CTC CTC総研

2026年2月13日

第1回 なぜ今、フィジカルAIが
注目されるのか

フィジカルAIとは何か ―ロボット×AIが拓く新時代―

TERASAWA YUTAKA

寺澤 豊

寺澤 豊

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
デジタルサービス事業グループ アソシエイトプリンシパル

本稿では、AIとロボット技術の融合によって実現する「フィジカルAI」について考察します。CTCはSIerとして、データ活用によってお客様の課題解決を支援するため、データウェアハウスにはじまり最新の生成AIにいたるまで、その時代の先端技術の応用に取り組んできました。急速に実用段階へと進んだAIは今後、コンピュータシステムの中の論理空間を飛び出し、ロボットなどと融合することで物理空間へと活躍の場を広げます。CTCもこの新領域にチャレンジするため、長年データ活用技術を駆使してきた知見を土台にして、フィジカルAIの研究を進めています。

AIとロボット技術の融合により、現実世界で自律的に動く(働く)「フィジカルAI」の概念と社会背景を解説します。労働力不足などの課題や技術進歩を踏まえ、なぜ今この新潮流が注目されるのか、その全体像を皆さまと共に追いかけます。

フィジカルAIとは

近年、ChatGPTに代表される生成AIや、その技術を活用したAIエージェントが話題となっていますが、AIという「頭脳」がロボットという「体」を得て現実世界(物理空間)で活躍する「フィジカルAI(Physical AI)」が新たな注目を浴びつつあります。フィジカルAIとは、AIに「体」を与えて現実世界で動かそうという技術で、カメラやセンサーなどで周囲を認識し、自律的に判断して動くことで、現実世界の課題に対応することを目指しています。

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社会的背景

フィジカルAIが注目される背景には、少子高齢化に伴う人手不足という課題があります。日本では2025年に人口の約3人に1人が65歳以上になっており、労働力不足を補うため多くの業界で作業の自動化ニーズが高まっています。単純作業や危険な作業をロボットに任せ、生産性を向上というより、維持しようと考えている企業が多いと感じます。

技術の進歩と「今」

なぜ今フィジカルAIが注目されているのでしょうか。その理由の一つは、AIや周辺技術の飛躍的進歩です。AIの認識・判断能力が格段に向上し、ロボットの「目」や「耳」そして「頭脳」として実用化できる水準に達しました。さらにセンサーや計算リソース、シミュレーション技術などの進展により、ロボットに高度な判断力と動作を与えることを可能にしています。こうした技術基盤の上に、従来は人にしかできないとされた複雑な作業に対しても、ロボットが対応できる可能性がでてきました。世界的にもこの新分野への期待が高まっています。

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CTCの取り組み

ロボットとAIが共に影響を与えながら進化することで、フィジカルAIは着実に実現に向かっています。CTCでもフィジカルAI分野での企業支援を可能にすべく、ロボット×AIの管理や運用を容易にする管理プラットフォームや、ロボットを用いた実証実験を通じて、来るべきフィジカルAI元年に向けて、情報収集と技術検証を繰り返しています。

フィジカルAIが拓く新時代に向け、引き続きフィジカルAIの情報をご提供します。次回以降は、CTCの取り組みなどから得た知見をもとに、フィジカルAIの持つ可能性と適用領域について考察を進めていきます。

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寺澤 豊

著者情報

寺澤 豊TERASAWA YUTAKA

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
デジタルサービス事業グループ アソシエイトプリンシパル

データウェアハウス、BI、統計、AI、最適化の専門家として業務改革や新規事業創出を支援。2021年より生成AIを活用したビジネス企画や技術アドバイスを牽引。現在はAIとロボティクスを融合したフィジカルAIなど次世代AI技術の研究開発・事業化に注力し、新産業革命の実現を目指す。

  • 一般社団法人AIビジネス推進コンソーシアム 理事/副会長
  • 人工知能学会 正会員
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