コラム

SEのためのストレージ講座

第14回 データ急増への対応~データ増加を抑制~

更新

IT基盤のストレージの役割や課題から仮想化・統合化まで、CTCのエンジニアが解説します

著:クロスファンクショングループ プロダクトマーケティング室
インフラソリューション推進部 菅 博

 すでに述べたように、データ量の増加率は年々加速しています。データ量が増えることにより、バックアップの取得時間が長くなり(実際には所定時間内に取りきれないという事象も起こり得る)、ストレージの追加や入れ替えのためにシステム停止が余儀なくされるなど、システムの運用に影響を及ぼすようになります。
 このため、データの増加に対して何らかの対策が求められるようになっていますが、対策は次のように大きく三つに別れます。

  1. データ増加を抑制
  2. データ容量を最適化
  3. データ増加に柔軟に対応

 それぞれ、「なるべくデータを増やさない仕組みをつくる」、「一部でもいいので容量を最適化する」、「増加はやむを得ないので、システムに影響がないように拡張したい」という考え方です。ここでは、これらの三つの対策方法に関して、実際にどのような技術が適用できるのかを説明します。

データ増加の抑制

 データの内訳を調べてみると、その8割は非構造化データ、つまり誰かが作成したコンテンツであることは説明したとおりです。こうしたコンテンツは新規に作成・ダウンロードされるものやコピーを修正が繰り返されるなどしてどんどん増えていきます。
 ファイルサーバの利用者に何の制限も課さなければ、ファイルサーバが肥大する傾向を食い止めることはできません。ここでは、データの増加を抑制するための代表的な方法を紹介します。

Quotaの利用

図1

 容量に余裕があるとどんどん使い続け、容量が圧迫されると足りないということで追加が繰り返されるのを防ぐには、不要なファイルを適時 削除するしかありません。しかし、システム管理者やストレージの管理者が個々のファイルの重要性を把握していることは少なく、それができるのはファイルの所有者や作成者のみです。
 ところが、使用容量に制限を設けてユーザの使用上限に達したなら作業が出来ないようにしてしまうと、個人や組織が自発的にファイルのクリーンアップを行うようになります。これはQuotaと呼ばれる仕組みでNASはもちろんのこと、汎用OSを利用したファイルサーバでもOSの機能で実装されています。
 左図は、全体で2TBのボリュームにおいてGroup1は1TBの容量制限を受けており、さらにGroup1に所属する各ユーザは250GBが上限となっている例です。

SRM(Storage Resource Management)の利用

 全体の容量がかなり増大し、ストレージの共有度が大きい場合には、個別のファイルに対して要・不要の判断をするのはますます困難になります。ある程度の規模になると、もっと体系的にファイルサーバの中身を調査する必要が出てきますが、このような時にはファイルサーバのアナライザーが便利です。こうしたツールはSRM (Storage Resource Management) にカテゴライズされ、基本的に次のような機能を有しています。

  • データ容量の増加傾向と、今後の増加傾向のシミュレーションを表示
  • クリーンアップ対象ファイルの検索 (重複ファイル、作成者不詳ファイルなど)
  • ファイルの分類 (タイプ、作成者、サイズ)
  • ファイルのアクセス頻度分布 (作成日、最終更新日、最終アクセス日)

 上記の情報に基づいて、クリーンアップファイルの削除を勧告したり、ディスク使用に関して組織単位での容量課金を実施したりすることで、ディスク容量の抑制と削減を実施することが可能になります。大規模なファイルサーバになると「いつ、誰が作成して、どの程度頻繁に利用されているのか」ということを全体として把握するのが困難ですが、SRMツールを導入することでファイルサーバ内の状況が可視化されるので、結果に応じて適切な対応を取ることが可能になります。

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