イベント・レポート

CTC Forum 2016 ユーザー講演

グローバル戦略とITガバナンスを支えるクラウド型コミュニケーション基盤を実現

更新

1兆円企業に向けて海外事業を拡大

  • クラウド
  • ワークスタイル/健康管理
  • ネットワーク
  • グローバル
  • 製造
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
富士電機株式会社
富士電機株式会社 経営企画本部 IT戦略室 IT戦略部長 徳永 良一氏

富士電機株式会社
経営企画本部 IT戦略室 IT戦略部長
徳永 良一氏

富士電機は火力・水力・地熱発電などによる“創エネ”から、電力安定化に資するパワーサプライ、工場の自動化・省力化・省エネ化をつかさどるドライブ&オートメーション、電力制御・変換を担う電子デバイス、食の安全・安心を支える食品流通にいたるまで、多岐にわたるエネルギー・環境事業を手がけています。そして創立100周年を迎える2023年までに、売上高1兆円、営業利益率7%を実現したいと考えています。

この目標を達成するためには海外事業のさらなる伸長が必須であり、IT部門としても貢献を果たすべくコミュニケーション基盤のグローバル統一を目指しました。

従来のコミュニケーション基盤がどのような課題を抱えていたかというと、例えばメールアドレスも国や地域、グループ会社でバラバラの状況でした。富士電機のような規模の企業であれば、グループ全体を同じドメイン(@fujielectric.com)に合わせるべきと考えました。また、この取り組みをグローバルITガバナンス強化の第一歩と位置づけました。

そこで、オンプレミスで独自開発・運用してきた既存の国内グループウェア(Feウェア/メールサーバ)が2015年に更新時期を迎えたのを機に、グローバルで利用可能な標準化/統合化されたコミュニケーション基盤に刷新しました。

こうして実現したのが、Googleのクラウド型グループウェア「G Suite」をベースとした新生「FeWare」です。国内拠点や邦人だけでなく、中国、アジア、欧米の海外拠点にもエリアを拡大。さらに従来のメールとスケジュールを中心とした機能から、モバイルデバイスのビジネス活用、リアルタイム会議(ビデオ会議、チャット)や情報共有へと活用範囲を広げています。

2015年4月の切り替え開始から約1年半をかけ、現在FeWareは一部のM&A会社などを除いて、ほぼ展開を完了しました。具体的にはグローバル50社(国内29社、海外21社)のトータル2万2,738名(国内2万249名、海外2,489名)のユーザーがFeWareを利用しています。まず国内拠点の切り替えを優先して行い、その実績を示したことで、海外展開に弾みをつけることができました。

しかし、すべての物事がスムーズに運んだわけではありません。コミュニケーション基盤刷新の決裁を得るにあたり、クラウド上で情報をやりとりすることに対して経営陣からは強い懸念が示されました。そこでCTCの協力を得ながら、情報セキュリティの機密性、完全性、可用性といった主要要件のほか、クラウドサービス特有の事情からもリスクを抽出。その対策を明示して執行役員会議で粘り強く説明することで、ようやく経営陣の理解をいただくことができました。そのほかG Suiteの機能不足をサードパーティサービスの組み合わせで補ったり、インフラ面ではオンプレミスからクラウドまで全体をカバーする統合ID基盤を、独自に整備したりといった工夫も行っています。

なお、FeWareの活用レベルはまだまだ発展途上であり、今後もさらなるインフラやサービス、コンテンツの改善が必要です。専用線を用いた富士電機のWANである「グローバルFDNET」にインターネットを組み合わせたハイブリッドなネットワーク環境を整備。さらに基幹系のみならず、映像・音声コミュニケーションやIoT通信のフル活用、データセンター仮想化によって海外拠点を横串で貫いたグローバルな情報活用およびBCP(事業継続性)の強化、海外拠点のインターネット接続ポイントの集中管理による情報セキュリティ対応のレベル向上などを図っていきたいと考えています。

国や地域でバラバラだったコミュニケーション基盤の統一には「グローバルITガバナンスの確立」という狙いも

国や地域でバラバラだったコミュニケーション基盤の統一には「グローバルITガバナンスの確立」という狙いも

他講演レポート

2016年10月28日開催「CTC Forum 2016」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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