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デジタル活用で成果を上げられない理由│CTCの実態調査に見るデジタルトランスフォーメーション(DX)の阻害要因


1. デジタル活用を巡る二極化の進行
今回のCTCの調査レポートでは、回答企業の71.5%が「デジタル活用で成果を実感している」と答え、59.5%が「今後3年以内に投資(デジタル投資)を増加させる見込みである」としています(図1)。この結果から、大手企業のデジタル活用が着実に前進しつつあることがわかります。

図1:デジタル活用に対する成果の実感率と投資意欲(n=506)
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
一方で、成果を実感できていない「成果未実感層」も28.5%と相当数あり、これらの企業の間ではデジタル投資に対する消極的な姿勢も見られます。
例えば、デジタル活用で成果を実感できている「成果実感層」は、63.5%が今後3年以内にデジタル投資を増加させる見込みとしていますが、成果未実感層では半数以下(49.3%)に留まっています(図2)。

図2:「成果実感層」は6割強が3年以内にさらなるデジタル投資を計画
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
この結果は、デジタル活用における「成果の有無」が「投資意欲の高低」に直結し、日本企業の間に「成果の創出」→「投資の拡大」→「新たな成果の創出」という好循環と、その真逆の悪循環が並行して生まれていることを示すものです。そして、この2つのスパイラルがデジタル活用・投資の二極化を加速させているといえます。
2. デジタル活用を阻む障壁
では、企業がデジタル活用で成果を上げられない要因はどこにあるのでしょうか。1つの答えは、
両層のIT予算の使い方(ITリソース配分の違い)にあります(図3)。

図3:IT予算の使い方に見る「成果実感層」と「成果未実感層」との違い
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
図3のとおり、成果実感層では31.8%がIT予算の「5割以上」を「新規投資」に振り向けていますが、未実感層では20.8%に留まります。背景には、現行システムの維持・保守に充てるIT予算の多寡があります。未実感層では36.8%がIT予算の「8割以上」を現行システムの維持・保守に費やしており、新規のデジタル投資に多くの予算を割けない状況です。
また、成果未実感層では「DXに人員を割けない」と回答した企業が73.3%に上り、この点も実感層(33.3%)と大きな差があります。
ただし、デジタル人材の不足感は、成果未実感層だけの課題ではありません。実感層を含む全体が
デジタル人材の増強を望んでおり、調査でも「デジタル人材の育成・確保」を重視する企業が62.3%に上っています(図4)。

図4:デジタル活用推進の重要項目(n=506)
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
3. 根本原因はレガシーシステムと組織の構造
デジタル活用・投資の悪循環を断ち切るには、現行システムの維持・保守コストを高止まりさせている根本原因を取り除くことが必要です。その根本原因とはレガシー化したシステム(以下、レガシーシステム)です。
レガシーシステムは、特殊性・閉鎖性の高い古い技術によって構成されており、長年にわたる保守(改修)・運用を通じて「構造の複雑化・ブラックボックス化」「保守・運用プロセスの属人化」「データのサイロ化」「機能拡張・外部連携の工数・コスト増」といった問題を生み、肥大化させています。その結果として、現行システムの維持・保守コストが高止まりし、新規のデジタル投資に制約がかけられています。
実際、今回の調査においてデジタル活用の阻害要因について尋ねたところ、成果未実感層の最も多くが「レガシーシステムの維持・連携が足かせとなっている」という点を挙げています。その選択率は43.1%に上り、全体(41.7%)を上回っています(図5)。

図5:デジタル活用の阻害要因
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
図5からは、成果未実感層ではデジタル活用の阻害要因として「業務プロセスが複雑すぎてデジタル化が困難」(選択率40.3%)や「現場の現状維持バイアスが強い」(同37.5%)を挙げる傾向が強いこともわかります。
これは、技術面の課題だけではなく、業務・組織の構造や変革に対する現場の抵抗感も、デジタル活用を停滞させる大きな要因となることを示すものです。
4. レガシー維持がもたらす悪循環
デジタル活用の最大の阻害要因はレガシーシステムです。デジタル活用で成果を上げる上では、レガシーシステムのモダナイゼーション(刷新)が急務といえますが、成果未実感層の間では、その取り組みがあまり進展していません。未実感層ではレガシーシステムの刷新に意欲を持つ企業は49.3%に上りますが、実際に着手したとする企業は27.8%に留まっています。
なぜ、レガシーシステム刷新はなかなか進まないのでしょうか。その理由を、情報システム部門の担当者に尋ねたところ、最も多い回答は「ROIが見えず経営承認が得られない」(回答率32.4%)というものでした。
レガシーシステムの刷新は、相当の工期とコストを要する一方、システムの機能・パフォーマンスの面では直接的な効果が実感しづらく、刷新の効果が出るまでに相応の時間がかかるのが一般的です。そのため、システム刷新の価値や目的、想定される効果に対し、経営層やビジネス現場の理解・支持を得るのは簡単ではありません。
とはいえ、レガシーシステムの刷新が滞れば以下のような悪循環が生まれます(図6)。
■レガシーシステム刷新の先送り
現行システムの維持・保守費が高止まりしたままとなる
新規デジタル活用の取り組みに人員・予算が割けない
デジタル活用の成果が上げられない
システム刷新の効果について根拠が示せない
ROIが不明瞭なままとなり投資が引き出しにくくなる

図6:レガシーシステムがもたらす悪循環
出典:伊藤忠テクノソリューションズ「デジタル活用実態調査2026(2026年4月発行)」から引用
今回の調査結果からは、レガシーシステムがもたらすこうした悪循環が、成果未実感層の間で固定化している状況が見られています。
5. デジタル活用で成果を上げる施策とは
デジタル活用で成果を上げる上では、レガシーシステムの刷新を含めて、上で触れたさまざまな課題を乗り越える必要があります。果たして、成果を上げている成果実感層は、どのような施策・体制・方針のもとで、課題を乗り越え、データ活用を実質的な成果へとつなげているのでしょうか。
今回のCTCの調査レポートでは、その点も明らかにしています。加えて、今日におけるデジタル活用の最重要テーマである「AI業務適用」の実態についても、業界ごとに詳しく調べ、分析しています。ご興味のある方は、本レポート全文をご一読ください。

今回の調査概要
調査目的:年商1,000億円以上の大手企業におけるデジタル活用の実態を明らかにし、成果を分ける要因や真のボトルネックを特定
実施期間:2026年3月
調査対象:年商1,000億円以上・管理職/経営層
有効回答数:506名
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