コラム

Windows Server 2008 検証レポート

検証レポート Vol.27 ~Hyper-V RC その7 ~

更新

CTCの独自視点を織り交ぜたWindows Server のポイントを解説

著:クロスファンクショングループ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部
杵島 正和 27-0612

Hyper-VのRC1が5月20日に公開されていた。それをうけて今回は簡単にRC1を紹介したいと思う。なぜ「簡単に紹介」になってしまったのかは、以下を読んでただければと思う。

Hyper-V RC1の概要

このRC1からサポートされるゲストOSとして「Windows Server 2000 SP4」が追加された(ただし、統合サービスは提供されない)。また、Linux環境の統合サービスでマウスのサポートが改善されている。さらに、Hyper-Vマネージャ(管理ツール)のデザインがブラッシュアップされており完成度が上がった感がある。

Hyper-V RC1のインストール

Hyper-V RC1をダウンロードして適用する。

※Hyper-V RC1ダウンロード先
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=7edaa89f-9f64-488d-93c0-858d2d8799df

すでにRC0が動作している場合には、事前に稼働しているゲストOSをすべてシャットダウンしておく必要がある。次に上記URLからダウンロードしたモジュールを適用することでインストールが実行される。あとは画面の指示に従って再起動すればよい。

RC1が動作もしなければ削除もできない?

図1

RC0がインストール済みのサーバにRC1を適用後ゲストOSを起動したところHypervisorがエラーを返し、チャイルドパーティション(仮想マシン)が起動しないという事態に陥った。やむを得ずいったんHyper-Vを削除することにし、サーバマネージャから役割の削除を行い再起動させる。すると今度は再起動途中で「更新プログラムを構成しています:ステージ3/3 - 74%完了」のメッセージを表示したまま先へ進まなくなった。

1時間待っても先へ進まないため気を取り直してサーバの電源を切断、1からWindows Server 2008をインストール、Hyper-V RC1のモジュールを適用、「役割」の「追加」から「Hyper-V」を追加し新規にサーバを構成してみた。しかし状況は変わらず仮想マシンが起動しない。ちなみに、このようなメッセージが表示される。(図1:「BIOS設定を確認してください」といっているが、直前まで何の問題も無くRC0が動作していたサーバである。)

ちなみにイベントログを見てみると、次のようなエラーが記録されていた。

エラー,2008/06/06 14:52:42,Microsoft-Windows-Hyper-V-Hypervisor,48,なし,"Hyper-V launch failed; Processor 0x4 does not provide the features necessary to run Hyper-V (leaf 0x80000008, register 0x0: features needed 0x24, features supported 0x26)."

回避策 – 仮想マシンが起動しない問題

図2

落ち込んでばかりもいられないので、回避策を探ってみた。BIOSの更新なども行ってみたが効果は無くさすがにあきらめかけたところに日本HP様から情報が届いた。結果として回避することができた。その方法とはOSで認識させるCPUの数を減らすことであった。Windows Server 2008では「システム構成」のGUIからOS上で認識させるCPUの数をコントロールすることができる。(図2:昔はboot.iniを編集していたのだが、ほとんどこの画面で調整が可能)

図3

この設定画面で、7 → 6 → 5・・・と数を減らし、4つまで減らしたところなんと仮想マシンが起動した。(図3:RC1での仮想マシンの起動。RC0の頃よりもきれいになっている。)

今回の環境では、クアッドコア インテルXeon® プロセッサーE5335を2つ積んだDL360を使用していたのだが、USの方でも同様の事象が報告されているようである。マイクロソフト社でもこの問題は認識しており、出荷までには解決するとのことである。

回避策 – Hyper-Vが削除できない問題

今回の環境はSmart Start 8.0を使用して、Windows Server 2008をフルインストールしている。こちらの問題はCPUの数とはまったく関係は無かった。問題解決に向け気は少し遠くなった。Smart Startを使わずにWindows Server 2008をインストールし、その後HPが提供しているドライバを個別に適用し、挙動を見てみた。結果は削除可能であった。HP Network Configuration Utilityがインストールされている環境でこの現象が発生するようである。結論としてはWindows Server 2008をフルインストールで且つHyper-V上で使用する場合にはSmart Startを使用しない、あるいは、PSP の適用処理を「カスタム」で行い、「HP Network Configuration Utility」をインストールしないと言うところだろうか。

これ以外の対応策としてマイクロソフトのナレッジベースにも出ている方法があるのでこちらも参照してほしい。
http://support.microsoft.com/kb/950792/en-us

System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)との関係

SCVMM 2008のベータ版が現在公開されてはいるが、互換性の問題があるためRC1の仮想マシンの管理はできないようである。
追記:(6/7にHyper-V RC1対応ということで、Update が公開されている。)

まとめ

冒頭の「簡単に紹介」と書いた理由を理解いただけただろうか。このあとSCVMMを試してみる予定になっているため当面はRC0を使い続けることにした。少なくともSCVMMとの互換の問題が解消されればRC1に更新することになると思う。

最後になったが今回出てきた問題を解決するに当たりご協力をいただいた、日本HPの方々にこの場を借りて深くお礼申し上げます。

次回予告:検証レポート Vol.28 ~ Hyper-V RC その8~

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