イベント・レポート

CTC Forum 2016 ユーザー講演

経営管理を共通化する統一会計システムを構築
グループ全社の価値向上への取り組みを支援

更新

“攻めの経営”を支援する取り組みに軸足をシフト

  • クラウド
  • IoT
  • BI/DWH
  • ERP
  • 流通/運輸
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
アサヒプロマネジメント株式会社
アサヒプロマネジメント株式会社 業務システム部 副部長 川内 浩氏

アサヒプロマネジメント株式会社
業務システム部 副部長
川内 浩氏

アサヒグループの純粋持株会社として2011年7月に発足したアサヒグループホールディングスは、発足当初から「企業価値向上」を経営方針に掲げ、「収益基盤の盤石化」と「“稼ぐ力”の強化」に取り組んできました。そして企業価値向上に向けた最初の取り組みが、グループ全体の事業をきちんとモニタリングし、適切に支援/サポートする仕組みを確立することでした。

その具体的な取り組みの1つが、セグメント別採算管理の強化です。これはセグメント別の情報分析を商品・事業・業態の3軸で実施し、経営上の異常値を迅速に発見できるように、グループ全体でデータ入力の共通化を図ることです。もう1つの重要な取り組みはグループ管理の高度化です。これは国内グループ全体で勘定科目の統一を図り、収益構造を科目軸だけでなく、組織・部門軸で把握できるようにすること、つまり横串管理を実現することです。アサヒグループ全体のIT戦略を担うアサヒプロマネジメントがこれらの取り組みを実現するために最初に行ったのが、グループ共通のIT基盤をプライベートクラウドとして構築することでした。そして、その上にグループ統一会計システムを核とした基幹系システムの構築を進めていきました。

統一会計システムでは、共通入力画面上で入力したデータは共通基盤の統合会計DBに格納し、分析などの管理会計は「Oracle BI」で、財務会計処理は「統合SAP」で行っています。SAP上の仕訳データは統合会計DBの変更履歴をもとに1分周期で更新され、統合会計DB上の転記済み仕訳データも、SAPの変更履歴をもとに10分周期で更新されるため、ホールディングスとグループの担当者は最新の情報をBIで参照することが可能です。

統一会計システムは2016年1月までに国内連結子会社36社への導入を完了、現在は新たにグループに加わった1社を含む37社で運用を行っています。これにより、グループ全体で起票するための画面や出力される伝票、データ参照する画面などが共通化され、社員はどの会社に異動しても業務をスムーズに行うことができるようになりました。統一会計システムのさらなる導入効果を見ると、まず人的生産性に関しては、グループ標準業務フローの効率化とシステム機能の統合により、年間20%の工数削減を実現できる見通しです。またITコストに関しては、会計処理の仕組みを一本化したことと、SAPシステムのアドオン比率を大幅に削減(約88%削減)したことによって、サーバ台数を41台から10台に削減できたほか、システム運用コストについても年間1.1億円の削減を実現できる見通しです。もう1つの効果は、M&Aによって子会社が増えた場合でも、従来に比べて3分の1の期間と10分の1のコストでシステムを導入できることです。実際、新たにグループに加わった老舗日本料理店「なだ万グループ」への統一会計システムの導入に向け、現行業務とのギャップを洗い出すなどの準備作業を進めているところですが、わずか1カ月半程度の工数でシステム導入を実現できる見通しです。

統一会計システムの構築により、社内の定量的な構造化データについては“見える化”を実現することができました。今後はグループ全体で新たな価値を創造できるように、改めて“攻めの支援”に向けた取り組みへ軸足をシフトしていく方針です。具体的には会計情報など社内向けの構造化データだけでなく、非構造化データを含めた社内外の競合情報(市場シェア、新商品、収益など)や市場情報(業界動向など)、さらにはマクロ(人口、経済、気象など)情報の分析を支援できるようにし、グループ全体でのビジネス価値の創造や迅速な経営判断に貢献していきたいと考えています。

会計処理の仕組みの一本化とSAPアドオン比率の大幅削減(約88%削減)を断行し、サーバ台数を41台から10台へ、年間1.1億円の運用コスト削減

会計処理の仕組みの一本化とSAPアドオン比率の大幅削減(約88%削減)を断行し、サーバ台数を41台から10台へ、年間1.1億円の運用コスト削減

他講演レポート

2016年10月28日開催「CTC Forum 2016」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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