SOCIAL INFRASTRUCTURE

WORK500万世帯の検針データを預かる
強固なデータ基盤を築くPROJECT STORY # 01

日本の電力供給のあり方が大きく変わり始めている。
東日本大震災が残した教訓を踏まえて「電力システム改革」が打ち出され、
2016年4月には電力自由化がスタートした。
中国電力はそうした動きに伴い、信頼性と利便性の向上を目的としたITインフラの再整備を推進。
その中核となるデータセンターの仮想統合を担ったのがCTCだった。

Episode012拠点のデータセンターを
あたかも1つのデータセンターに

中国5県に電力を供給する中国電力では、東日本大震災から災害対策の重要性を学び、ITインフラの強化に力を注いできた。しかし、広島と岡山に設置されたデータセンターでは、多くの企業に導入される常時稼働のデータセンターをもう一方がバックアップする方式となっており、不測の事態が生じた場合、システムの切り替え等が必要で完全復旧には時間を要する懸念があった。

更に、「電力システム改革」を推進していく中でスマートメーターを管内に導入し、家庭や企業からネットワークで自動収集した検針データを確実に管理するためにも、データ基盤の信頼性をこれまで以上に高める手立てが求められていた。

中国電力の担当営業として以前から同社のプライベートクラウド「エネルギアクラウド」の構築等をサポートしてきた竹原は、そうしたニーズがあることを知り、「自律型データセンター以上の解決策はない」と確信。エンジニアと共に提案を練り、その有用性をアピールした。

自律型データセンターを構築すれば、地域的に離れた複数のデータセンターを仮想的に1つのデータセンターに統合し、データをリアルタイムに完全同期させることが可能だ。あるデータセンターが大地震等の災害によって万一機能停止に陥った場合も、ユーザーは円滑に業務を継続することが可能になる。

提案がジャストタイミングだったこと、更にシステムを構成する機器に中国電力の使い慣れた製品が選定され、運用管理面まで配慮が行き届いていた点も高く評価され、プロジェクトは動き出した。

Episode02徹底した準備と検証で
距離という障壁を乗り越える

CTCはかねてより自社所有のデータセンターで実証試験を重ね、自律型データセンターに関する技術的な知見を蓄積していた。しかし、電力という社会のライフラインを支えるITインフラに、システムダウンやデータロストは許されない。しかも、広島-岡山間は約140キロ。これだけの長距離を仮想環境で結んだ前例は国内にない。本番稼働まで半年というスケジュールの半分以上を検証に費やし、信頼性と可用性の見極めを行った。

「データセンター間のやりとりに一定以上のタイムラグが生じると、システムエラーを起こす可能性があります。実際の通信距離を再現した環境で性能を確認したかったので、シミュレーターではなく広島と岡山にデモンストレーション環境を用意し、あらゆる状況を想定して念入りにテストを重ねました」

プロジェクトの進行をマネジメントしたエンジニアの松島はそう振り返る。徹底したリハーサルが功を奏し、構築から導入まではさしたるトラブルもなく順調に進行。2016年4月、国内最大規模となる自律型データセンターは本番稼働を迎えた。

Episode03次世代の電力ネットワークづくりを
ITでサポートする

中国電力は今後、約500万世帯の全加入者にスマートメーターを順次設置し、従来は検針員が月に一度行っていた使用量の確認を30分ごとに自動化。検針データはネットワーク経由でデータセンターに集められ、多様化する電力供給の管理をはじめ、ライフスタイルに合わせた料金プランの設定やサービス拡充等様々な用途に活用される予定だ。今回のプロジェクトの成功は、次世代の電力ネットワーク「スマートグリッド」の実現へ向けても大きな一歩となる。エネルギーとITの融合が加速していく中、CTCの役割は更に重要になっていく。

PROJECT MEMBER

  • Y.T.
    営業

    Y.T.

    2008年入社/言語学専攻
    公共・広域事業グループ

    入社後はITサービス事業グループに配属。通信キャリア向けの全国拠点ネットワーク構築案件等に携わった後、電力会社担当の営業として活動中。

  • T.M.
    エンジニア

    T.M.

    2006年入社/工業経営学専攻
    公共・広域事業グループ

    入社当初は情報通信業界のインフラ構築及び基幹システム開発を経験。その後、電力会社グループ向けに仮想基盤技術を活用したインフラ構築、クラウド構築を行う。

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