イベント・レポート

CTC Forum 2015 Tokyo ユーザー講演

「既成概念にとらわれないサービス展開」
ANAの目指すCustomer Experience

更新

システム拡張性を高め、イレギュラー運航対応を柔軟かつ迅速に

  • ERP
  • 流通/運輸
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
全日本空輸株式会社
全日本空輸株式会社 業務プロセス改革室 ITサービス推進部国内旅客チームリーダー 金子 肇氏

全日本空輸株式会社
業務プロセス改革室 ITサービス推進部国内旅客チームリーダー
金子 肇氏

ANAは、お客様に提供するサービスレベルの向上を常に考えて実践してきおり、おかげさまで3年連続で世界最高評価「5STAR」を受賞しています。

しかし競争は年々激しさを増すばかりであり、特にLCC(格安航空会社)の伸長は大きな脅威となっています。現在、ビジネス層を中心に40代以上のお客様の多くはわれわれのようなフルサービスキャリアを利用されていますが、若年層のお客様ではLCCの利用が広がっており、これらの方々が年齢を重ねていったとき、シェアがどのように変化していくのか予断を許さない状況です。

そうした将来状況を考えたとき、われわれフルサービスキャリアに何ができるのか。マイレージによる囲い込み、価格競争などには限界があります。従来の施策だけでお客様を引きつけ続けることは難しいです。やはり既成概念にとらわれない新たな武器が必要だと考えました。

つまり、あらゆる顧客接点でお客様のニーズを拾い上げ、お客様に提供する付加価値を向上させる仕組みを構築しなければならないと考えたのです。

そこでANAはお客様のニーズを改めて調査し、そのなかから「天候悪化時など緊急時の発着関連情報を素早く手に入れたい」というご要望に着目しました。こうしたご要望はビジネス層だけでなく、ANAを利用いただくすべてのお客様にとっても、重要度の高いものであることに改めて気づきました。

もちろん、運航情報はこれまでもWebサイトで発信していました。しかし台風接近などの天候不良時には短時間にアクセスが集中し、情報閲覧に支障が出るケースもありました。 「台風は来ているけど予定通り自分が乗る便は飛ぶのか」「到着地に変更が出るのではないか」といった不安をできるだけ速やかに解消するにはどうすればいいのか。フルサービスキャリアとして、出発前から到着後までのお客様の利便性を向上させるのは重要な責務であり、ANAはお客様のExperienceの充実策の一環として、イレギュラー時の対応改善を決断しました。

実際、Webサイトのアクセスが通常の何倍にも跳ね上がることは年に数回です。しかし、たとえ数回であっても、しっかりと対応できるシステムを作り上げるようにという経営層からの指示もあり、担当チームはこれまでシステム面での協力を頂戴しているCTCとともに、改善作業に取り組みました。

そして、運航情報をインメモリデータベースから読み出す仕組みを構築し、アクセス集中時にも閲覧に支障が出ないだけでなく、将来的な拡張性も備えたサイトへと刷新を行いました。

また、併せてメールシステムにも拡張性を加え、メールアドレスをお知らせいただいているお客様には、天候不良時において適切な情報を素早くメールでお知らせできる仕組みを新たに構築しました。これにより、欠航の情報だけでなく、手続き変更などの情報を個々のお客様の状況に合わせて提供できるようになりました。

これらの改善には、オラクル社のミドルウェアなどを活用していますが、こうした製品選定やインテグレーションにもCTCは大いに貢献してくれました。

今回の改善では、お客様自身が情報を求める際のプル型サービス、そしてANAからお客様に情報提供するプッシュ型サービスの両方を充実させることができました。お客様からも「とても役に立った」「状況が見えない不安な時間が減少した」という、ご評価の声をいただいています。

ANAとしては今回の改善に満足することなく、これからもシステムの柔軟性を高め、既成概念にとらわれないサービスを提供していきたいと考えています。

フルサービスキャリアとして、あらゆる顧客接点でニーズを拾い上げ、付加価値を向上させる仕組みを構築

フルサービスキャリアとして、あらゆる顧客接点でニーズを拾い上げ、付加価値を向上させる仕組みを構築

他講演レポート

2015年10月16日開催「CTC Forum 2015 Tokyo」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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