イベント・レポート

CTC Forum 2015 Tokyo ユーザー講演

グルーピング開発による部品の“賢い共有化”
原価低減を目指す「クルマづくりの構造改革」

更新

「もっといいクルマづくり」を支えるTNGAへの取り組み

  • 製造
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社 車両品質生技部 部長 石田 雅資氏

トヨタ自動車株式会社
車両品質生技部 部長
石田 雅資氏

トヨタにおける「もっといいクルマづくり」の取り組みの柱である「Toyota New Global Architecture」(TNGA)は、走る・曲がる・止まるに関わる基本性能の大幅な向上、質感・装備の充実による商品力向上に向け、グルーピング開発での部品・ユニットの“賢い共有化”による種類の削減で、仕入先様と協力した原価低減を目指す「クルマづくりの構造改革」と言えるものです。

そして、ここでの目標は、軽量・コンパクトで低重心の安価な新パワートレーンシステムの開発で燃費・動力性能・運転の楽しさを大幅に向上させること、さらに新サスペンション・新骨格ボディのプラットフォーム刷新により、気持ちの良いハンドリング、質感の高い乗り心地、クラストップレベルの安全・安心を実現した“かっこいいクルマ”の基本性能および商品力の向上などとなります。

一方で、トヨタは現在、個別車種が約100種類、エンジン型式も数100種類多くの車種・ユニットを抱えています。もっといいクルマづくりを継続するためには、お客様の嗜好に合わせた個性溢れるクルマづくりを実現する地域最適化・差別化を行うと同時に、基本部分はプラットフォームのカバレッジカバーレンジを大括りにグルーピング化して、着座姿勢の高さごとの最適なドライビングポジションに応じた各車種セグメントと、それを跨ぐ部品の“賢い共有化”による全体最適といった切り分けが重要になっています。

そのTNGAを導入した第一弾が新型プリウスです。燃費だけではなく低重心でドライビングの楽しさも味わえるパッケージになっており、2020年頃までには約半数の販売車へTNGAが順次展開していく予定です。

トヨタは国内で12工場・子会社2社・グループ会社2社の生産拠点を抱え、海外では28カ国/地域に53の生産事業体を展開しており、東南アジアや中国などの新興国を中心に海外生産比率が拡大しています。そうした状況でもトヨタが国内生産300万台を維持する理由は、新技術・新工法・生産技術の維持は国内で育てた上で海外に展開するという基本方針と、技術・技能の伝承や人材育成といった日本でしかできないものづくりを守るためです。

TPS(トヨタ生産方式)の基本である、「変種変量・一個流し生産」を追求した結果していく上で、車両構造の影響を受けやすい工程違いが課題となっていました。そこで「同一構造」「同一工程」「同一工順」にこだわり、競争力のある工程を作り込むとともに、サプライ部品ひとつの造り方でもグローバルに展開するTNGA部品のグローバル・リピート調達戦略を展開し、今後10年間、世界で戦える確かな車両品質の実現に向けた画期的な効率化を目指しています。

具体的には、プラットフォームをまたいだ構造共有化・相似化と、コクピット/エンジンルームレイアウト/ドライビングポジション/搬送基準などの構造・配置の徹底した共通化・相似化ですが、クーリングモジュールを一体搭載にしたところ、やりにくい作業が改善し、エンジンルーム内のスペースがも効率化したという事例もあります。

また、従来は地域ごとに型・設備を調達して造り込みをそれぞれ実施していましたが、現在はTNGA部品のグローバル・リピート戦略を実行することで、タイムリーに部品品質を確保していきます。さらにCO2排出規制強化への対応や衝突安全規制の強化など、環境・安全規制への対応を行うと同時に、鉄の徹底した使い切り、軽量材料の使いこなしに挑戦しています。

今後もトヨタは、もっといいクルマづくりに向け、TNGAの徹底した共通化を生かした車両品質の実現をグローバル規模で展開しながら、お客様のニーズを捉えた新技術提案を実行していきます。

人を安全・安心に運び、心まで動かし、世界中の生活や社会を豊かにすることがトヨタの願い

人を安全・安心に運び、心まで動かし、世界中の生活や社会を豊かにすることがトヨタの願い

他講演レポート

2015年10月16日開催「CTC Forum 2015 Tokyo」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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