事例

出光興産株式会社 様

更新

クラウド型電子帳票サービスで請求書をWeb化し業務効率アップ

「通常郵送している請求書をWeb化し、業務を効率化したい」、「コスト削減を図りたい」。このように考えている企業は多い。郵送の場合、取引先は待っていれば請求書が届くが、Webの場合は自分からパソコンで請求書を取りに行く必要があるため、取引先の手間が増えることについてご理解をいただくことが大きなハードルとなる。だが、石油の輸入・精製を手がける大手石油元売会社の出光興産は、わずか6カ月で販売店やサービスステーションなどを中心とする取引先の8割以上の請求書Web化に成功した。その要因には、取引先からの理解、現場営業担当の努力、そしてCTCが提供する次世代電子帳票サービス「ePromo」の柔軟性があった。CTCは現場からのリクエストにきめ細かく対応し、パソコンが初めての方でも簡単に帳票を閲覧できる操作性を実現。出光興産では請求書Web化の100%達成を目標にすると同時に、「ePromo」を取引先とのコミュニケーション基盤として、各種情報の提供やプロモーションへの活用を目指す。

課題と効果

課題
  • 請求書配送業務の効率化・早期化
  • コスト削減
  • 請求書誤配送のリスク

「ePromo」で請求書配信をWeb化

効果
  • 請求データ配信のスピードアップ
  • 帳票データの有効活用
  • 帳票配信フローのシンプル化

導入事例インタビューデータ

会社名
出光興産株式会社
所在地
〒100-8321 東京都千代田区丸の内3-1-1
設立
1940年3月30日(創業1911年6月20日)
資本金
1,086億円
URL
http://www.idemitsu.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 出光興産株式会社 販売部 販売一課 経営サポートグループ石井 洋子氏

    出光興産株式会社
    販売部
    販売一課
    経営サポートグループ

    石井 洋子氏

導入背景

販売体制再編と同時に業務効率化に着手

ギリシャ神話のアポロンをイメージした「アポロマーク」で有名な出光興産。2011年に創業100周年を迎えたが、社員の自主性を重んじるとともに、労働組合やタイムカード、定年制がない等、非常に個性的な会社としても有名である。そんな同社のキャッチフレーズは「ほっと安心、もっと活力、きっと満足。出光の約束」。これはウルトラマンのCMでも放送されているので、多くの人が知っているだろう。販売部 販売一課 経営サポートグループ 石井洋子 氏は自社の印象を「古くから付き合いのあるお取引先様も多く、人間同士の結びつきの強い風土があると思います」と語る。

最近ではプレミアムバッテリー「ZAXIA」(ザクシア)を発表。徹底して高品質化を図り、従来品を大きく上回り国内最長となる「4年間10万km」の長期保証を可能にして話題となった。

また2011年4月、それまで全国8支店であった販売拠点を、24営業所に再編。「担当エリアをもっと小さな単位に分け、お取引先様とより密なコミュニケーションをとり、意思決定を早めることで変化への素早い対応を目指しました」と、石井氏は再編の狙いを語る。再編と同時に業務の効率化とコスト削減にも着手。ここで注目されたのが、請求書に代表される取引先への帳票配送業務だった。

紙やCDによる請求書配送の課題

以前から請求書の配送業務は全国各支店の大きな負荷となっていた。基幹システムから印刷された請求書が、発送元である出光興産の情報システム部や委託先から各支店に届き、支店はスタッフ総出で封入作業を開始する。「私も支店勤務時代には配送業務に追われていました。送付先の誤りは大変な事故になりますので毎回緊張しながら作業していました」と、石井氏は振り返る。

この配送業務を効率化するため、まずはCDに請求データを記録して発送する仕組みを取り入れた。だが、同社にとって販売店はお客様であり強制することはできず、CDでの配送はなかなか受け入れられなかった。「7年続けてやっと7割ほどのお取引先様にCD配送をご了承いただきました」(石井氏)。

まだ3割近くの取引先が紙での郵送を望み、その業務が残った。更に、取引先へ送付するのは請求書だけではない。納入明細表や前受金精算書など43種類の帳票があり、それら全てのデータが揃うのを待ってCDに記録していては、請求書の送付が遅れてしまう。そこで、急ぎの一部のみを記録し、残りはやはり紙の印刷と郵送に頼っていた。「五月雨式にお取引先様に帳票を送るものですから、とても複雑なフローになっていました」(石井氏)。

システム概要

請求書のWeb配信をCTCに相談

そこで出光興産が相談したのがCTCだった。CTCの提供する次世代電子帳票サービス「ePromo」が限定的な使い方ながら既に導入されており、これなら課題の多くを解決できると考えたからだ。

導入のためのプロジェクト立ち上げは2011年3月。「CTCのSEと営業担当に相談したところ、多くを説明しなくても、こちらの意図を把握してくれました。『ePromo』もこちらのニーズにぴったりでした」と、石井氏は採用理由を語る。

その後ミーティングを重ね、7月からシステムの設計構築を開始。12月からテストを開始した。「全国のお取引先様に呼びかけ、テストへの参加を募りました。100店ほどが手を上げてくださり、3カ月間『ePromo』のテスト稼働を行いました」(石井氏)。テスト稼働の際にアンケートを行い、リクエストに応じて操作性等の改善点を整理。「CTCに改善案を求め、優先順位をつけて、改良を重ねていきました」(石井氏)。本格稼働開始は2012年4月で、参加した取引先は200店ほどであった。

パソコンが初めての人でも使える容易な操作性

最も苦労したのは、操作そのものの分かりやすさだった。「ガソリンスタンドというのは現場仕事ですから、POSは使えてもパソコンを使ったことがないという方もいらっしゃいました。そのような方でも簡単に操作して請求書の閲覧・印刷ができるような、分かりやすい画面づくりに気を遣いました」と、石井氏は強調する。操作性の改善は、ご利用いただいている取引先の意見を聞きながら継続して進めている。

また、付加価値として、帳票のイメージファイル(PDF)だけではなく、帳票のデータファイル(CSV)も同時配信し、経理部門や企画部門などで事務作業に活用している。

帳票閲覧の権限設定にも柔軟に対応。例えば全ての帳票を閲覧できるのは社長のみ、販売部門は納入データのみ、経理部門は請求データのみなどというように、きめ細かく設定できるようにした。「ePromo」は標準機能として10階層までの権限設定が可能であり、これも特長の1つとなっている。

導入効果

請求書配信を大幅にスピードアップ

「『ePromo』にデータを転送すると翌日にはWeb化して配信されます。紙帳票やCDの頃は請求書をお届けするのは毎月10日前後になっていましたが、今では月初めにお届けできるようになりました」(石井氏)。取引先側では、受け取った請求明細をもとに、更に取引先自身のお客様に請求書を発行する業務もあり、その業務に余裕を持って取り組むことができるようになった。それまで、請求データが早期に必要な取引先へは、支店から特別にFAXで送る対応をしていたこともあったが、このような手間も一切なくなった。

更に、取引先側では、紙で届いていた帳票類の保管場所が不要になった。もちろんファイリングの必要もないし、後から探す際も紙をめくる手間もない。更に、多店舗展開している取引先では、届いた紙帳票を各店舗に振り分ける作業からも解放された。

事務サポートグループの皆様、出光興産 新富町オフィス

事務サポートグループの皆様
出光興産 新富町オフィスにて

出光興産のメリットとしては、業務の大幅な効率化がある。紙帳票の配送業務が軽減されると同時に、誤配送などのリスクがなくなった。前述したFAX送付等の問い合わせへの対応もなくなった。CDと紙とを併用して配送する複雑なフローもなくなり、シンプルで分かりやすくなった。

「コスト削減の効果に関しては、稼働後1年未満のため、これから算定にかかるところですが、郵送費、人件費、保管費などでコスト削減は確実にできていると思います。『ePromo』の月々の利用料と初期投資費用も含め、数年で回収できるのではないかと考えています」と、石井氏は語る。

取引先の理解と営業担当の努力で早期Web化を実現

以前、CDを導入した際には7割ほど普及するのに7年間かかった。しかし、「『ePromo』によるWeb配信は、わずか半年で8割に達しました」と、石井氏は振り返る。

もっとも、この数字が全て「ePromo」の操作性や配信スピードなどの機能や利便性だけで進んだものではないとも、石井氏は説明する。「第一に、お取引先様のご理解です。営業担当の努力によるところも大きいです。お取引先様には長い付き合いの方が多く、『君がそこまで言うならば…』と当社のお願いを快く引き受けていただいたケースもありました。また、パソコンをお持ちでないお取引先様のために、一緒に電気屋へ行ってパソコンを購入し、プロバイダとの契約を行ってインターネットを使えるようにして、更にメールの設定も手伝うという、手取り足取りの努力もありました。中には担当するお取引先様100%導入を達成している営業所もあります」と、石井氏は語る。石井氏自身も取引先の要求を確認するために、地方に出かけることがあるという。

今後の展望

コミュニケーション基盤として期待

サービス開始後、新システムは安定稼働している。「導入率から見ても『ePromo』の評判はいいということができるでしょう」と、石井氏は語りつつも「あくまで導入率100%がゴールです。ぜひ、全てのお取引先様に使っていただきたいと思います。十分に満足いただけるシステムであると信じています」と訴える。

更に、石井氏は「ePromo」のポテンシャルの高さを認める。例えば現在FAXで送っている各種情報配信のWeb化だ。「お取引先様は、特に現場ではFAXの利用が多い。しかし、せっかくパソコンと『ePromo』が入ったのですから、これを利用しない手はありません。既に準備を進めています」と抱負を語る。

この延長線上で、各種プロモーション情報の配信や取引先からの情報収集への活用も想定している。「ePromo」は出光興産と取引先を結ぶコミュニケーション基盤の位置づけとなるのである。「CTCには現在もいろいろ協力してもらい、本当にありがたく思っています。導入率100%達成のためにも、『ePromo』の発展のためにも、より利便性を高める新たな提案をお願いします」と、石井氏はCTCに期待する。業務を効率化する「ePromo」から、取引先のより高い満足と利益を生む「ePromo」へ。出光興産の構想は膨らんでいる。

用語解説

電子帳票
紙に印刷していた帳票を電子化し、パソコンで確認できるようにする仕組み。コスト削減、帳票保管場所の削減、セキュリティ向上、環境保護などのメリットがある。

帳票Web化
帳票を電子化するだけではなく、一斉にWeb配信する仕組み。配信のスピードアップ、コミュニケーション促進などの効果がある。

サービス紹介

ePromo

帳票生成・Web配信をクラウドで提供

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