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「AWS User Notifications」を実際に使ってみた
― 6つのメリットと4つの注意点を解説

はじめに

こんにちは、坂です。
これまで、AWS通知は「Amazon SNS」を利用したメール通知が一般的でした。その際、受信メールの件名や本文が読み解き難い内容で届き、監視担当者が内容の把握に苦労することが課題でした。

そうした課題に対し、簡単に設定ができて、メールの判別が容易になるサービスが「AWS User Notifications」です。

このサービスが発表された時の最初の正直な印象は、“SNSと何が違うの?どんなメリットがあるの?”というもので、具体的なイメージがわきませんでしたので、実際に”使える”のかどうか試してみました。

本記事では、「AWS User Notifications」を実際に利用してみた上でのメリットと、利用する際の注意点について、解説します。

AWS User Notificationsとは?

まず、AWS User Notificationsとは?について説明します。

AWS User Notificationsは、2023年5月3日に一般提供が開始された、通知を一元的に設定・表示できるサービスです。

その主な特長は、

  • 100を超えるAWSサービスのイベントをキャッチアップ
  • 人間が読み解ける、整合性のある形式で通知
  • 通知を一元的に設定し、通知を一覧確認
  • 通知内容に、該当するAWSコンソールポータルへのリソースにリダイレクトする URL が内包
  • 3つの通知手段に対応
    Eメール、AWS Chatbot、AWSコンソールモバイルアプリ

といった点が挙げられます。

参考:AWS ユーザー通知の一般提供を発表(2023.5.23)
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2023/05/aws-user-notifications-available/

AWS User Notificationsを利用するメリット

私の感じたAWS User Notificationsを利用するメリットは、全部で6点あります。

  • メリット①:通知一覧の確認が容易になる
  • メリット②:判断しやすい件名・本文で整形され、整合性のある通知フォーマット形式で通知される
  • メリット③:通知本文に通知に該当する管理ポータルへのリンクが内包される
  • メリット④:スマートフォンへの通知設定が簡単
  • メリット⑤:AWSサービスのイベントのキャッチアップ設定が簡単
  • メリット⑥:通知をまとめることができる

以下、順番に1つずつ解説します。

メリット①:通知一覧の確認が容易になる

AWS User Notifications利用メリットの1つ目は、メール以外から通知の検索・確認が容易になる点です。

<User Notifications設定前>

<User Notifications設定後>

User Notificationsの管理画面でも確認が可能

メリット②:判断しやすい件名・本文で整形され、整合性のある通知フォーマット形式で通知される

AWS User Notifications利用メリットの2つ目は、判断しやすい件名・本文で整形され、整合性のある通知フォーマット形式で通知される点です。

GuardDutyの通知は、とてもわかりやすいです。

件名で判別できることは嬉しいものの、AWS Config に対する通知では欲しい件名になっていないケースがあるため、確認が必要です。

<CloudWatchアラーム、Configのコンプライアンス違反>

メリット③:通知本文に通知に該当する管理ポータルへのリンクが内包される

AWS User Notifications利用メリットの3つ目は、通知本文に、通知に該当する管理ポータルへのリンクが内包される点です。

<GuardDuty>

<CloudWatchアラーム>

しかし、サービスによってはリダイレクトURLが表示されないケースもあるので、注意が必要です。

<Configのコンプライアンス違反>

*AWSコンソールポータルへリダイレクトする URL がない

メリット④:スマートフォンへの通知設定が簡単

AWS User Notifications利用メリットの4つ目。AWAコンソールモバイルアプリを利用することで、スマートフォンへの通知を容易に設定できます。

スマートフォンへの通知はメールでもよいですが、本文にURLが含まれるメールは拒否される場合があるので、アプリ通知は有効です。アプリだとPush通知が使えるため、気づきやすいというメリットもあります。

スマートフォンへの通知はメールと同じ、以下のイメージです。

メリット⑤:AWSサービスのイベントのキャッチアップ設定が簡単

AWS User Notifications利用メリットの5つ目。AWAサービスのイベントのキャッチアップ設定も、EverBridgeルールの作成と同じ直感的な操作で、簡単に行うことができます。

メリット⑥:通知をまとめることができる

AWS User Notifications利用メリットの6つ目は、通知を1か所に集約することができる点です。マルチアカウウントやメンテナンスの通知など、さまざまな使いどころがありそうです。

AWS User Notificationsを利用する際の注意点

次に、AWS User Notificationsを利用する際の注意点を解説します。

  • 注意点①:EventBridgeルールの削除について
  • 注意点②:通知先の登録と解除について
  • 注意点③:通知が届かない(迷惑メールに振り分けられる)
  • 注意点④:AWS コンソールモバイルアプリのPush通知について

注意点①:EventBridgeルールの削除について

  • AWS User Notificationsで作成されたルールは、AWS管理ルールとしてEventBrideルールに追加されます。
  • ただし、User Notificationsで作成されたルールに含まれる「高度なフィルター」定義は、EventBrideルールに含まれません。(イベントのフィルターは、2段階で実装されているようです。Step1:EventBrideルール / Step2:User Notificationsで定義した高度なフィルター)

注意点としては、管理ルールの追加はできないが削除はできるという点。

さらに、EventBrideポータルでAWS User Notificationsで自動生成されたルールを削除すると、AWS User Notificationsの設定が宙ぶらりんのまま残ってしまうことになるという点です。

注意点②:通知先の登録と解除について

SNSとAWS User Notificationsでは、購買登録と解除方法に差異があります。
中でも購読登録はAWS管理コンソールへのログインが伴います。

注意点③:通知が届かない(迷惑メールに振り分けられる)

AWS User Notificationsでは、利用するAWSサービスごとに差出人が変わります。さらに、HTML形式メールのため迷惑メールと判定される可能性が高く、ドメインレベルで許可するなど、注意が必要です。

注意点④:AWS コンソールモバイルアプリのPush通知について

今回iPhoneで試した際、AWS コンソールモバイルアプリのPush通知ができませんでした。iOSが古いと起きるようなので、注意しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、AWS User Notificationsについて、実際に使用してみて気付いたメリットと、注意点について解説しました。

<AWS User Notificationsのメリット>

  • メリット①:通知一覧の確認が容易になる
  • メリット②:判断しやすい件名・本文で整形され、整合性のある通知フォーマット形式で通知される
  • メリット③:通知本文に通知に該当する管理ポータルへのリンクが内包される
  • メリット④:スマートフォンへの通知設定が簡単
  • メリット⑤:AWSサービスのイベントのキャッチアップ設定が簡単
  • メリット⑥:通知をまとめることができる

<AWS User Notificationsのメリット>

  • 注意点①:EventBridgeルールの削除について
  • 注意点②:通知先の登録と解除について
  • 注意点③:通知が届かない(迷惑メールに振り分けられる)
  • 注意点④:AWS コンソールモバイルアプリのPush通知について

その上で、AWS User Notificationsは

  • スマートフォンへの通知を行いたい方
  • Json本文のメールを受け取りたくない方

には、おすすめできると思います。

ただし利用の際は、注意点を理解した上で、任意のキーワードを用いた振り分けは従来のSNSで件名・本文のカスタマイズを用いるなど、使い分けすることも考慮しましょう。

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【著者プロフィール】

坂 和久(ばん かずひさ)

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 クラウドアーキテクト

オンプレミスの設計業務から構築業務に従事。現在はオンプレミス時代の経験を活用し、エンタープライズ向けのAWSプリセールス並びにAWS案件全般でお客様を支援するアーキテクトとして活躍中。

坂 和久(ばん かずひさ)

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