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解析・シミュレーションで「Rescale ScaleX® CAEプラットフォーム」を導入

  • Rescale ScaleX® CAEプラットフォーム

数クリックでクラスタHPCを構築、高度な計算処理で研究開発力の強化を実現

ガラス・電子・化学品・セラミックスの4つの事業領域でグローバル に事業を展開するAGC。、同社は研究開発力や生産性の向上を目的に、解析・シミュレーションにおいて「Rescale ScaleX® CAEプラットフォーム」の利用を開始した。採用の決め手は、同社のクラウドセキュリティガイドラインを満たし、必要とする解析ソフトウェアをすべてカバーしていたことだ。他の業務を阻害することなく計算量を自由にスケールできる柔軟性、計算インフラやクラスタの知識・経験が少ないユーザーでも数クリックでクラスタを構築し必要なときに必要な計算リソースを利用できるスピード感、そして並列処理による圧倒的なパフォーマンスが研究開発の業務革新を実現させている。

課題と効果

課題
  • オンプレミスの計算リソースが研究開発の制約になっていた
  • 計算負荷が高まるピーク時への柔軟な対応が困難であった
  • HPCの専門知識・レベルにかかわらずあらゆるユーザーが高速な計算処理を実現したかった
効果
  • ハードウェアの制約から解放され計算処理時間が飛躍的に短縮した
  • 必要なとき必要な計算リソースの利用が可能となり生産性が向上した
  • 数クリックでHPCクラスタを構築、並列処理のメリットを誰もが享受できるようになった

導入事例インタビューデータ

会社名
AGC株式会社
所在地
東京都千代田区丸の内1-5-1
創立
1907年
URL
http://www.agc.com/新しいウィンドウで開く
  • AGC株式会社 先端技術研究所 共通基盤技術グループ ソフトサイエンスチームマネージャー 橋本 篤人氏

    AGC株式会社 先端技術研究所

    共通基盤技術グループ
    ソフトサイエンスチーム
    マネージャー

    橋本 篤人氏

導入背景

解析用データセンターのあるべき姿を模索 将来を見据えてクラウド活用が重要なテーマに

、グローバルで素材・ソリューションを提供する旭硝子が社名をAGCに変更し、新たな一歩を踏み出した。の創業以来、AGCは100年以上にわたり技術革新の歴史の中で培った世界トップレベルの技術を強みに、世界最大手のガラスメーカーとしてのガラス事業はもとより電子、化学品、セラミックスなど幅広い事業を世界30カ国以上で展開している。またモビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンスを戦略事業領域と位置付け、研究開発を加速するべく外部とのコラボレーションや技術導入にも積極的だ。

世界中で豊かな暮らしや産業の発展に貢献を続けるAGC。その成長に欠かせない革新的な基盤技術の創出を担っているのが先端技術研究所である。「高度な専門性を有する『Fellow研』と先進的な解析技術やIT技術を持つ『共通基盤技術グループ』、次世代の生産技術を開発する『革新技術グループ』で構成される先端技術研究所は、長期的視点での技術や市場のマクロトレンドに沿った革新的技術の開発を行っています」と先端技術研究所 共通基盤技術グループ ソフトサイエンスチーム マネージャー 橋本篤人氏は話す。

長年蓄積・深化させてきた共通基盤技術は同社の大きな強みだ。シミュレーションにも約50年前から取り組んでいるという。「プロセスシミュレーションから得られた知見をものづくりのフロントローディングに活かし、材料シミュレーションで原子レベルでの現象理解を深め組成設計に役立てるシミュレーション技術は、様々な開発シーンにおいて設計の高度化に貢献しています。また当社の製品が期待通りの機能を発揮するのか、性能の見える化にもシミュレーションを適用し、早期の設計段階からお客様との共創に役立てています」(橋本氏)

、同社の生産性や品質の向上に欠かせない解析用データセンターのサーバのリプレース時期が迫っていた。将来を見据え、あるべき姿を模索する中、重要なテーマとなったのがクラウドの活用だった。

導入のポイント

必要とした解析ソフトウェアをすべてカバー 数クリックでクラスタHPCを構築し利用可能に

解析用データセンターのサーバのリプレースにおいて、当初からクラウドへの移行を検討していたと橋本氏は振り返る。「計算需要の変動が大きく、一気に計算負荷が高まるケースではクラウドが大きな効果を発揮します。一方、計算を流し続けるものは、コスト面でオンプレミスにまだメリットがあります。結果としてオンプレミス環境は残りましたが、使用頻度と並列化効率の観点でクラウドに適した解析ソフトウェア、クラウドでしかできない計算で真価を発揮し得る解析ソフトウェアを選定し移行をリプレース検討後も継続して進めることにしました」

、同社は実データに近い計算モデルを使い「Rescale ScaleX® CAEプラットフォーム(以下、ScaleX)」におけるいくつかの解析ソフトウェアのパフォーマンス検証を実施。その結果は期待通りだったと橋本氏は話し、その際に気づいたScaleXの革新性について言及した。

「私はクラウド導入担当者である前に、解析ソフトウェアを使うユーザーです。クラウドでHPCクラスタ環境を構築し大規模計算を行うことは経験していましたが、非常に作業が大変で、クラスタの知識に加えクラウドの知見も必要でした。ScaleXではウェブGUIを利用し数クリックするだけでクラスタが立ち上がり、求めているパフォーマンスを得られます。通常の起動は3~5分程度、プロセスは全て自動化されており自分で環境を構築するのに比べると圧倒的なスピードです。クラスタの知識がないユーザーも並列計算による高いパフォーマンスを使って自身の業務を変革できると確信しました。当社の研究開発力の強化につながることが採用の大きなポイントとなりました」

クラウドサービスの選択では、同社が必要とした解析ソフトウェアが揃っているかどうかも重要だった。「すべてカバーしていたのは、CTCから提案があったScaleXだけでした。ScaleXで利用できる解析ソフトウェアは増え続けており、現在だけでなく将来にわたり最新の、多様なソフトウェアを利用したいというニーズに対応できる点も高く評価しました」

導入・運用のプロセス

クラウド利用ガイドラインへの迅速な回答で導入もスムーズ 運用面ではライセンスの扱いが重要なポイントに

ScaleXの導入では、研究開発に関わるデータを扱うため同社が求めるセキュリティへの対応が不可欠だった。「当社のクラウドセキュリティガイドラインに沿っているかどうか、CTC社から迅速に回答いただけたことで、導入がスムーズに進められました」と橋本氏はCTCのサポートを評価する。またAGC 情報システム部のクラウド・ネットワークのスペシャリストとRescaleの技術者の協力のもと、よりセキュアにデータ通信が可能な仕組みを構築し、自社のセキュリティ要件に準じた運用体制を実現した。

、同社における研究開発の業務改革を加速するScaleXの本格利用を開始。運用面では解析ソフトウェアのライセンスの扱いが重要なポイントとなった。「検証を通し選定した『クラウドで活きる』ソフトウェアについてはISV 各社のご協力をいただきながらBYOL(Bring Your Own License)の展開を進めました」と橋本氏は話し、並列処理・同時ジョブ実行に有効な従量課金ライセンスの活用についても言及した。

「クラウド向けの従量課金ライセンスを提供しているISVもいらっしゃいます。こうしたライセンスがクラウド活用のキーになります。例えば、当社で使用頻度が高いマルチフィジックスシミュレーションソフトウェアSimcenter STAR-CCM+™ではクラウドに対応した従量課金ライセンスが利用でき、複合領域設計探査ソフトウェアHEEDS™と組み合わせたScaleXでの大規模な設計探査が実現可能です。クラウドの長所を活かしたジョブの同時実行の効果も加わり、計算処理時間の飛躍的な短縮を実現しています」

これまでオンプレミスでは、ハードウェアとソフトウェアの両方で制約を受けていたため、自分たちが解析したい規模の計算ができていなかった部署もあったと橋本氏は話す。「ScaleXは先端技術研究所のみならず社内の様々な技術開発部門で活用されるようになっています。Simcenter STAR-CCM+を利用している生産技術部の設計開発チームを例に挙げると、このチームでは以前オンプレミスでワークステーションを使い平均8並列で計算していましたが、にはScaleXを活用し平均144並列で計算するようになりました。自分たちがやりたい計算モデルに変わったということが、並列化の数値を見てもよくわかります。ハードウェアやソフトウェアの制約を受けなくなり、必要なときに必要な分だけ計算リソースを利用できるようになったことで、計算モデルの解析対象の拡張・高精細化、解析スキームの高度化を通して精度やアウトプットの質の向上が実現できるようになりました。解析専任者以外にもこうしたメリットが広がった意義は大きいと感じます」

STAR-CCM+は、Siemens Industry Software Computational Dynamics Ltd.
HEEDSは、Siemens Product Lifecycle Management Software Inc.の商標です。

導入・運用のプロセスイメージ

導入効果と今後の展望

計算時間の短縮によりPDCAの回数を増やし品質を向上 材料設計に強いCTCの知見やノウハウに期待

「元計算インフラ管理者としての実感としては、ハードウェアの障害対応やソフトウェアのバーション管理などインフラの運用業務から解放され、本来の開発業務に集中できる時間を創出できたメリットは大きいかったです」と橋本氏。より開発にフォーカスできるようになり実際にクラウドの活用範囲を広げていくことでクラウドでしかできない解析があることを実感したという。「重たい計算シリーズであってもクラウドで並列計算・同時実行することで計算時間を短縮し、そこからより早く気づきを得てさらなる最適化を図ることができるようになりました。従来のオンプレミスでの計算処理と比べてターンアラウンドタイムを820倍に圧縮できたケースもあります。PDCAの回数を増やせることにメリットを感じている現場のエンジニアは多いですね。最適化計算が今後社内でより広く活用されていくことを考えると、クラウドでしかできない解析がもたらすこうしたメリットはさらに大きくなっていくと考えます」
導入効果イメージ1
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今後、ScaleXの利用シーンをさらに広げていきたいと橋本氏は話す。「材料設計に関しては現状ではScaleXを主にオーバーフローの処理に利用していますが、今後は積極的にクラウドのメリットを活かし効率的な設計探査に展開していきたいと考えています。また予測モデルの高度化などを目的に深層学習の検討も進めています。CTC社は材料設計に強いとお聞きしており、オンプレミスとクラウドの両面に精通していらっしゃる。その知見やノウハウを活かした、ScaleXをより有効活用するためのサポートを今後も期待しています」

ブランドステートメント「Your Dreams, Our Challenge」のもと、人々の想いの先、夢の実現に挑むAGC。世界中の人々の暮らしに貢献する同社の挑戦を、これからもCTCはScaleXの提供を通じて支援していく。

導入製品・ソリューション

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