イベント・レポート

CTC Forum 2016 ユーザー講演

経営意思決定の迅速化と生産性向上を目指す
トヨタが構築した経営情報システム「TOBIRA」

更新

活動状況と進捗状況を“見える化”して経営に活用

  • BI/DWH
  • ERP
  • 開発
  • 製造
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社 コーポレートIT部 古津 大輔氏

トヨタ自動車株式会社
コーポレートIT部
古津 大輔氏

トヨタ自動車は、豊田章男社長から「役員会議室に表示されている情報が古い。会議に使える経営情報システムを構築してほしい」という指示があったことをきっかけに、2014年12月に“経営ダッシュボード”の構築に着手しました。これを受け、2015年2月にプロジェクトを組織し“経営ダッシュボード”の開発に着手しました。

このプロジェクトはIT主導のアジャイル的アプローチで推進することにしました。「作っては出し、フィードバックを受けながら直す」というアプローチで開発することにしたのです。これはスピードを重視するとともに、議論よりもまずは実体化して実体を見ながら議論するほうが効率的という判断からでした。

その結果、誕生したのが経営情報のワンストップ・プラットフォーム「TOBIRA(TOyota Business Insights for Rapid Action)」です。

2015年6月、コーポレートIT部は汎用BIツールを利用してプロトタイプを開発します。しかし汎用BIツールでは、トップ経営層が求める経営情報を可視化することが困難だと判断。2015年8月に方針転換を行い、総スクラッチ開発にシフトしました。

総スクラッチ開発による経営ダッシュボードは、プロトタイプのデザインを白紙にして「官能に訴えるクールなデザイン」と「直感的な操作性」を目指すこととしました。これはITの可能性を経営トップに訴求することにより、IT投資への理解を促す意味があります。またツール/ソリューションベンダーもマルチベンダーへと総入れ替えを行い、システム基盤とマルチベンダーのコーディネイトの部分をCTCへ委託しました。

TOBIRAの開発を進める上で大きな課題となったのが、経営情報のもとになる主幹部署の情報を整備・入手することです。そこでコーポレートIT部は“Casual IT”という手法で開発に取り組むことにしました。Casual ITとは「現行業務を忠実にトレースして自動化する」ことによってアプリケーションを開発する手法です。業務運用や帳票類は変更しないため、標準化の議論が不要となり、開発期間を大幅に短縮できる効果が得られます。

こうして開発したTOBIRAは、2016年1月に経営トップの定例会議で披露されました。

現在は、2016年4月にトヨタの経営体制が「カンパニー制」へと変更されたことを受け、各カンパニーの収益管理の取り組みを支援する次のステップへと進んでいます。このステップ2は各カンパニーの活動状況をタイムリーに把握したいというトップ経営層と、進捗状況を見える化し経営に活用したいというカンパニーの要望に応えるものです。

ここでは開発スピードと開発コストを重視、汎用BIツールを採用した「ハイブリッドBIシステム」にしました。ステップ2は2016年9月からCV(商用車)カンパニーをパイロットとして稼働を開始し、その成果を他のカンパニーに横展開していきます。

今後は、カンパニー各社、コーポレート各機能と連携し、収益管理の見える化を深堀する新基幹システム「カンパニー収益管理システム」を構築する予定です。またインターネット情報などの外部情報の充実、基幹システムの高度化と連動したデータ自動連携、人工知能や音声認識などによる高機能化にも取り組む計画です。

「真に使える経営情報システム」を“作る・支える”1社として、CTCには今まで以上にトヨタの変革に対する支援を期待

「真に使える経営情報システム」を“作る・支える”1社として、CTCには今まで以上にトヨタの変革に対する支援を期待

他講演レポート

2016年10月28日開催「CTC Forum 2016」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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