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事例・レポート

事例

グループ共通のID基盤導入で、一気通貫のサービスを戦略的に展開可能に

株式会社KADOKAWA Connected 様

会社名
株式会社KADOKAWA Connected
所在地
〒102-8177 東京都千代田区富士見二丁目13番3号
設立
2019年4月
URL
https://kdx.co.jp/

株式会社KADOKAWA Connectedは、KADOKAWAグループ全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、業界最高水準のICTサービスを社内外に提供する役割を担う。1期目に課されたミッションは「KADOKAWAグループサービスの共通ID基盤」の実現。サービス展開が半年先に予定されており、開発の時間的制約は厳しかった。そこで採用したのが伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)のBtoC向けID基盤サービス「SELMID(セルミッド)」だ。海外在住のファン向けに日本のアニメ、コミック、ライトノベル、ゲーム等の公式グッズを販売する越境ECサイトとの連携から始まり、今後も続々と他サービスへ展開する予定だ。

株式会社KADOKAWA DX戦略本部 Integrated Data Service部 データマネジメント課 課長 兼 株式会社KADOKAWA Connected デジタルトランスフォーメーション部 村岡 徹哉氏

株式会社KADOKAWA
DX戦略本部
Integrated Data Service部
データマネジメント課 課長
兼 株式会社KADOKAWA Connected
デジタルトランスフォーメーション部
村岡 徹哉氏

株式会社KADOKAWA Connected Engineer Lab部 部長 三神 行蔵氏

株式会社KADOKAWA Connected
Engineer Lab部 部長
三神 行蔵氏

課題と効果

課題と効果

全社共通IDをマーケティングに活用!
経営戦略を支えるプロジェクト

KADOKAWA Connectedは、グループ各社にあった情報システム部門からICTに強いリソースを1カ所に集め、グループ全体として大きなデジタル投資や開発案件をマネジメント、実行していくと共に、外部向けのサービスやソリューションの開発も担う企業だ。

様々なサービスやコンテンツを擁するKADOKAWAグループでは、従来サービスや事業ごとに独自でID管理が行われていた。統合や合併等の影響もあり、複数のシステムやIDが乱立している状態だったという。データマネジメント課 課長 村岡 徹哉氏はこう語る。「事業ごとに異なるシステムを利用しても、それぞれの現場では何の問題もなく見えるのです。しかし全社での経営を考えると、事業を超えてお客様との接点をしっかり作る必要があります。そこで、グループのBtoCサービス共通のID基盤『KADOKAWA ID』を作ることになりました」

ネットサービスだけでなく、メインである書籍・出版事業も含め、オフラインやリアル店舗でもユーザーとのタッチポイントを増やし、マーケティングに活用、事業を超えたシナジーを生む重要な経営戦略の1つだ。

共通IDを作るきっかけは、2020年に予定されている、ショップやレストランの他、ミュージアムやホテルを含む複合施設「ところざわサクラタウン」のオープンだ。株式会社KADOKAWAと公益財団法人 角川文化振興財団が事業を進めている。ここでは共通IDを登録した会員が、スマートフォン等で会員証を提示することで、様々な特典が受けられるプログラムが計画されている。この会員サービスがマーケティング戦略の高度化を支えるデータ蓄積につながるという。

CTCのコンサルティング力が短納期の不安を払拭

しかし、この大規模プロジェクトに与えられた期間はわずか半年足らず。「プロジェクトの発足が2019年の7月後半、完成目標が12月末でした。全社基盤を半年未満で作るという条件から、まず最初にIDaaSを利用する方針を決定し、次に、具体的にどのようなソリューションやサービスを採用するかがこのプロジェクトを左右するだろうと考え、あえて技術選定を行うPoCに1ヵ月を費やしました」(村岡氏)
ペーパーリサーチで数多くあるIDaaSを比較し、デモ実装対象まで残った3サービスの1つがCTCのSELMIDだった。

  • IDaaS:Identity as a Serviceの略。ID基盤をサービスとして提供する形態

SELMIDは、自社のID基盤との連携機能やSNSのID連携にも柔軟に対応したBtoC向けのIDaaSサービスだ。米国Microsoftが提供する「Azure Active Directory B2C(Azure AD B2C)」を基盤として使用しており、ソーシャルアカウントを利用した会員登録、シングルサインオンはもちろん、必要な機能をパッケージング。環境に合わせたカスタマイズも可能だ。

「機能自体は検討対象となった3サービスともそんなに変わらなかった」と話すのは開発責任者であるEngineer Lab部 部長、三神 行蔵氏。ただし、全社共通のID基盤には様々な意味で確固たる信頼性が要求される。「当時は他社のスマホ決済システムでセキュリティの欠陥が指摘されていた時期で、短期間でスクラッチで開発するにはセキュリティに対する不安もあったんです」

認証システムは決して落ちてはいけないシステム。ログインができなくなる事態は、特にコンシューマー向けのサービスではクリティカルな問題だ。システムダウンはそのまま企業としてレピュテーションリスクにつながるため、大きな企業は特にインフラの構築・運用に予算も人手もかける傾向にある。ID盗難などセキュリティについても同じことが言える。

「CTCさんにはPoCから全てお願いし、クオリティも含めて非常にコンサルティング力が高かった。CTCさんのサポートもあるなら安心だと考えて、SELMIDを採用しました。」(村岡氏)
「例えばソーシャルアカウントとの連携も、日本ではLINEログインが必要です。そういうかゆいところに手が届く点があらかじめあるのがよいですね。そこが我々の工期短縮にもつながりました。グローバル展開するにあたって、エンドポイントが各国にあることも必須でしたが、Azure AD B2Cだけだったら採用しませんでしたね」(三神氏)

ユーザー登録の手順としてパスワードや名前を登録するが、プロセスはそれだけでは終わらない。同意を取るための規約の表示や、国によって違うサービス対象者の年齢制限への対応等、登録までには様々なステップがある。Azure AD B2Cで用意されているのはパーツのみ。何をどこに組み込むという下ごしらえの部分をCTCが行うことで、全体の工期短縮につながったという。
「細かいところも即座に応答してくれる開発支援の他、広い知見からID基盤として標準的な考え方などビジネス部分も支援いただき、CTCさんも含めたチームとして上手く回っていました。短納期のため、遅らせざるを得ない詳細な要件も出てきたのですが、どの要件であれば遅らせても支障がないかなど、専門家の意見を伺うことができたため、我々も意思決定に自信が持てました」(村岡氏)

様々な連携サービスを続々とリリース予定

「とにかくこの工期でリリースに漕ぎつけたのがすごい。グループ内でも大きな評価につながっています。エンドユーザーからのクレームや障害、問い合わせも、今のところ0件です」(三神氏)

KADOKAWA ID最初のサービスとして、主に北米を対象とした越境ECサイト「EJ ANIME STORE」がリリースされており、今後国内サービスも複数連携が開始される。所沢市でオープンする「ところざわサクラタウン」のレジや対面のスマホを使った認証にも使われる予定だ。当面100万人単位のユーザー数を目指す。「海外も視野に入れ、訪日客や訪日後の越境客も考えているので、最終的には10年スパンで1000万人単位の登録を期待しています」(村岡氏)

ソリューションとしてのID基盤構築に成功したことで、今後の中長期的なビジネス戦略にも大きな期待を寄せているという。
「今までマーケティングの焦点は、企業全体の成果より1つの事業ごとにどう費用対効果があるか、でした。しかし共通IDができたことで、例えばAの事業のために登録したお客様へ、Bの事業をご案内できるようになります。それぞれのお客様情報を、目に見えない資産として全社共有できる道が開けたのは、大きな進化です」(村岡氏)

CTCには技術トレンドのキャッチアップに期待

共通基盤を最大限活用するため、今後は時間をかけてグループ内のアカウントを移行する計画を進めている。ID基盤と連携するサービスもネイティブアプリや国内ECストアと続々展開予定だ。
「インフラからサービスレイヤーまで一気通貫で面倒を見てもらっているので、アプリケーション側に集中できるのは、クラウドサービスの良さですね。特にネイティブアプリは実績が無いのでアドバイスをお願いしています」(三神氏)

「今後もID関連の技術は変化していきます。例えば現在もパスワードレスで顔認証や指紋認証の技術が出てきていますよね。CTCさんにはそういった新しい技術やトレンドをキャッチアップし、基盤提供側の立ち位置で協力いただけることを期待しています。社会情勢としても、あらゆるサービスごとに消費者が本人確認や個人情報収集を行わなければならない世界観に無理がきている。デジタルとIDは、我々のビジネスが今後サバイバルするための重要なテーマになってくるでしょう。KADOKAWA Connectedでは『スマートシティ研究所』を立ち上げたのですが、CTCさんにはそこにも参画いただく形で、ぜひ一緒に探究してほしいと思っています」(村岡氏)

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