もう悩まない!
クラウドを利用したバックアップ環境のご紹介
投稿日: 2020/08/21
はじめに
オンプレミス環境の運用課題の1つとして「バックアップ管理」があるかと思います。
「運用やシステムにかかるコストをバックアップというビジネスに直結しないものに割きたくない!」
という思いがある中で、どんなに信頼性の高いシステムであってもデータ消失の可能性はあるためデータの複製/保管に関する対応は非常に重要となります。そんな中で、お客様の環境で以下のようなバックアップに関する悩みをお聞きすることがあります。
- バックアップデータの保管が同一データセンター内であり、災害対策に不安がある
- バックアップデータが日に日に増えており、容量がすぐに増やさないといけない
- 会社からBCPやDR対策を強化/検討するように言われている
これらを解決する方法として、クラウドを利用したバックアップソリューションをご紹介いたします。
バックアップ先としてクラウドが優れている点は以下の通りであり、お客様からよく聞く悩みを解決することが出来ます。
- 遠隔地に対するバックアップを容易に実装可能
- 容量制限なしのストレージ、または容易に拡張可能なストレージを利用可能
- バックアップデータをもとにクラウド上で事業継続が実現可能
- 仮想マシンのイメージバックアップをクラウド環境でイメージ変換&デプロイ
- バックアップファイルをクラウド上のサーバにファイルリストア
ただし、一口にクラウドバックアップと言っても、バックアップソフトを利用したものからストレージレプリケーションを利用するものまで様々な方法があります。

本記事では、バックアップソフトを利用したAWS環境への複数のクラウドバックアップの実現方法ならびに特徴を説明していきます。
※ストレージレプリケーションを利用したバックアップは別の記事にてご説明予定です。
クラウドバックアップの方式について
主なクラウドバックアップの方式として以下4つの構成例を記載し、バックアップの流れ、またはお客様のお悩みに対してそれぞれのご説明をしていきます。
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a) ティアリング
保持世代のポリシーに従ってバックアップサーバの非アクティブな古いバックアップデータをクラウドストレージへ階層化して長期保存 -
b) ダイレクトバックアップ
オンプレ環境のバックアップサーバからクラウドのサーバへ直接保存 -
c-1) バックアップレプリケーション(S3構成)
オンプレ環境のバックアップサーバで取得したバックアップデータをクラウドストレージへ複製 -
c-2) バックアップレプリケーション(EC2構成)
オンプレ環境のバックアップサーバで取得したバックアップデータをクラウドのサーバへ複製 -
d) クラウドゲートウェイ
オンプレ環境のバックアップサーバにてクラウドストレージをNFS/SMBでマウントし、バックアップデータの実態をクラウド上に保存

a)ティアリング

<バックアップの流れ>
- ① オンプレ環境のバックアップサーバへ1次バックアップ
- ② バックアップサーバがS3へ非アクティブなバックアップデータを階層化して保存
<お客様のお悩みに対して>
- 災害対策:非アクティブな過去のバックアップデータのみ復旧可能 ※1
- 拡張性 :S3を利用することで容量は自動的にスケール
- 事業継続:クラウド環境にバックアップサーバを別途構築することで、過去バックアップデータから事業継続可能 ※1
b)ダイレクトバックアップ

<バックアップの流れ>
- ① オンプレ環境のバックアップサーバからクラウドのEC2へ直接バックアップ ※2
<お客様のお悩みに対して>
- 災害対策:バックアップデータはクラウドに保管されているため復旧可能
- 拡張性 :EBSを手動でディスク追加/ディスク拡張することで対応可能 ※3
- 事業継続:EC2サーバのバックアップデータから事業継続可能
c)バックアップレプリケーション

c-1)S3構成の場合
<バックアップの流れ>
- ① オンプレ環境のバックアップサーバへ1次バックアップ
- ②-1 バックアップサーバがS3へバックアップデータを複製(2次バックアップ)
<お客様のお悩みに対して>
- 災害対策:バックアップデータはクラウドに保管されているため復旧可能
- 拡張性 :S3利用することで容量は自動的にスケール
- 事業継続:クラウド環境にバックアップサーバを別途構築することで、バックアップデータから事業継続可能
c-2)EC2構成の場合
<バックアップの流れ>
- ① オンプレ環境のバックアップサーバへ1次バックアップ
- ②-2 バックアップサーバがEC2へバックアップデータを複製(2次バックアップ)
<お客様のお悩みに対して>
- 災害対策:バックアップデータはクラウドに保管されているため復旧可能
- 拡張性 :EBSを手動でディスク追加/ディスク拡張することで対応可能 ※3
- 事業継続:EC2サーバのバックアップデータから事業継続可能
d)クラウドゲートウェイ

<バックアップの流れ>
- ① バックアップサーバがクラウドゲートウェイをNFS/SMBマウントする
- ② オンプレ環境のバックアップサーバへバックアップ
- ③ クラウドゲートウェイがS3へバックアップデータを転送 ※4
<お客様のお悩みに対して>
- 災害対策:バックアップデータはクラウドに保管されているため復旧可能
- 拡張性 :S3を利用することで容量は自動的にスケール
- 事業継続:クラウド環境にバックアップサーバ/クラウドゲートウェイを別途構築し、S3の領域をNFS/SMBマウントすることで、バックアップデータから事業継続可能
おわりに
クラウドバックアップの方式についてそれぞれの特徴を述べてきましたが、実際にバックアップ環境を導入するにあたってはこれまで述べてきた内容以外にも様々なポイントの検討が必要となります。
検討のポイント
- バックアップ対象 (仮想化/物理環境、DB/AD、クライアントPC、ストレージ等)
- バックアップ/データ転送
- ネットワーク回線/閉域網対応
- データ暗号化/セキュア通信
- RTO(データ復旧時間)
- 復元シナリオ(仮想マシン単位、ファイル/フォルダ単位のリストア対応等)
- 費用対効果
弊社にはオンプレミス環境における十分なバックアップ環境を構築してきた実績もあり、AWSに関してもプレミアコンサルティングパートナーであります。 オンプレからクラウドまで一気通貫でお客様の環境をサポート可能ですので、少しでもクラウドを利用したバックアップサービスに興味がございましたらお気軽に「お問合わせ」からご相談下さい。
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※1:ティアリングのモードによっては、クラウド側へ即時コピーを行うこともでき、その場合はオンプレ側のアクティブなデータも含めて復旧可能
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※2:バックアップサーバをクラウド側に配置することも可能ですが、重複排除&圧縮されたバックアップデータのみがクラウド側へ転送されるようにオンプレ側に配置
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※3:EBSのディスクを追加もしくはディスク拡張し、バックアップサーバ側で拡張等の作業が必要
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※4:クラウドゲートウェイをクラウド側に配置することも可能ですが、重複排除&圧縮されたバックアップデータのみがクラウド側へ転送されるようにオンプレ側に配置
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