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「IPv4枯渇問題に迫る~IPv6対応最前線」セミナー ~CTCが考える、IPv6ビジョン~ セミナーレポート

開催日
2009年03月12日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
協賛
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
ジュニパーネットワークス株式会社
「IPv4枯渇問題に迫る~IPv6対応最前線」セミナー ~CTCが考える、IPv6ビジョン~ セミナーレポート
 2009年3月12日、霞が関オフィスセミナールームで、伊藤忠テクノソリューションズ主催による「IPv4枯渇問題に迫る~IPv6対応最前線」セミナーを開催しました。

 IPv4アドレスの枯渇問題が顕在化して以来、関係組織や団体において様々な議論や検討がなされ、その解決に向けた動きが進められてきました。一方で、その対応時期が間近に迫りつつある現在、各事業者様がそれぞれ異なる課題を抱え、その具体策を模索しているのが現状です。

 そこでCTCでは、「IPv4枯渇問題に迫る~IPv6対応最前線」と題し、データセンター、ISPをはじめとした各種Webサービスを提供するコンテンツ事業者や企業の皆様に向けて、本格化するIPv6時代への対応策をご紹介するセミナーを開催しました。

IPv6最前線

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズ事業グループ 情報通信システム事業グループ テレコムシステム第2本部 新規プロジェクト開拓課 大元隆志より、2008年のIPv6動向の総括や、いよいよ本格化するIPv6市場においてDCやISPは何をすべきかについてご紹介しました。

IPv6動向 2008年総括と現状

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報通信システム事業グループ テレコムシステム第2本部 新規プロジェクト開拓課 大元 隆志

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 情報通信システム事業グループ テレコムシステム第2本部 新規プロジェクト開拓課
大元 隆志

 2008年は、IPv4枯渇問題への社会的関心が高まり、通信事業者、ISP、DCなど影響度の高い企業での対策に向けた検討が開始され、ひかりTVやGyao Nextなどコンシューマ向けIPv6専用サービスが登場するなど、IPv6の本格稼動に向けた転換の年となりました。

 IANA(Internet Assigned Number Authority)の発表では、2011年3月からIPv4アドレスの枯渇が始まると予測されています。これは同時に、各事業者でのIPv4アドレス枯渇が始まることを意味しており、インターネットを利用したサービスの拡張・発展への影響が懸念されています。この課題に対し、現在考えられている対策は以下の5つです。
対策1:未使用アドレスの回収/再配分(240番台アドレスの使用)
対策2:IPv4アドレスの捻出/不要サービスの廃止
対策3:負荷分散装置による代理応答
対策4:キャリアグレードNAT(CGN)*1の導入
対策5:IPv6の導入/段階的IPv6への移行


 CTCでは、対策3の負荷分散に対し、Real-ServerやVirtual IPのDual Stack対応によって、既存の設備を残したまま段階的にIPv6を導入する手法をご提案しています。また、対策4のCGN*1に対しては、キャッシュを使う事でCGNのデメリット(全アプリケーションに対応出来るわけではない/アプリケーション単位の障害コールが発生する)を軽減する施策を検討中です。
対策3:負荷分散装置による代理応答について

対策3:負荷分散装置による代理応答について

対策4:CGN(LSN)について

対策4:CGN(LSN)について

 海外動向に目を向けると、中国や日本などのアジア諸国、南米やアフリカで、IPv4枯渇問題への対応策としてIPv6が注目されています。これに対し欧米では、Web3.0時代に向けたIPv6を使った新たなサービスの開発や、今後経済的にも重要なアジア圏における、ここ最近のIPv6需要を考慮し、IPv6に対する取り組みが活発化してきています。

 そして、国内に目を向けると、試験導入(教育/研究機関の研究用や通信事業者の評価用)、放送系サービスでの利用(光拡販やアナログ波停止に伴うIPTVでのニーズ)、新サービスでの利用(センサーネットワークやITS)など、導入の理由は様々であり、一概にIPv4枯渇対策だけとは言えません。他国と比較してもIPv6に積極的に取り組んでいると言えるでしょう。そして、これらの導入の目的を知る事は、技術要件を整理する、他社動向を分析する上で非常に重要となります。

 IPv4枯渇対策と、放送系サービスを展開する時に必要とされる技術やノウハウはIPv6と一言で言っても異なるからです。

*1 「CGN/Carrier-Grade-NAT」:複数のPrivate-IP Addressを1つのGlobal-IPに変換することで、IPv4資源を有効活用出来る施策の一つとして注目されている。
 CGNは最近Large Scale Nat(LSN)と名称が変更されました。

今後のIPv6動向予測

2009年以降 IPv6導入順序

2009年以降 IPv6導入順序

 今後のIPv6導入順序としては、まず初めに、通信事業者のコア部分での導入が完了し、(2008~2010年)、次にDC(2008年から順次)、そして個人へと浸透すると考えられます。しかし、通信事業のアクセス部分に関しては、機器が多く対応に期間やお金が掛かる、CGNやIPv4/IPv6変換、Tunnel/Dualのどちらを選択するかなど、クリアすべき諸問題が多岐に渡ることから、対応が最も遅くなると予測されます(2010~2012年)。

 ここからは私見ですが、通信事業者のアクセス網の対応が完了(2012年)して初めて、全体としてIPv6の準備が整ったことになりますが、その際のアドレスの払い出し方法によって、IPv4/IPv6の利用状況は大きく変わってくると考えられます。IPv4は無料でIPv6アドレスは有料で提供された場合、IPv6のキラーコンテンツが現れない限り引き続きIPv4が利用される可能性が高いでしょう。これに対し、IPv4/IPv6双方のアドレスが無料で提供されれば、IPv6への移行が進むと予測されます。

 2012年頃から、主要端末、クライアントへのサービス提供、企業の自社ポータルサイトでIPv6対応が進展し、企業の社内ネットワークについては当面IPv4対応といった状況になっていく事が予測されます。このようにIPv6アドレスの無料配布が行われていると仮定し、周辺環境のIPv6化が進めば、IPv4枯渇、NATの制約があるIPv4によるサービス展開から、IPv6でのサービス開発といったパラダイムシフトが起こる可能性は十分にあると言えるでしょう。

 更に、モバイルブロードバンドの動向もIPv6導入を左右する重要なファクターとなります。2010年開始予定のLTE*2は、固定回線をもしのぐ高速・高品質な回線提供を可能とし、LTEを皮切りに固定回線ブロードバンドユーザー数をモバイルブロードバンドユーザーが上回ると予想されています。更には今後普及が期待されるWiMAX等による二台目モバイル端末需要による、モバイルユーザーの急増が、IPv4枯渇対策を加速させると予測されます。

*2 「LTE/Long Term Evolution」:第3世代携帯電話(3G)を拡張した通信方式の一つ。基地局から端末への送信にOFDMA(直交周波数分割多元接続)方式を採用することで、最大データ伝送速度を100Mビット/秒に高めることを目指す。

SIer視点でのIPv6導入の実際

SIer視点でのIPv6導入の実際

SIer視点でのIPv6導入の実際

 現在、製品及び各技術レベルでは、ほぼIPv6への対応は完了しています。しかし、実際の導入現場では、解決すべき様々な課題や問題が起こっています。1つは、IPv6アドレスの表記方法の違いです。従来のIPv4の表記には数字しか存在せず、また省略ルールもありませんでした。これに対しIPv6では、英数字が混在し、省略ルールが存在します。これにより引き起こされる作業ミスやアプリケーションの誤動作を防止する為には、表記の統一が必要となります。

 設計書作成に関しても、IPv4とIPv6が混在することで、1つのインターフェースに対し複数のアドレスを記載しなければならず、また、運用手順書もIPv4のものをそのまま流用出来ないなどの理由から、従来と比べ、全体で1.3~1.8倍のボリュームになってしまいます。その他、同メーカーでも製品によってコマンドが違うなど、まだ実測にばらつきがあるのが現状です。これらのことから、IPv6の導入には、IPv4のみの環境より、コスト、期間、結果レポートが増加することを事前に理解しておく必要があります。

 この他、人的な課題も導入を阻害する大きな要因となっています。熟練エンジニアの中には、IPv6について正しく理解している人がまだ少ない為、適切な情報提供などの啓蒙活動で、これまでの認知を更正させる必要があります。また、導入には、構築/管理部門が複数の部門にまたがるため、複雑な部門間調整を行う調整能力のあるPMや、サーバからネットワークまで構築可能なSIerの存在も必要不可欠です。

今何をすべきか?

今日から始めるアクションプラン

今日から始めるアクションプラン

 総務省が作成した資料では、IPv6導入に向けて今日から始めるアクションプランとして、経営視点でのリスク分析、IPv6導入方法の検討、監視/運用方法の検討、技術者の育成方法の検討、機器選定/機器調達期間の算出、導入費用/構築期間の算出、IPv6導入経営判断を挙げています。弊社の実績では、これらを全て行うだけでも三ヶ月から半年は必要となる為、早めの検討が大切です。

 CTCでは、既に情報共有基盤による社内Blog、メーリングリスト、情報共有フォルダの活用や、全社横断で定期的に開催する社内トレーニング、IPv6検証用設備の設置などの取り組みを実施し、ナレッジや設計ノウハウ蓄積を行っています。2009年は、当社DCにおいてIPv6導入方法検討及び検証を行い、2010年度のお客様へのIPv6サービス提供を目指しています。

 ユビキタス情報社会の先には、ネットワークが人の行動を感知し、状況判断を行い、サービスを提供する自然や高齢者に配慮した思いやりのあるアンビエント情報社会があると信じています。そして、IPv6はアンビエント情報社会を実現するために重要なセンサーネットワークを構築する基礎技術です。CTCは、その実現に貢献し得る技術開発を推進し続けて行きたいと考えています。


 本レポートでご紹介した製品またはソリューションに関するご質問や導入をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
*本レポートは2009年2月時点での弊社入手可能な情報に基づいております。将来予測等は経済環境の変化等により異なる可能性があることをご理解下さい。

記載されている会社名、製品名、サービス名は伊藤忠テクノソリューションズ(株)または各社の商標もしくは登録商標です。

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