イベント・レポート

CTC Forum 2018 講演

データを見せる相手は経営層だけではない
社員に見せることで意識と働き方が変わる

更新

業務部門と少人数の情報システム部門で、BIツール「SAP BusinessObjects」によるデータ活用にチャレンジ

  • クラウド
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  • 開発
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
安川情報システム株式会社

ビジネスの“リアルタイムな視覚化”の実践と効果

安川情報システム株式会社 常務執行役員 業務改革推進本部長 石田 聡子氏

安川情報システム株式会社 常務執行役員 業務改革推進本部長 石田 聡子氏

産業用ロボットのリーディング・カンパニーである安川電機からに分離独立した安川情報システム(※に「ワイ・イー・デジタル」へ社名変更)は、ビジネスソリューションとIoTソリューションを2本の柱にシステムの外販を進めています。

社内においてもの中期経営計画のテーマとして取り組んだのが基幹システム再構築プロジェクトです。自前開発の旧システムから脱却し、市場や事業の変化に素早く対応することができ、バージョンアップなどの恩恵を享受できるクラウドサービス中心のシステムに全面移行するものです。

その中核となるSAP S/4HANAシステムが本稼働を開始したのは。システム構築と並行し、利用部門における改善活動、業務手順の標準化、平準化などを推進することで、2017年度は 約60人日/月の作業と、月末・期末の負荷集中による残業・休日出勤を削減できました。

しかし、基幹システムから抽出したデータの加工作業など、まだまだ非効率が残っています。今年度はSalesforce活用や、BI(ビジネスインテリジェンス)によるデータ提供と見える化で、プロセス改革と間接業務の効率化を推進しています。

BI活用に関しては、当初から目論見がありました。問題と感じていたのは、部門や個人が持つ派生Excelシートです。システムから出力される帳票は、エンドユーザーが作成するこれらのシートのデータ源になるため安易に廃止できず、属人的なマクロなどで加工されており書式も勝手には変えられません。

そこでシステム刷新を機に業務処理・帳票の必要性を見直し、500を超える帳票のほとんどを廃止し、必要最小限の帳票のみをSAP S/4HANAのアドオンとして作成し、その他の必要データはBIで提供することにしました。こうした経緯を経て、からはいよいよBI活用への取り組みをスタートしました。

ところで、ユーザーは何を見たいのでしょうか。経営層はグラフやデータが見たいわけではありません。ビジネスの状況に問題があるかないか、原因や対策案を聞いて判断をしたいだけです。
また経営課題もその時々で異なるため、見たい情報も違ってきます。一般の利用部門でも同様で、定型的に見たいデータはありますが、仮説に基づいてデータを見た結果、さらに見たいデータは変わります。このような要求に対応するため、従来型のDWHを「構築」するのではなく、SAP BusinessObjectsによるSAP HANAのダイレクト・アクセスを利用し、エンドユーザ・コンピューティングに近い形で基幹システムのデータを提供することにしました。

一方、営業プロセスにおいては、Salesforceの商談プロセスを見直し、今月・今期受注予定の商談が、プロセスごとにどれだけあるかをダッシュボードで見える化。マネージャーが適切に助言できるようにする改革を進めています。ダッシュボードも大きなサイネージに常時表示することで、半月もせずに入力促進や受注前倒しなど、着実な効果が上がっています。見られること、評価されることが、「案件を早く進めなければ」と営業担当者の意識を変えるのです。またマネージャーが結果管理ではなく、各フェーズでの効果的な助言から、より大きな成果につながると期待しています。営業活動にはSalesforceで、他の部門へはBIによって、活動を見える化し、働き方を変えていきたいと考えています。

まだまだ改革は始めたばかり。世の中の一般的なBI活用のあり方に準じているかどうかはわかりませんが、今後もこの取り組みを継続し、技術部門やスタッフ部門の生産性・業務効率を向上するための指標を見える化することに注力していきます。

講演の様子

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