの互換性や相互運用性に乏しいものでしたが、ベンダーを越えて標準のプロトコルと標準の言語を採用したオープン・システムの構築が可能になると、サーバ・コンピューティングはすぐに普及しました。

「ダウン・サイジング」、「サーバ・クライアント」モデル、「3 Tier」モデル、「分散コンピューティング」などのキーワードが溢れ、より高速でより効率的にコンピュータで業務を行うことが注目されていた時代です。この時代のコンピューティング・システムの主役は当然サーバであり、あらゆるサーバメーカーがCPU性能を競っていた時代でもあります。

この頃のストレージは、文字通りに「データを格納する場所」という認識しかなく、そこに何らかのアドバンテージを期待する風潮も希薄でした。

ネットワーク・フィーバーの時代(1995年 - )

コンピューティング・システムがオープンになるとデータの互換性が容易になり、システムとシステムを結ぶネットワークが注目されるようになりました。より高速、広域へとネットワークが普及したことにより、一般家庭にメールやインターネットが浸透するまでになっています。

IT(情報技術: Information Technology)という用語が出来たことに象徴されるように、情報を提供することや共有することが非常に重要視される時代に突入します。さらに、ほとんどの人が携帯電話を持つようになると、いつでも・どこでも・好きなときに欲しい情報を取得することは当たり前のこととなりました。

ISPやインターネット銀行のように、店舗を持たずとも情報(=データ)を有していることがビジネスの本体であり企業価値である会社も出現してくるなど、「データが重要」という気風は次第に大きくなっていきます。

ストレージ(コンテンツ)の時代(2000年 - )

情報ネットワーク、情報ハイウェイに大量のデータが流れるようになると、それだけデータの価値は高まっていきます。情報はウェブブラウザを介してコンテンツとして配信され、電子メールにも画像やOfficeファイルが添付されるなど、企業の基幹業務から一般消費者の生活レベルに至るまで、データやコンテンツの存在は無視できないほど重要なものとなりました。

コンテンツが増大すると、それを格納するためのストレージの重要性も認識されるようになり、ストレージ市場が急速に拡大した結果、IDCも2001年にはストレージの市場調査を開始しました。

これまであまり注目されることのなかったストレージですが、データそのものの価値が高まってきたことにより、ストレージに対する認識が大きく変化してきたのがこの時代です。

コラム一覧のページに戻り、続きをお読み下さい。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

このコラムに関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。