イベント・レポート

CTC Forum 2015 Tokyo ユーザー講演

顧客から製造現場までを結ぶ
次世代ものづくり技術による空間創造

更新

注文に応じパラメトリック形状のCGイメージを自動生成

  • PLM
  • 製造
開催日
主催
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
講演
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 技術本部 R&D企画室 開発プロセス革新部 部長 中谷 光男氏

パナソニック株式会社
エコソリューションズ社 技術本部 R&D企画室 開発プロセス革新部 部長
中谷 光男氏

パナソニックグループのエコソリューションズ(ES)社は、ライティング、エナジーシステム、ハウジングシステム、エコシステムズの4領域の住空関連事業を手がけています。

私は以前、3次元CADでシェーバーの設計をしていましたが、住宅部材とシェーバーは売り方がまったく異なる商材で、シェーバーなら同じ商品を使っている人がすぐ見つかるのに対し、システムキッチンではどの顧客もまったく同じということはありません。品番はキャビネットで6万、部材では90万にも及び、それらを組み合わせて一つのキッチンを作るからです。この無数の組み合わせが存在する商品の正確なイメージを、全国の顧客、そして10万にものぼる工務店に、きちんと伝えられているのかという点が課題となっていました。

商材の違いは、シェーバーなどが「複雑形状」かつ「作り込み型」であるのに対し、キッチンなどは「単純形状」かつ「パラメトリック型」とも言えます。パラメトリック型とは、パラメータにより構成や組み合わせが無数に考えられるもので、われわれはこのパラメトリック型の開発効率化に取り組みました。目指したのは、管理を3次元化し、パラメータで変化させられるモデルで商品を管理すること。商品選定情報をPDM(製品データマネジメント)システムへ入力すれば、そのパラメータをもとに2D図面やCGデータ、製造用データを出力できるようにするのです。

新たなPDMシステムに採用したのは「TeamCenter」で、普通1年がかりで導入するものを3カ月で導入しました。導入よりも導入後のフォローが大事だと考え、初回の導入と同時に次期機能アップに着手したり、月1回ペースでQ&A活動を実施したりしています。

CADツールには、商品グループごとに「SolidWorksSOLIDWORKS」「NX」「SolidMX」と異なるツールを利用しており、TeamCenterTeamcenterでマルチCAD対応を実現させました。このうちSOLIDWORKSSolidWorksとTeamcenterの組み合わせは世界的にみても珍しいケースと言われます。SOLIDWORKSSolidWorksは曲線に弱いと言われるものの、扱う商材の特性からわれわれにちょうど良いツールで、TCIS(Teamcenter Integration for SolidworksSOLIDWORKS)を用い、Teamcenterと密連携して運用できる環境を構築しました。Teamcenterで商品設計情報を3Dモデルと寸法パラメータ、材質などの属性情報に分類して管理し、SOLIDWORKSSolidworksから商品マスターモデルを登録します。こうして注文がEDIで入ってくると、マスターモデルをEDIデータの仕様情報や寸法情報をもとに可変させ、生産指示書と部品表を自動作成する仕組みが完成しました。

システムを構築する上で心がけているのは「できるだけ改造しないこと」「メーカーが作ったものを信じること」「充分なパフォーマンスを持っていること」「そのなかの基本部分を使うこと」、そして最も重要なのが「運用が合わなければ、まず自分の運用を疑うこと」です。CADやPDMといった多くのユーザーが使っている製品については、その使い方を疑うより思い切って使ってみた方が良いと思うのです。従来のやり方に改造すると進歩できません。

自動生成の仕組みは、サイト上で現在公開している「i-HOW'S PLAN」にも活用されています。このサービスではプランを選択して、さまざまな要素を選んでいくと見積もりや発注が可能となっており、見積もり作成の際にはイメージCGの作成もできます。このイメージは裏で25台のCGレンダリングマシンを走らせて自動で出力しているもので、経済産業省の「ものづくり白書2015」にも掲載され、「日本版インダストリー4.0」との評価をいただきました。実際に近いイメージで商品を伝えることができるようになりつつあります。

システム構築でもっとも心がけているのは「システムに運用が合わなければ、まず自分の運用を疑うこと」

システム構築でもっとも心がけているのは「システムに運用が合わなければ、まず自分の運用を疑うこと」

他講演レポート

2015年10月16日開催「CTC Forum 2015 Tokyo」の他講演レポートは、下記のリンクからご覧ください。

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