コラム

Windows Server 2008 検証レポート

検証レポート Vol.17~ RemoteAppを試す ~

更新

CTCの独自視点を織り交ぜたWindows Server のポイントを解説

著:クロスファンクショングループ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 杵島 正和 17-0312

今回はWindows Server 2008のターミナルサービスの目玉機能のもう1つ、RemoteAppについて触れてみようと思う。

RemoteAppについて

今までのターミナルサービスは、デスクトップ画面全部を表示していたが、今回追加されたRemoteAppでは、ターミナルサービスが動作しているサーバ上のアプリケーションをユーザーに対して公開することのできる機能である。これにより、アプリケーションを限定して利用させたい場合には大変有効である。しかもアプリケーションはクライアントの上で起動/動作しているかのように見えるため、ユーザーはターミナルサービスに接続していることを意識せず、違和感なくアプリケーションを使用することが可能になっている。さっそく試してみることにする。

検証環境

図1:検証環境論理構成図

今回は図1のような単純化した環境を構築する。 今回の検証ではクライアントも含めすべてドメインに参加させる。RemoteAppの機能は「役割の追加」から「ターミナルサービス」を追加するだけで有効になる。

RemoteAppの設定

図2:この中からRemoteAppで使用するアプリケーションを選択する

RemoteAppの設定は「管理ツール」-「ターミナルサービス」-「TS RemoteAppマネージャ」から行う。RemoteAppで使用するアプリケーションを設定するには、右ペインで「RemoteAppプログラムの追加」をクリックし、ウィザードに従って設定を行っていく。このウィザードではサーバにインストールされているアプリケーションが表示される(図2)。

図3:下ペインの「RemoteAppプログラム」に表示されているのがわかる

アプリケーションを選択したら「次へ」をクリックして、次のウィンドウで「完了」をクリックする。するとRemoteAppプログラムに先ほど追加したアプリケーションが表示される(図3)。 注意 :Office 2007 をターミナルサーバ上で使用する場合、ボリュームライセンスのキーを使用するエディションをインストールする必要がある。それ以外ではオフィスが起動してもエラーですぐ終了してしまう。 (参考)ターミナルサーバのクライアントセッション内で 2007 Office プログラムの起動時に、エラー メッセージ “Microsoft Officeのこのコピーは、ターミナルサーバ上では使用できません” が表示される。
http://support.microsoft.com/kb/924622/ja

RemoteAppプログラムのクライアントへの展開

図4:今回のクライアントには何ひとつインストールしていないのでオンにしてみた

RemoteAppで使用するプログラムの準備は完了したので、これをどのようにクライアントに展開するかを考える。一番簡単なのは、「.rdpファイル」を作成し、ネットワーク共有にてユーザーに自由に使わせる方法であるが、Active Directoryやユーザプロファイルによるユーザーごとのデスクトップ環境を提供しているわりにはスマートではない。 もう1つの方法は、Active Directoryが構成されている前提であれば「MSIファイル」を作成し、GPOでソフトウェアの配布を行うという方法がある。今回は後者の方法を試してみることにする。 「TS RemoteAppマネージャ」の右ペインで「Windowsインストーラパッケージの作成」をクリックする。ウィザードが起動してくるので基本的にはその指示に従えばよい。注意が必要なのはウィザード中「配布パッケージの構成」画面で設定できる「クライアント拡張子の代用」設定であろう(図4)。 この設定をオンにすると、クライアントのローカルディスクに同じアプリケーションがインストールされていても必ずRemoteAppで処理されてしまう。インストールされていなければ特に問題はない。

図5:タスクマネージャでプロセスを表示しても、Wordなどのexeは実行されていないのがわかる

ウィザードが完了するとmsiファイルができあがる。、これをActive Directoryからアクセスできるネットワーク共有におき、ソフトウェア配布のグループポリシーを構成すればよい。 クライアント側ではGpupdateを行い、ポリシーを適応すれば、アプリケーションがインストールされる。さっそくできたショートカットを実行してみると、リモートデスクトップ接続の認証が行われ、その認証を通ればアプリケーションが起動される(図5)。

以上が設定手順の概略となる。思いのほか簡単に構成ができてしまうのがわかっていただけたかと思う。さて次回は、RemoteAppについてもう少し踏み込んでみたいと思う。

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