Amazon Qのまとめとついでに試してみた
投稿日: 2024/03/11
はじめに
こんにちは、高橋です。
昨年末のre:inventの中で最も注目されたと言っていいサービスはAmazon Qではないでしょうか? ただ、Amazon Qを調べてみると多種・多様なサービスが引っかかり、社内や社外の方と会話した場合でも、混乱されている方をよく見かけました。そこで今回はAmazon Qについて私見となりますが纏めてみて、ついでにその中のAmazon Q For Business Useを試してみたいと思います。
1.情報の整理
Amazon Q が何かといえば、昨年から話題沸騰中の生成AIを活用したフルマネージド型のAIアシスタントサービスで、AWS利用に対するチャットボット的な利用方法から、ユーザ所有のデータを元にQA対応や、サマライズ等一般的な生成AIアプリと同様のことが実施可能です。ただ、前段で記載した通り、検索してみるとAmazon Qは色々な名前で発見することができ、それを私見で纏めると以下の様になると思います。
用途 | 名前 | 概要 |
---|---|---|
汎用 | Amazon Q for Business Use | 汎用エンタ―プライズチャットアシスタント |
AWS利用者支援 | Amazon Q for AWS Builder Use | AWSコンソール上のAWS利用チャットボット |
Amazon Q in the AWS Console Mobile Application | AWS Console Mobile AppからBuilder Useへのアクセス | |
開発支援 | Amazon Q in CodeWhisperer / Amazon Q in Amazon CodeCatalyst / Amazon Q in IDE | コーディング支援 |
Amazon Q generative SQL in AmazonRedshift | SQLクエリの生成 | |
Amazon Q Code Transformation | コードの自動変換 | |
AWSサービス統合 | Amazon Q in Amazon Quicksight | データ分析と可視化 |
Amazon Q in Amazon Connect | コンタクトセンター支援 | |
Amazon Q in AWS Chatbot | 外部チャットアプリとの連携 | |
Amazon Q network troubleshooting | ネットワークのトラブルシューティング | |
Amazon Q Data integration in AWS Glue | ETL処理の支援 |
汎用としたAmazon Q for Business Useはこの後実際に試してみますが、皆様がパッと思い浮かべる生成AIアプリに合致するもので、ユーザが保持するデータを取り込ませて、そこからQA形式でナレッジを引き出せるサービスです。
次のAWS利用者支援としたAmazon Q for AWS Builder UseはAWSコンソールに統合された、AWS利用に対するアシスタントシステムとなります。利用するにはコンソールの右上の方にある六角形のマークをクリックするとアクセスすることができます。

開いた画面でテキストボックスにAWSに関する質問を入れると回答をエビデンスと共に出力してくれます。ただし、現在(2024/2月末時点)は英語のみの対応となるため、利用に当たっては、日本語で質問を考えて、翻訳ツールで英語化し、それを入力するなどの対応をする必要があります。

質問はAWSの簡単な利用方法から設計・設定に関することから料金など、AWS利用に関するさまざまな情報を得ることができますので、これまで調査に掛かっていた時間を大幅に削減することができます。実際私は現在この機能に大変お世話になっています。
開発支援としたサービスはAmazon CodeWhispererやCodeCatalystといった統合開発環境サービス内でコードの作成、分析、変換を行うことを支援するもので、用途が分かりやすいサービスと言えます。
AWSサービス統合としたものはAWSの各種サービス内でそこから出てくる情報を元に様々な情報の抽出・提言を行ってくれるサービスとなります(下記はプライベートサブネットに作成したEC2インスタンスがなぜインターネットへアクセスできないかをAmazon Q network troubleshootingで質問した例)。

今後はAWSサービスに統合された形で機能が拡充され、AWS環境の利用がより快適になっていくのではないかと推測されます。
2.Amazon Q for Business Useを試してみた
Amazon Q for Business Useは社内のさまざまは情報を元にプライベートな生成AIアプリケーションを作成することができます。具体的には下記に保存されているデータをソースとして活用することができます。
Amazon S3 | Amazon RDS | FSx |
---|---|---|
Workdocs | Web(Crawler) | Box |
Microsoft Teams | Microsoft Sharepoint | Microsoft Exchange |
Microsoft OneDrive | Microsoft Yammer | Oralce |
Gmail | Google Drive | Git Hub |
Slack | Adobe Experience Manager | Confluence |
DB2 | Dropbox | Drupal |
Sales force | ServiceNow | Zendesk |
Alfresco | Jira | Quip |
今回はAmazon S3上にAWSのセキュリティに関するホワイトペーパーを保存し、それをソースとしてAmazon Q for Business Use(ここからは単にAmazon Qとします)を試してみます。
まず、AWSコンソールでAmazon Qに移動します。2024/2末時点でAmazon Qが使用できるのはバージニアとオレゴンリージョンのみとなっているのでご注意ください。

ページに移動したら早速「Get started」をクリックし、開いた画面で「Create application」をクリックします。

次のページでは最低限名前を入力し、必要に応じてロールの指定や暗号化の設定を行います。なお、次のページに進むまで数分待つことになります。

次に裏で動く検索サービスとしてAmazon Qネイティブの検索サービスとAmazon Kendraのいずれかを選択します。今回はお試しなのでnative retrieverを選択します。

続いてデータソースは予定通りAmazon S3を選択し、

最低限名前とIAMロール(権限的なトラブルを避けるために新規でいいと思います)、ファイルを保存したS3バケット、同期のスケジュールを指定しデータソースの作成を行ないます。

データの量によってここは待ち時間が違いますが、暫く待つとデータソースが作成され設定が完了します。

生成AIアプリケーションができましたので、試してみたいと思いますが、開始は先程の画面の「Preview web experience」をクリックすると対話画面が開きます。

セキュリティ系のドキュメントを読み込ませているので、「ALBをDDoS攻撃から守るためにはどうしたらいいか?」と英語で入力すると以下の様にそれっぽい回答が出力されました。

この様に簡単に自分だけの生成AIアプリを作成することができました。ちなみに、データソースに入っていない全く関係ない質問(世界一高い山は何ですか?)を入力しても答えは得られませんでした。

また、私の過去のブログの原稿を読み込ませ、日本語で質問を入力してみましたが、こちらも答えてくれませんでした。

ということで、やはりまだ日本語には対応していないことも確認できました。
4.さいごに
今回はたくさんあるAmazon Qに関連するサービスの纏めと、最も生成AIらしいAmazon Q for Business Useを試してみました。当面はAmazon Q for AWS Builder UseやAWSサービス内に統合された機能を使用してAWS環境内のなぜ・何を解決しながらAWS自体を便利に使用することがメインで、Amazon Q for Business Useでは英語で記載されている技術文書や契約書などを読み込ませて、その要約や必要な情報の抽出を行うような使い方で、日本語に対応するまでは日本語関連はAmazon Bedrockを使用する形になるかと思います。
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