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DR/BCPを実現する実践的仮想化セミナー セミナーレポート

更新

仮想化を利用したDRを中心に、ネットワークやストレージに跨るBCP対策をご紹介しました

  • 仮想化
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
協賛
ヴイエムウェア株式会社
F5ネットワークスジャパン株式会社
2011年12月9日、秋葉原コンベンションホールで、伊藤忠テクノソリューションズ主催による「DR/BCPを実現する実践的仮想化セミナー」を開催しました。

仮想化技術の活用による災害対策

3月の東日本大震災後、企業における非常時の事業継続計画・災害対策の見直しが急務となっています。この課題に対し、現在、仮想化技術の活用による災害対策に注目が集まっています。
本セミナーでは、仮想化技術を活用したディザスタリカバリをキーワードに、ネットワークやストレージに対する様々なBCP対策をご紹介しました。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 インフラソリューション企画推進部  スーパーエンジニア 菅 博

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 インフラソリューション企画推進部
スーパーエンジニア
菅 博

本レポートでは、CTCインフラソリューション企画推進部 スーパーエンジニア 菅 博のセッションをご紹介します。

クラウド時代、今だからこそ知っておきたいBCP/DR

昨今、BCM、BCP、DRという用語が氾濫していますが、これらを整理すると以下の様になります。

■BCM(Business Continuity Management/事業継続管理)
不測の事態に企業が存続するための企業戦略。何を残して、何を諦めるのか。そのために、今・また有事に「人、物、金」をどのように配分するのかを決定する。

■BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)
BCMにおける決定事項の中で、事業の復旧と継続に関する手続きを示した計画書。PDCA のサイクルによって実現性の確度を高めていく必要がある。

■DR(Disaster Recovery/災害対策)
災害(地震、火災、疫病、etc…)の影響により障害を受けたシステムを復旧すること。事前の備え、手段、運用全般が含まれている。

現在、ITシステムと無縁という企業はほとんど無い、と言って過言ではありません。その為、“ITシステムの継続=企業活動の継続”と捉え、DRによって事前の備えを行うことが非常に肝要となります。
本セッションでは、BCPとDRについて実施のポイントや留意点を解説します。

BCP推進のポイント

BCPの有無で比較する災害発生後の復旧曲線

BCPに含めるべき内容として、「建屋・工場」、「人」、「IT設備・データ」の3つが挙げられます。
「建屋・工場」では、サービス・製造拠点の維持・確保、地域分散型によるリスク分散、新規敷設をする場合の想定災害規模、などを検討します。
「人」では、有事における責任者、指揮発動権者の明確化、一定数の労働者の確保方法、サービスの復旧・継続に必要な人材の現場への迅速な到着経路の確保、などを検討します。
「IT設備・データ」については、ハードウェアの代替品の調達、データ消失リスク(災害、ヒューマンエラー、装置のバグetc.)、データ消失時の最短の復旧措置方法、などの検討が必要です。
また、停電地区からの連絡方法を事前に決めておくことも非常に役立ちます。

災害を含む有事に事業継続を阻む要因には、電気、水、ガス、交通などインフラ機能の停止、製造業などにおける分業化による供給連鎖の切断、労働者の不足などがあります。BCPを導入し、事前の備えを行うことで、これらによって生じる被害を最小限に食い止め、通常(BCPを導入していない状況)に比べ、より早い復旧、より高い操業度を可能にします。そしてこの差が、後の企業の損益につながっていくのです。

DRを取り巻く環境の変化

これまでのDRは、利益を生み出さず、また使う可能性が低いのにコストは高い、という理由から企業の投資意欲が低い分野でした。
しかし、3月に起こった震災以降、必要性の機運が高まったこと、そして、昨今の技術の進展により、両系稼動、高可用、低コストでDRサイトの実現が可能になったことから、その位置付けに変化が生じつつあります。

これらを後押しする最大のキーワードが、“サーバの仮想化”です。これまでの物理環境下でのDRは、非常に煩雑な作業を伴いました。また、平時にはローカルサイトだけでサービスを行い、DRサイトは全く使用しないことから、二重投資によるコスト高が課題となっていました。
サーバを仮想化することで、コスト面での課題解決はもちろん、これまでの作業を飛躍的に単純化することが可能になります。

DRの単純化を実現するサーバ仮想化技術

サーバ仮想化技術でDR は大幅に単純化

物理システムのDR実装で最も問題になるのがOSです。OSは、パッチの適用など常に更新があり、それ自体不安定要素である上、あらゆるコンポーネントと密結合の関係にある為、実装の煩雑性の主な要因となっていました。

この課題を一掃してくれるのが、サーバ仮想化技術です。VMwareでは、OS、アプリケーション、App Dataを1つのファイルとしてパッケージ化し、仮想化します。この様にサーバを1つのファイルとして扱うことで、ローカルサイト側で行われた更新はストレージ機能で自動更新され、Hyper Visorを介しリモートサイトの異なるサーバで上でも問題なく稼動可能です。

また昨今では、EMC VPLEXの様な両系稼動ストレージ、VMware vCenter Site Recovery Manager(Server/App)やF5 GTM(DNS)の様な自動切換えシステムなど、サービスレベルを向上させる様々な製品群も加わり、ボタン1つで簡単にDRサイトへの切換えが可能になりました。

DR実装のポイントと留意点

DRの実装で考慮すべきポイントは、以下の5つです。

  1. DR方式 : データの遠隔複製を作成する方式をどうするのか。
  2. 実装方式 : どのレイヤにデータ複製の仕組みを実装するのか。
  3. 転送頻度 : どの程度の頻度でデータの同期を行う必要があるのか。
  4. DRサイトにおける世代(リテンション) : DR サイトのデータを世代管理するかどうか。
  5. DRサイトでの復旧の有無 : DR サイトでサービスを再開する必要があるかどうか。

サイトのサービスレベルと実装範囲

特に、5の「DRサイトでの復旧の有無」については、DRサイトで何をどこまでしたいか、という点についての検討が見落とされがちなので、事前にサービスレベルと実装範囲を決めておくことが重要です。

この様に、企業の意識改革、仮想化を含む様々な技術の進展によって、DRの位置付けも様変わりしつつあります。近い将来には、「利益を生み出さない、使わないDR」から、「利益を生み出し、使えるDR」になる時代がくると考えています。そして、更にその先には、ローカルとリモートという概念すら無くなる時代がくるのではないでしょうか。

セミナーの最終セッションでは、ITエンジニアリング室 プラットフォーム技術部 山中 智裕より、CTCが実施したVMware vCenter Site Recovery Managerを使った仮想化DRのPoC結果と、そのリファレンスアーキテクチャをご紹介しました。


CTCは、幅広い製品ラインナップで、BCP/ DRソリューションのご提案から構築、保守運用までを一元的サポートいたします。

本レポートでご紹介した製品またはソリューションに関するご質問や導入をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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