CTCロゴ
トップ

/

記事

/

「TriValue×CTC×量子コンピューティング」により 物流課題を解決する超高速システムを実現|CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

高度AI

公開日:2025.12.08

「TriValue×CTC×量子コンピューティング」により 物流課題を解決する超高速システムを実現|CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

    「TriValue×CTC×量子コンピューティング」により 物流課題を解決する超高速システムを実現|CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

    この記事をシェア

    TAKADAグループの一員として、インテリア系大型商材(大型家具)の配送サービスを全国展開するTriValue株式会社(以下、TriValue)。同社では、物流業界の課題解決に向けて量子コンピューティングと数理最適化の技術を活用した配送ルートの高速最適化ソリューション「OptyLiner(オプティライナー)」をCTC、ならびに株式会社エー・スター・クォンタムと共同で開発しました。

    OptyLinerが物流業界にもたらすインパクトについて、2025年10月に催されたCTCの年次イベント「CTC DISCOVER 2025」におけるTriValueの講演「自動配車OptyLinerで最難関家具の共同配送を実現する」の内容をベースに紹介します。

    家具配送の共同プラットフォームにより物流業界の課題解決に挑む

    TriValueは、TAKADAグループを形成する1社として2020年に設立された企業です。TAKADAグループは、システムの構築から商材の配送、廃棄物処理に至るまで物流に関するあらゆることをワンストップで提供しています。

    同グループでは、商材の生産から販売、配送までの「動脈」と、商材の引き取り、修理、リサイクルまでの「静脈」の双方で事業を展開しており、動脈部分では実物流を担当し、静脈部分では収集運搬、中間処理、家具の修理、再販売などを手がけています。

    そうしたグループにあって、TriValueでは、動脈・静脈のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するプラットフォームの構築・提供を担っています。このうち、動脈のDXに向けては「荷主」「消費者」「物流事業者」の“三方よし”を実現するIT物流プラットフォームを提供しています。

    TriValue(トライバリュー)が構築する、動脈物流(IT物流プラットフォーム)と静脈物流(資源循環プラットフォーム)の生態系を示す図

    図1. TriValueのミッション
    資料:TriValue

    このIT物流プラットフォームを通じて同社では、家具メーカーや家具小売店を顧客としながら、宅内設置を含む配送サービスやコントラクト契約(法人荷主からの一括輸配送契約)、幹線輸送などのサービスを提供しています。その大きな特長は、配送サービスの全国展開をTAKADAグループ内で完結させず、各エリアの物流事業者との共同配送を実現している点にあります。この方針のもと、2025年10月時点において全国47都道府県で57センター、5デポ(小型の物流拠点)を物流の全国ネットワークとして構築・運営しています。

    同社の代表取締役である髙田 輝成氏は「三方よしの実現には、お客様(荷主・消費者)に向けて良質なサービスを提供するだけでなく、パートナーである物流事業者の方々にとって真に役立つシステムを提供しなければなりません」と指摘します。

    講演の様子(髙田 輝成 氏 )

    TriValue株式会社
    代表取締役
    髙田 輝成 氏

    この考え方に則り、同社がCTC、ならびにエー・スター・クォンタムと共同で開発し、2025年6月から提供を開始したのが配送ルートの最適化ソリューションOptyLinerです。

    その開発は、システム構築やAI技術に関するCTCの知見・スキルと、エー・スター・クォンタムが有する量子コンピューティング、ならびに数理最適化の技術、そしてTriValueが持つ物流業務の知見を融合させたかたちで進められ、TriValue主導で実データを使った物流現場での実証実験が重ねられました。結果として、配送ルート最適化の超高速処理と実用性を兼ね備えたソリューションが完成しています。

    配送ルート最適化ソリューションOptyLinerの開発体制。TriValueが実証実験と知見、CTCがアプリケーション開発と業務知見、エー・スター・クォンタムが数理最適化と量子コンピューティングの技術を提供する図。

    図2. OptyLinerの開発体制イメージ
    資料:TriValue

    物流業界が直面する深刻な課題の解決に向けて

    周知のとおり、物流業界はいま、労働時間の制限や慢性的な人材不足、環境問題(CO2削減、廃棄物削減)への対応など、数々の深刻な課題と対峙しています。加えて、TriValueが主として扱うインテリア系大型商材(大型家具)の領域では、販売チャネルのEC化が進行し、物流に対するニーズが増大する傾向にあります。

    OptyLinerは、こうした課題を解決する一手として「配送効率の向上」や「配車計画の属人化解消」「配車係の統合による経費削減」といった価値を提供する仕組みです。CTCデジタルサービス企画推進部の渡邉 健一郎は、そうしたOptyLinerの特長として以下の3点を挙げています。

    ①圧倒的な処理速度と操作性:量子コンピューティングと数理最適化という先端技術を活用し、国内最高レベルの処理性能を発揮する一方で、GUIによる直感的な操作で簡単に扱える。

    配送ルート最適化ソリューションOptyLinerのGUI画面イメージ。地図上のルートと、車両ごとの配送計画がガントチャート形式で表示されている。

    図3. TriValue の GUI イメージ
    資料:CTC

    ②家具配送特有の制約条件への対応力:商品サイズ、宅内作業時間、配送陣容、ドライバースキルなど、複雑な条件をパラメータとして取り込むことを可能とする。

    ③他業界への拡張性:パラメータを拡張していくことで、家具業界のみならず、建材・家電など広範な業界の物流プロセスにも対応できる。

    OptyLinerの概要図。超高速での計算結果出力、直感的なインターフェース、柔軟なパラメータ設定という3つの特長を説明している。

    図4. OptyLinerの概要
    資料:TriValue

    講演の様子(渡邉 健一郎)

    伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
    デジタルサービス企画推進部
    シニアスペシャリスト
    渡邉 健一郎

    上記の特長を実現できた背景には、CTCが数理最適化や量子コンピューティングの技術を実装する過程で、物流現場の声を最大限に反映させたことがあります。

    渡邉は「配送ルートの最適化処理がいくら高速であっても、物流現場の担当者が扱いに窮するようなシステムでは価値はありません。その点でOptyLinerは、配車の経験が浅いか、深いかによらず、ドラッグ&ドロップ操作で誰でも簡単に、かつ直感的に扱うことができます。この操作性は、TriValueとCTCが物流現場の声に基づいてシステムを設計し、開発したことによる成果といえます」と説明します。

    複雑な条件が絡み合う家具配送の最適な配車計画を実現

    家具の配送は配送業務の中でも特に複雑性が高いものです。というのも、家具はソファやベッド、ダイニングセットなどと商品のバリエーションが多いうえに、配送先に商材を届けて宅内に設置するまでに、どのような作業が発生するかも見えづらく、宅内作業時間を見積もるのが難しいからです。

    また、配送陣容(人員構成)やドライバースキル、メーカー認定制度、気象など、配車計画を立てるうえで考慮すべき条件は多岐にわたります。

    渡邉は「配送ルートを最適化すれば、それで配送の準備が完了するわけではありません。例えば、酷暑の中で数十件も配送するような計画は、とても現実的とはいえないでしょう。つまり、配車計画を立てるうえでは、配送ルートの最適化と現実的な運用とのバランスを適切にとることが求められるわけです」と説明します。

    OptyLinerでは、このように多数の条件が複雑に絡み合う家具配送に対応すべく、物流現場の知見・経験をデータ化し、OptyLinerの配送パラメータと組み合わせることで最適な配車計画のスピーディなプランニングを可能にしています。

    また、渡邉によれば、OptyLinerは「現場での活用の定着」という、システム導入を巡る最大の障壁を乗り越えるうえでも有効であるといいます。この点に関して、渡邉は次のような説明を加えます。

    「物流現場では、多くの場合、配車計画を紙ベースで組んでいます。そのやり方に慣れている担当者にとって、作業の土台がIT環境に切り替わるのは大きなハードルです。ゆえに、配送ルートの最適化処理に数十分の待ち時間が発生したり、操作の難度が高かったり、現場勘を生かした柔軟な条件(パラメータ)設定が行えないようなシステムでは『手で組んだほう早い』という判断になり、利用は定着しません。だからこそ、OptyLinerでは『超高速での計算結果出力』『直感的なGUI』『柔軟なパラメータ設定』の3点を実現することにこだわったといえます。言い換えれば、OptyLinerの特長は、現場での利用を定着させるうえで不可欠な要素でもあるのです」

    OptyLinerはすでに物流事業者での利用が進みつつあり、かなりの効果をもたらしています。例えば、ある物流センターでは「配送車両走行距離・移動時間の約15%削減」「必要車両の1台削減」を実現したほか「配車計画に要する時間を従来の約2時間から約50分(うち15分は伝票印刷)に短縮」しています。また、実配送92件のうち87%が予想到着時間の前後30分以内に作業を完了させているといいます。

    実績データの活用により配送リソースの最適化を目指す

    OptyLinerは配車計画の立案に特化していますが、今後は外部システムとのデータ連携を通じて、計画以外の業務領域へとソリューションの幅を広げていく計画です。

    その取り組みの一環として、すでにOptyLinerパートナーである都築電気社の配送・運行管理サービス「TCloud for SCM」とOptyLinerとのデータ連携が実現されており、これにより配車計画と実績との管理が効率化されています。また、外部システムから取り込んだ実績データを、ドライバーの評価につなげることも計画しています。

    渡邉は「ドライバーの方々の実績をしっかりと評価し、やりがいを向上させ、報酬をアップさせていかなければ人材不足の問題は解決しません。ですので、配車計画とドライバーの動態管理を突き合わせる中で『なぜ、計画とは異なるルートを選択したのか』『なぜ、計画よりも遅れているのか』を追及するのではなく、計画どおりに配送を完了させた実績やお客様からの評価をしっかりと可視化し、ドライバーの待遇改善につなげていきたいと考えています」と明かします。

    さらに、受発注を管理する基幹システムとTriValueとのデータ連携も構想しています。この構想について、渡邉は「基幹システムの受注データをリアルタイムにOptyLinerにつなげれば、配送の数日前に必要な車両台数を把握できるようになります。このとき、配送の人員が足りなそうなら、社外から人的リソースを調達し、人員が余りそうならばシフトを調整するなど、最適な人員の配置が余裕をもって行えるようになるはずです」と指摘し、そのうえで今後に関して次のように抱負を述べています。

    「TriValueではこれからも、物流事業者の課題解決に資するIT物流プラットフォームを、OptyLinerを軸にしながら強化していきます。その取り組みを通じ、配送の最適化や効率化を実現するのと併せて、ドライバーの方々のやりがいや満足度を引き上げ、人材不足の課題解決につなげていければと願っています」

    当サイトに掲載されている情報(記事、資料、動画、テンプレート等)については、その正確性および妥当性の確保に努めておりますが、ご利用に際しては、利用者ご自身の責任においてご判断ください。なお、個別の事情に応じては、専門家へのご相談を含め、適切な対応をご検討いただくことを推奨いたします。

    この記事をシェア

    執筆者情報

    Key Technology(Keys)編集部

    Key Technology (Keys)編集部は、CTCが注力する「高度AI」「データ&アナリティクス」「クラウドネイティブ」「セキュリティ」を中心とした最先端テクノロジーの情報発信を担う編集チームです。技術動向や活用事例、サービス情報をわかりやすく届け、ビジネス変革に挑む企業の意思決定や実行をサポートします。

    Documents

    お役立ち資料

    View All