コラム

Windows Server 2008 検証レポート

検証レポート Vol.19~ ターミナルサービスにふれる ~

更新

CTCの独自視点を織り交ぜたWindows Server のポイントを解説

著:クロスファンクショングループ ITエンジニアリング室 プラットフォーム推進部 杵島 正和 19-0326

これまでTSゲートウェイ、あるいはTS RemoteAppについて紹介してきたが、今回はその中核ともいえるターミナルサービスがWindows Server 2008になってどのように変わったのか、検証してみようと思う。

Windows Server 2008 ターミナルサービスの変更点

改めてターミナルサービスそのものの追加機能をふくめた全体像を整理すると、以下のようになる。

追加機能

  • ターミナルサービス RemoteApp(TS RemoteApp)
  • ターミナルサービスゲートウェイ(TS ゲートウェイ)
  • ターミナルサービスWebアクセス(TS Webアクセス)

また、ターミナルサーバ自体の機能強化点を整理すると、以下のようになる。

  • ターミナルサービスEasy Print(TS Easy Print)
  • シングルサインオン(SSO)
  • 32bitカラーのサポート
  • マルチモニターのサポート(2つまで)

追加機能に関する部分は、これまでのレポートである程度紹介してきたので省略する。また、ターミナルサービスそのものの機能強化に関して、シングルサインオン(SSO)についても前回のレポートで解説したので、これも省略する。さて、TS EasyPrint について概要を説明する。これまでのターミナルサービスでは、クライアントのプリンタに印刷するためには、ターミナルサービスが動作するサーバ上にプリンタドライバのインストールが必須となっていた。今回Windows Server 2008では、TS Easy Printと呼ばれる機能により、ターミナルサービスのサーバにプリンタドライバをインストールしなくても、クライアント側のドライバを利用して印刷が可能になった。ターミナルサービス上での印刷にあたっては、デフォルトではTS Easy Printが使用されるため、特別な設定は不要になっている。 また、性能面でもマルチモニターがサポートされ、さらに32Bitカラーもサポートされたため、ユーザーにとってはかなり使い勝手が向上している。

リモートデスクトップ接続クライアント(RDC)の対応状況

Windows Server 2008のターミナルサービスに接続するためのRDCの対応状況をまとめると、以下のようになる。

OS Windows XP SP2 Windows XP SP2 Windows Vista Windows Vista SP1
RDC 5.2 6.0(アップグレード) 6.0 6.1
RDC
接続
リモートデスクトップ
RemoteApp ×
TS Web
アクセス経由
リモートデスクトップ × × ×
RemoteApp × × ×
TS Easy Print × × ×
TS ゲートウェイ ×

この表を見ていただければわかると思うが、リモートデスクトップに接続するだけであれば、どのバージョンのRDCを使用してもかまわないが、Windows Server 2008の新機能を使用するためにはRDC 6.1が必要である。

Windows Server 2008 ターミナルサービスの変更点

すでにWindows Server 2003でターミナルサービスを導入している場合などにおいて、新たにWindows Server 2008のターミナルサービスを追加して、異なるバージョンのターミナルサービスを共存させることが可能かどうか調べてみたところ、管理者から見た場合に以下の2点の問題が存在する。

  • ユーザープロファイルターミナルサービスを使用する場合、ユーザーの利便性を考慮して移動ユーザープロファイルを使用しているケースが多いと思われる。Windows Server 2008のプロファイル構造は、Windows Server 2003と異なっており、互換性がない。したがって仮にユーザーがWindows Server 2003/2008のターミナルサービスに相互にログオン/ログオフを繰り返すようなケースになると、ユーザーのプロフィルフォルダには「ユーザー名」と「ユーザー名.V2」というフォルダが作成されてしまい、OSのバージョンごとに独立したデータをもってしまうことになる。この問題の解決策としては、ユーザーデータのみであれば、マイドキュメントフォルダなどは、フォルダリダイレクトの設定を使うことで異なるプロファイル間でデータの共有を行うことができる。ただし、あくまでもデータのみの話なので、壁紙などのデスクトップ設定および基本設定は移行されない。したがって、Windows Server 2003からWindows Server 2008への移行計画などを立てる場合には、必ずユーザープロファイルの移行方法にも注意を払う必要がある。
  • ターミナルサービスライセンス Windows Server 2008のターミナルサービスは、Windows Server 2008のTSライセンスが必須となる。既存環境で構築されているWindows Server 2003用のターミナルサービスライセンスでは、正しくライセンス管理を行うことができない。したがって、必ずWindows Server 2008でTSライセンスサービスを用意する必要がある(ただし、Windows Server 2008のTSライセンスでWindows Server 2003のライセンス管理を行うことは可能である)。

ターミナルサービス本体の機能も、地味ながら性能向上も図られており、今回追加された機能を含めて展開すると、さまざまな利用シーンをサポートできるようになって、より使える機能になったといえよう。 4月15~16日に行われるthe Microsoft Conference 2008に弊社も出展することになっており、Windows Server 2008の機能をふんだんに使ったデモを予定している。次回のコラムではMSCでの展示の概要を解説する。

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