イベント・レポート

CTC Forum 2018 講演

「デジタルテクノロジーを使いこなす」
その前に必ずやっておくべきこととは

更新

デジタルテクノロジーはあくまでも手段。
正しい順番は、まず「本当のビジネス課題」を見つけ出した上で、「正しい解決策(テクノロジー)」を考えること

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主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 執行役員 未来技術研究所 所長 澤登 寿

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 執行役員 未来技術研究所 所長 澤登 寿

私が所長を務める「未来技術研究所」は、CTCがに設置した組織です。その目的は「未来のサービス」と「未来の事業」を作ることであり、その根底には社会の課題を解決していくことがあります。これをCTC単独ではなく、お客様やビジネスパートナーが持つアセットとCTCのエンジニアリングによる共創でゴールを目指しています。
この実現のために、CNF(CTC NewBiz Framework)、CFF(CTC Future Factory)、CIP(CTC Innovation Partners)という3つのプラットフォームを用意しています。CNFはLean Startupをベースに新規事業を立ち上げるフレームワークであり、CFFはオープンイノベーションを促進するためのもの、CIPはスタートアップ企業の支援やお客様との合弁事業を目的とした、コーポレート・ベンチャー・キャピタルです。

今年のCTC Forumのテーマは「デジタルテクノロジーを使いこなす」です。そのためには何が必要なのでしょうか。実は「デジタルテクノロジーを使いこなす」前に、やるべきことがあります。これを理解していただくため、ホームセンターでドリルを購入するという状況を考えてみましょう。

店頭には数多くのドリルが並んでいます。あなたはどのドリルを買うべきか悩んだ上で、1つの製品をレジに持っていくことになるでしょう。しかしあなたが本当に求めていたものは、そのドリルだったのでしょうか。

マーケティングにおける有名な格言に「顧客は4分の1インチドリルを欲しいのではなく、4分の1インチの穴が欲しいのだ」という、セオドア・レビット博士の言葉があります。つまり目的は「穴」であり、「ドリル」は手段なのです。このように目的と手段が入れ替わってしまうことは、決して少なくありません。そしてこれと同じ危険性は、ITにおいても存在しているのです。

テクノロジーによってビジネスの課題を解決するには、4つの視点が必要です。
それは「What」「Who」「Why」「How」です。これらのうち、「What」がビジネス上の課題であり、「How」はそれを解決するためのテクノロジーです。
アプローチの際の正しい順番は、まず「Who」「What」を考え、その上で「How」を考えることです。つまり「本当のビジネス課題を見つける」、その後に、「正しい解決策(テクノロジー)を見つける」べきなのです。

しかし実際によく見られるのは「How」から入ってしまうケースです。テクノロジーは目に見えやすい形で存在する一方で、本当のビジネス課題を見つけることは難しいからです。
自動車産業を興したフォードは自動車開発の際に、顧客に「何が欲しいのか」を問いませんでした。当時その問いを発していたら、顧客は「もっと速い馬車が欲しい」と答えていたでしょう、とフォードは語っています。この課題を解決しようとしていたら、自動車の開発には至らなかったはずです。顧客が欲しがった「もっと速い馬」こそが「How」であり、「How」から入るアプローチでは、高い確率で苦労することになったことでしょう。

オープンイノベーションでも同様です。
これを成功させるには、顧客にニーズを聞くのではなく「What」を明確にさせることが必要です。「What」を明確にする≒「明確な目的を持っている組織」と、適切な「How」を理解している≒「必要な技術を持つ組織」が手を組む必要があります。私たちはそのために、日々努力しています。

「デジタルテクノロジーを使いこなす」、その前に、「本当のビジネス課題を見つける」ことに力を注ぐことこそが、その成果を早く、大きくします。ぜひ、「本当のビジネス課題を見つける」「正しい解決策を見つける」、の順番を意識しながら、CTC Forumでそのヒントをお持ち帰りいただきたいと思います。

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