イベント・レポート

「統合と仮想化で失敗しないために-今だから考える本当の投資効果」レポート

更新

「統合と仮想化で失敗しないために-今だから考える本当の投資効果」レポート

  • データベース
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
協賛
日本オラクル株式会社
2月18日、東京・霞ヶ関ビルの伊藤忠テクノソリューションズ本社で、「統合と仮想化で失敗しないために-今だから考える本当の投資効果」と題するセミナーが開催された。セミナーは仮想化によるサーバ統合が進む中で、統合を成功させ、投資効果を高めるためのポイントを明らかにするもので、4人の講師が講演した。講演では、ハードウェアの進化にもかかわらず、発生するボトルネックと新しい技術による解決方法、DBの高速化を検証するためのCTCの設備やサービスとその検証事例、ミドルウェア統合によるITリソース最適化手法などが語られた。

ハードウェアの進化にもかかわらず、発生するボトルネック

冒頭、挨拶に立った伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)ITエンジニアリング室長代行 金子 直裕は「CTCがオラクルの代理店になって、まもなく20年になります。この2月には同社の新認定制度『Specialization』において、国内初の『Oracle Exadata Specialization』に認定されました。今日のセミナーではその導入事例とシステムの統合、仮想化、高速化で、投資効果を高めるポイントについて、お話しします」と語りました。
伊藤忠テクノソリューションズ ITエンジニアリング室長代行 金子 直裕

伊藤忠テクノソリューションズ
ITエンジニアリング室長代行
金子 直裕

日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 熊谷 徹氏

日本オラクル
テクノロジー製品事業統括本部
熊谷 徹氏

その後、講演に入り、最初に日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 熊谷 徹氏が「本当のボトルネックはここにある」と題して、講演した。これからの企業システムはパブリック・クラウドを支える要素技術を利用して、トータールコストの低減、サービスレベルやセキュリティ、コンプライアンスの確保、システム連携の容易性などを実現したプライベート・クラウドに向かう必要がある。「そのためには、パフォーマンスボトルネックの解決によるサービス品質(QoS)向上、コストとQoSのトレードオフの解消によるライフサイクルコストの低減の2つがポイントになります」と熊谷氏は述べた。

現在、ストレージのI/Oボトルネックがバッチ処理高速化を妨げる大きな要因になっている。その解決には、ソフトウェアとハードウェアの融合による相乗効果の発揮が有効だ。そのひとつがNAND型SSD(Solid State Drive)の利用である。「オラクルのDatabase Smart Flash CashはSSDをデータベース・メモリ空間に見立てて使う技術です。これでメモリからあふれたデータを一時的にSSDに蓄積し、HDDからの読み込みを削減、I/Oボトルネックを解消します」(熊谷氏)。もうひとつがメモリーネットワークを最大限に活用する技術だ。これはメモリ上にDBのデータを全て展開し、同期処理を自動化、運用管理も一元化するもので、最小限の開発工数と期間でDBアプリケーションを高速化する。

一方、QoSとコストはトレードオフなので、シンプル化、高密度化、自動化に取り組まないと、コスト高になる。そこで、オラクルはオラクル用仮想化テンプレートをダウンロードできるようにして、導入作業の迅速化とコスト削減を可能にする。また、サーバリソースの共有によるリソース利用効率の向上や細やかなリソース拡張による投資対効果の向上などで、システムコストを最適化する。加えて、1台のサーバがダウンしてもサービスが止まらないように、仮想化技術とグリッド技術を併用する。これらを踏まえて、管理の効率性などを考えた場合、最も望ましいのはDB統合である。「実際にはDB統合は難しい面があるので、サーバ仮想化、OS統合、DB統合の中で、ライフサイクルコストを見据えてROIを検討し、目的に応じたサーバ統合手法を選ぶことが重要です」と熊谷氏は述べて講演を終えた。

DB高速化手法を実機検証、最適導入を実現するサービスを提供

伊藤忠テクノソリューションズ 渡邉 千里

伊藤忠テクノソリューションズ
渡邉 千里

次に、CTCの渡邉 千里が「CTCが高速化に注目する理由~システム投資をフル活用する方法~」と題して、講演を行った。DB高速化には様々な方法があるが、最適な技術を見極めるためには、実機検証で導入時のトラブル削減や導入後のサイジング指標などを明確にする必要がある。しかし、機材や人的リソースの不足、検証と実環境が異なるなどの問題がある。「CTCでは『Technical Solution Center(TSC)』のOracle Performance Labで、パフォーマンス診断、PoC(検証)実施、DB移行支援の各サービスを提供、これらの問題を解決、顧客企業のニーズに応えます」と渡邉は述べた。

ここでは検証事例として、次の3つを見ていく。1つ目がアプライアンス製品「Oracle Exadata(Oracle Exadata Database Machine)」を検証したレンタルビデオ大手ゲオである。検証の結果、すべてのアプリケーションで目標性能を達成、併合処理A(Merge文による単独SQL)ではアプリケーションの変更なしで、40倍以上の性能向上、集計処理B(業績管理)ではExadata V2で8時間を32分に短縮した。

2つ目が「Oracle Times Ten In-Memory DB/In-Memory DB Cache」を使った顧客企業の課題解決に必要な性能要件、費用対効果の検証である。実機検証を実施した結果、事前の開発・運用イメージが確認でき、スムーズな開発・構築の実施、サイジングによるムダのない投資が実現した。3つ目が「Oracle Coherence」で、ある大手流通業の注文サイトでの自由度の高いサイト提供ができる仕組みとアクセス集中への対処などに関して検証した。その結果、拡張の可能性を明らかにし、客単価アップの成果を上げることができた。CTCのOracle Performance Labでは「検証で、新しい製品の適用イメージを持てると共に、現実的なパフォーマンスの確認ができます。また、課題も洗い出せるので、実際に試して見ることをお勧めします」(渡邉)。

また、Labでは基礎検証にも取り組んでいる。DBのパフォーマンスネックには様々な要因があるが、ディスクI/Oが原因になることも多い。最近のSSDを利用したI/O高速化の検証では、ファイバチャネルDiskに構築したデータベースに比べて、7-15倍高速にOLTP処理を行うことができた。「その上で、CTCは移行サービスと独自の運用サポートサービスを提供、顧客企業のシステム導入を提案、検証、保守、運用まで、ワンストップでサポートします」と渡邉は述べて講演を終えた。

サーバ層とミドルウェア層双方の統合で、コスト削減を実現

伊藤忠テクノソリューションズ 山中 智裕

伊藤忠テクノソリューションズ
山中 智裕

最後に、CTCの山中 智裕が「ミドルウェア統合で実現するITリソースの最適化」と題して、講演した。現在、IT部門が管理するシステムは増加し、IT管理コストも増え続けている一方で、最新のCPUやディスクを搭載したシステムではCPUやディスクのリソースが余っている。そのため、ITインフラの統合で、リソースの有効活用が可能になり、コスト削減が期待できる。「ITインフラ統合にはサーバ仮想化とミドルウェア共通利用の2つの方法がありますが、それぞれに長短があります」と山中は述べた。両者はトレードオフの関係にあるため、それぞれのメリットと統合対象となるシステムの特性を踏まえ、採用方式を選択する必要がある。

これに対して、両者の良い部分を組み合わせたのがハイブリッドミドルウェア統合基盤であり、これによって、柔軟なITインフラの実現が可能だ。「CTCはITインフラ統合ソリューション『Pool Family』を提供していますが、その中でサーバ層とミドルウェア層でのシステム統合を行うのが『DB/AP Pool』です」(山中)。

AP/DB Poolは設計ポイントの網羅、事前検証済み構成、テンプレート完備という特長を持つ。そして、物理サーバを集約、ライセンスカウント対象要素を減らして、ライセンスコストを削減する。また、CPUやディスクなどハードウェアの余剰リソースを共有、ハードウェア・リソースの利用率を最適化して、ハードウェア利用コストを減らす。さらに、ハードウェアとミドルウェアの標準化と構成対象のシンプルかつ集約した管理で、運用コストを削減する。「実際に、AP Poolを導入した大手製造業A社では開発効率の向上を実現。またDB Poolを導入した電器関連製造業B社ではDB統合でコストを大幅に削減、自動車関連製造業C社では最小限の投資で異機種間のデータ連携が可能になりました」(山中)。

ITインフラの成熟ステージは物理集約、共通運用体制確立、自動化、さらなる効率化の3段階あり、そこでは次のステージを見据えたIT投資が求められる。「3段階目でミドルウェアの機能とサーバ仮想化技術を用いて、ITリソースをプール化することで、プライベート・クラウドが実現します。これによって、さらなるコスト削減と運用効率の向上が現実のものになります」と山中は述べて、講演を終えた。

資料お申し込み

当セミナーの資料をご希望の方は、お問い合わせフォームよりお申し込みください。

配布資料

  • 本当のボトルネックはここにある:日本オラクル株式会社
  • CTCが高速化に注目する理由:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
  • ミドルウェア統合で実現するITリソースの最適化:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

このイベントレポートに関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。