イベント・レポート

CTC Forum 2015 Tokyo ユーザー講演

グローバル展開を見据えた
Webデジタルマーケティング基盤の刷新

更新

マルチデバイス対応でWebコストの大幅削減へ

  • Web
  • 流通/運輸
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
花王株式会社
花王株式会社 デジタルマーケティングセンター 田中 剛氏

花王株式会社
デジタルマーケティングセンター
田中 剛氏

花王は現在、Web用のデジタル・アセット・マネジメント(DAM)およびコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)を刷新し、2020年の構築完了を目指してグローバルで活用可能なデジタルマーケティング基盤の構築に取り組んでいます。

具体的には、コンテンツ基盤となるDAMとCMSを「Adobe Experience Manager」(AEM)上に構築し直し、ブランドサイト制作方法の変更による訪問者ターゲティング機能の付与、DAM/CMS連携によるコンテンツ配信管理の実現、オーディエンスデータ統合とマルチチャネル広告管理の実現などを段階的に進めながら、最終的にはパーソナライズされたコミュニケーションを実現するというものです。なお、これらのシステムはすべて「Amazon Web Service」(AWS)上に構築します。

すでに第1フェーズとして、2014年10月下旬からDAM/CMSの導入を開始しており、DAMとCMSの連携、サイトテンプレートの開発、Adobe Analyticsによる分析・レポーティング、Dynamic Mediaによるマルチデバイス対応など、コンテンツ配信の基盤構築を2015年中に完了する予定です。

第1フェーズの運用開始に向けた道筋としては、新しいDAMを2015年内にローンチし、2016年第2四半期中に米国のDAMデータの移行も完了する予定です。また新CMSの「Web Contents Management」(WCM)については、まずテストケースとして、先ごろ化粧品ブランドSOFINAのレスポンシブデザイン・サイトをAEMのテンプレートから生成し公開しています。2016年第1四半期中にはWCMの運用ガイドラインをリリースし、正式にローンチする予定です。

花王はこれまで、2007年に「TeamSite」を採用したCMSを構築し、テンプレートを活用したコンテンツデータ(製品カタログ/製品Q&A)のDB化によるPC/携帯サイトの同時生成を実現、アジア圏を中心に海外展開も行いました。また2011年には、Web動画配信を自社サーバからすべてYouTubeへ移行し、DAMとの連携により、動画ファイルの公開期限管理も実現しました。2012年にはWebサーバとCMSサーバのすべてをAWSへ移行し、それまでホスティング契約更新時にかかっていたコストをなくすことに成功しました。

さらに2013年には、翻訳システムの「SDL WorldServer」を導入し、翻訳担当者と各国校閲担当者の翻訳業務のオンライン化を実現、11言語に対応したSENSAIサイトを公開し、そのスマホ対応も実現しています。

このように従来のCMSにおいても、スマホ対応自体は実現されていたのですが、その実装は複数の方法で行われており、サイトごとに挙動が異なるという問題がありました。新CMSでは、AEMのテンプレートによってコンテンツのすべてがあらかじめマルチデバイス対応で生成されますので、制作担当者はデバイスの違いをまったく意識する必要がなくなります。

今回、花王が基盤刷新に踏み切った最大の理由は、まさにこのマルチデバイス対応にあります。

Web環境にCMSを導入した当初は、Webを参照する人のほとんどがPCユーザーで、WebのデザインもPCを前提にしており、スマホ対応は変換ツールなどを使って最後に行っていました。このやり方ではサイト設計とコーディングに膨大なコストがかかってしまいます。社内で試算したところ、そのコストはWebコスト全体の30%近くに上ることがわかっています。AEMのテンプレートを使えば、そのコストはなくなり、大幅なコスト削減を実現できます。またサイト設計が必要なくなれば、グローバル化にも容易に対応できるようになるのです。

DAM/CMS基盤の刷新によるマルチデバイス対応で、Webシステムの大幅なコスト削減とグローバル展開を実現

DAM/CMS基盤の刷新によるマルチデバイス対応で、Webシステムの大幅なコスト削減とグローバル展開を実現

他講演レポート

2015年10月16日開催「CTC Forum 2015 Tokyo」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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