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CTC

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

ものを壊さず品質や状態を評価する

超音波の様々な利用シーン
超音波の様々な利用シーン

超音波は、ネジや電子部品などの小さなものから自動車や橋のような大きなものまで、あらゆるものを破壊することなく検査することができます。CTCが開発した超音波シミュレータ「ComWAVE™」は、非破壊検査・計測の様々な分野で活用されています。

企業が世界でトップを走るためには、高品質な製品を提供することが重要です。品質チェックの重要度が高まる中、物体のあらゆる角度から高度な検査や測定ができる超音波検査・計測技術の活用が進んでいます。超音波は、可聴上限周波数の2万Hz以上の気体・液体・固体中の振動を指し、人間は音として認識することができないため、騒音となることはありません。また、人体に無害とされており、あらゆるものの検査に、安全に使うことができます。

例えば、自動車や電化製品に用いられているバッテリー。近年、ハイブリットカーの普及や電装品の大容量化に伴いバッテリーは大型化し、製造不良による発火事故も起こっています。そのため、製造時に不良品を排除するための手段として、超音波検査技術の活用が進んでいます。また、自動車や航空機ボディの新素材として脚光を浴びるようになったCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの複合材は、金属よりも軽く強度があるため金属の代わりになると考えられる一方、劣化や破壊が外から分かりにくいため、製造時はもちろん、運用時の検査も重要視されています。

特に、人命に関わる製品は、部品の品質が安全性を左右するため、隈なく検査しなければなりません。様々な検査手法の中で、超音波検査の効率を上げるために利用されているシミュレータが、CTCが開発した超音波シミュレータ「ComWAVE™」です。「ComWAVE™」は、高精度な解析手法として知られている有限要素法を採用し、独自のアルゴリズムにより、これまで不可能であった100億要素規模の大規模な超音波伝搬解析をクラスタPC上で高速に実行できるようにした画期的なシミュレータです。

これまでは高度な解析をする際には強力なコンピュータパワーを必要としたため、検査の対象や範囲、品数が限られていました。しかし「ComWAVE™」の登場で、ネジのような小さなものから航空機ボディのような大きなものまで、あらゆる形状や大きさのものの、微細な分析や解析が効率よくできるようになりました。現在では、自動車をはじめとする安全性が問われるような製品の検査効率化に向け、「ComWAVE™」の導入が進んでいます。

モノづくりの現場以外でも、超音波シミュレーションは活用されています。現在、日本国内では戦後に建てられた建物や橋などの老朽化が進んでおり、安全性の確認が重要視されています。しかし、橋のような巨大な構造物は、検査のために足場を組むことが必要な場合や、そもそも足を踏み入れることが困難な場所に建っていることがあります。超音波であれば、遠く離れた場所からも安全に検査・計測ができると考えられており、土木建築分野での超音波シミュレーションを活用した検査技術の開発が進んでいます。

現在、「ComWAVE™」のユーザ数は国内で約100社、様々な企業や研究機関などに導入されるとともに、重要文化財の改修工事に応用されるなど、幅広く活用されています。重要文化財の多くは木材で、内部が腐食しているかどうか表面上からは分かりません。これまでは職人の長年の経験と技術で判断してきましたが、今では超音波を当てることで誰でも内部の状態が分かるようになりました。医療の分野では、胎児の画像をより鮮明に見えるようにする取り組みも行われています。CTCでは、超音波シミュレータをあらゆる分野で活用し、高品質なものづくりや、社会の安心・安全に貢献していきます。

池上 泰史

科学システムサポートチーム池上 泰史