イベント・レポート

CTC Forum 2018 講演

RPAの導入活用に求められるコンセプト定義と開発・展開のポイント

更新

日本通運ではロボットに派遣社員と同等のシステム利用権限を付与し、作業者としてロボットの名前をログに残すようにしている

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開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
日本通運株式会社

ロボットを仮想労働者として受け入れられる環境を整備

日本通運株式会社 IT推進部 課長 助田 英明氏

日本通運株式会社 IT推進部 課長 助田 英明氏

から多岐にわたる輸送ネットワークで日本の物流を支えてきた日本通運。従業員は単独で3万2,000人、連結で7万人にものぼり、国内に1,200の倉庫や2,400の物流拠点、さらに海外42カ国に678の物流拠点という広範なネットワークを持ち、多様な輸送モードと、グローバルに広がる人的ネットワークや物的ネットワーク、蓄積された物流ノウハウなどを活かし、物流を通じてお客様のビジネスをサポートしています。

一方、昨今の運輸業界全体では、日本の生産年齢人口の減少による労働力不足、それに伴う人件費の高騰などへの対応を迫られています。そのためには、定常的な業務の作業時間を削減し、より付加価値の高い業務に注力すべく、RPAを活用した生産性の向上を目指す動きが活発化しています。そして日本通運でも、さまざまな物流サービスを先端技術で支えているIT推進部を中心に、からRPAの検討を開始し、ロボットを開発して導入を進めています。

RPAプロジェクトの推進で重要なことは、まずRPA導入のコンセプトを明確化することです。そのために私たちは、RPAを仮想労働者と捉えることで、ユーザーとなる現場の担当者にロボットという新しい働き手として、導入について納得してもらうことに力を注ぎました。そしてIT推進部はその仮想労働者を管理する派遣会社となり、ロボットを育成して派遣する役割を担います。このようなコンセプトを作り上げ、現場の担当者には仮想労働者の派遣社員を受け入れてもらう取り組みを進めました。加えて、RPAの立ち上げにおいては、運用におけるリスク分析も事前に行っておくことも必要となります。

次に、当社のRPA開発では、CTCやUiPathにもパートナーとして参画してもらいながら、「高い品質」「早い開発」「メンテナビリティの確保」を目指しました。そこで、まず「導入判定」「要件定義」「開発」「運用」「セキュリティ」という5つの分野に分けた約40を超えるドキュメントを作成し、開発標準の整備を行いました。また、RPAの品質は開発経験に依存することから、当社のRPA開発のルールを反映させた標準テンプレートを作成して開発効率を向上。さらに、メール送信やエクセルへのデータ貼り付けなど、業務の中で何度も発生する処理を部品化しました。これにより、品質や開発スピードの確保、運用性に加えて、セキュリティ面も向上させることができました。そのうえで、ロボットがどこで何をしているのかをきちんと把握し、常にRPAをコントロールできる環境を作り上げておくことがRPA開発においては重要なポイントとなります。

またRPAの導入展開では、ユーザーとなる現場の担当者に過度な期待を持たせず、RPAを正しく理解してもらうことが重要です。RPAに適した案件や業務とは何かをしっかりと認識して絞り込み、最適なソリューションで課題を解決するためには何が必要かを考えながら改善を図っていきます。

今後は業務処理に応じたRPAの部品化をさらに進化させ、作業パターンごとにモジュール化して素早く品質の高いRPA開発に取り組んでいきます。日本通運では、RPAの量と質という両輪からレベルアップさせながら、導入の推進を図っていきたいと考えています。

講演の様子

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