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GMOが取り組む生成AI時代のクラウド基盤変革| CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

本稿では、同サービスの拡張計画の骨子を、2025年10月に開催のCTCの年次イベント「CTC DISCOVER 2025」におけるGMOインターネットの講演「生成AI時代に向けたBlackwell GPU基盤導入計画 ~GMOの取り組み~」の内容をもとにレポートします。
AIのマルチノード学習基盤としてGPUクラウドを始動
GMOインターネットは、インターネットインフラ、インターネット広告・メディア事業を展開する総合インターネット企業です。
近年ではクラウドサービス事業にも力を注ぎ、2024年11月には100億円規模の投資を行い、高性能GPUクラウドサービスGMO GPUクラウドを立ち上げています。
同サービスを立ち上げた経緯について、GMOインターネットシステム本部 IaaSチームのインフラエンジニア、木村 洸太氏は「生成AIをはじめとするAIの急速な発展と普及に伴い、GPUの需要が高まり、GPUをベースにしたマルチノード学習基盤を提供する必要性が増大しています。GMO GPUクラウドはそのニーズに対応する一手として立ち上げました」

GMOインターネット株式会社
システム本部 IaaSチーム
インフラエンジニア
木村 洸太 氏
GPUクラウド市場への参入としては後発となるため、他社サービスとの差別化を図るべく、既存ユーザーへのヒアリングを実施しました。
木村氏は「お客様の声を聞く中で、『GPUスペックの高性能化』『調達・構築の負担軽減』『運用人材不足への対応』という3点が、差別化の鍵であることが見えてきました。そこで、我々はこれら3点を実現するサービス設計に取り組んだのです」と語ります。
NVIDIA推奨構成で性能を最大化しSlurm採用で運用負荷を低減
GMO GPUクラウドの大きな特長は、NVIDIA社推奨のハードウェア構成(リファレンスアーキテクチャ)に基づいて、クラスターを構成している点にあります。GMO GPUクラウドサービス開始時点で最新の「NVIDIA H200 Tensor コア GPU(以下、H200)」、ネットワークには世界初のAI向けEthernetネットワークプラットフォームであり、NVIDIA推奨構成の「Spectrum-X」を採用しています。また、ストレージにはNVIDIA製品との親和性が高いDDN社の分散高速ストレージを導入し、高速な学習環境を実現しています。
加えて、これらの製品を使った基盤構築に際しては、NVIDIA専属の構築エキスパートチーム「NVIS」の支援も受けています。これにより、世界のスーパーコンピュータランキングTOP500で「世界37位・国内6位」を達成し、国内商用向けクラウドサービスとして国内1位の性能を実現するに至っています。
ソフトウェア面では、オープンソースソフトウェア(OSS)のジョブスケジューラーである「Slurm」を採用。複数のGPUノードに対してジョブの投入・管理を効率的に行える環境を整えています。

図1. GMO GPUクラウドの概要
資料:GMOインターネット
木村氏は「Slurmは、指定されたリソース量に応じて、ジョブを最適なGPUノードへ自動的に割り当てます。ノードが使用中の場合は自動的にキューイングされるため、お客様は空きノードを手動で探す必要がありません。ジョブを投入するだけで、システムが自動的に最適なリソースを割り当て、処理を実行します。」と説明を加えます。

図2. GMO GPUクラウドにおけるサービス活用フローのイメージ
資料:GMOインターネット
GMO GPUクラウドは、運用体制も充実しています。例えば、徹底した監視体制が敷かれているほか、GPU障害時には状況に応じて柔軟な対応しています。それゆえに、ユーザーは余剰のノードを確保する必要がなくなり、コストを必要最小限に抑えることが可能になります。
さらに、GMOインターネットでは、初めてSlurmを使用するユーザーに向けて、GitHub上でチュートリアルコンテンツを提供したり、YouTube経由でハンズオン動画を公開したりと、Slurm利用のハードルを引き下げる取り組みも展開しています。
顧客の声を反映した機能拡張を精力的に推進
GMO GPUクラウドは立ち上げ後の1年間において、ユーザーからのフィードバックにもとづいた機能拡張を積極的に行ってきました。
主たる機能拡張の1つは、GMO GPUクラウドとユーザーの社内システムとの連携を実現する専用線オプションの追加です。この機能拡張により、社内のGitHubリポジトリやコンテナレジストリなど、外部非公開リソースをクラスター上で効率的に利用することが可能になっています。
さらに、ジョブの実行状況やノードの状態をリアルタイムに可視化できるダッシュボード機能も追加しています。この機能を使うことで、GPUリソースの使用状況をつぶさにとらえ、リソースの最適化につなげることが可能になります。
こうした機能拡張の結果として、GMO GPUクラウドはAIのスタートアップ企業や研究機関をはじめとする、さまざまな組織での採用が進み、なかでもモデル開発用途での利用が拡大しています。
Blackwell Ultra導入で学習・推論の両面を強化
GMO GPUクラウドでは、機能の拡充が進む一方で、新たな課題も浮上してきています。課題の1つは、H200のみのGPUリソースのラインナップでは、多様化する顧客の要件に十分に対応するのが難しい点です。
木村氏は「最適なGPUが何かは、お客様の利用シーンや要件によって変わります。また、AIがハイペースで進化・普及するなかでは、H200を超える性能をもったGPUへのニーズが必ず高まると見ています」と指摘します。
こうした予想から、同社では「NVIDIA Blackwell Ultra GPU」を搭載した「NVIDIA HGX B300」(以下、B300)を調達し、GPUノードの新たなラインナップとして追加する計画です。(本サービスは2025年12月16日に国内最速提供を実現)木村氏はBlackwell Ultra GPUの採用によって期待できる効果について次のように述べています。
「Blackwell Ultra GPUは、大規模言語モデル(LLM)における『リーズニングモデル』やAIエージェントなど、大きなコンピューティングパワーを必要とする用途を想定して設計されています。その活用により、長文コンテキストの処理能力が向上し、AIエージェントやコード生成モデルといった大量のトークンを処理する用途に適しています。」推論・学習の両面において、GPU使用数の削減や処理時間の短縮により、コストパフォーマンスの向上が期待できます。
実際、B300はH200と比較して、GPUメモリとメモリ帯域幅が約2倍に拡大しています。さらに、FP4への対応による推論効率の向上に加え、インターコネクト帯域の倍増によりマルチノード学習時のボトルネックの解消も期待されます
さらに重要なポイントとして、GMO GPUクラウドではB300はベアメタル形式で提供されます。この施策により、GMO GPUクラウドにおける学習・推論の両面でのサービス強化が実現され、顧客ニーズに合わせたサービスのご提供が可能となりました。
木村氏は「ベアメタル形式でのB300の提供によって、学習はSlurm環境で行い、推論はB300のベアメタル環境で行うなど、ワークロードごとに最適な実行環境をGMO GPUクラウド内で提供することが可能になります」と明かし、こうも続けます。
「例えば、Slurm環境で学習を行い、それによって構築したモデルを、共有ストレージを介してベアメタル側に転送して処理させたり、学習したモデルを推論サービスとして使ったりといった運用が、GMO GPUクラウドの環境内で完結できるようになります。また、すでに自社でGPUクラスターを保有している企業が、B300をコンピューティングノードとして追加するといった使い方も可能です」

図3. モデル学習・推論を一元的に実行
資料:GMOインターネット
将来的にはB300もSlurm対応を予定しており、H200もベアメタル提供を開始する計画であるといいます。これにより、ユーザーがGPUタイプとその提供形態を自由に選択できる環境を整える構えです。
ユーザーの選択肢を広げるGPUへの投資を今後も推進
木村氏は今後の展望として、最新GPUを継続的に導入し、それを通じてユーザーによる課題解決をバックアップし続けるとしています。
この点について同氏は「生成AI技術の進化に伴い、ハードウェアも急速に進化しています。毎年発売される最新GPUに追従するには、データセンターの水冷化やネットワーク機器のアップデートなど、多大な投資と労力が必要です。さらに、ビジネスの成長に応じた柔軟なリソース調整も大きな課題となっています。
当社は『国内のAI開発を加速させる』という使命のもと、こうした課題を解決すべく、最新GPUを積極的に導入し、お客様がAI開発に集中できる環境を提供してまいります。」との考えを示します。
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