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オリコが推進するAIによる自動化戦略|CTC DISCOVER 2025事例講演レポート

本稿では、その戦略の全容を、2025年10月に催されたCTCの年次イベント「CTC DISCOVER 2025」におけるオリコの講演「デジタル時代の自動化戦略:RPAからAIエージェントへ」の内容をもとに紹介します。
BPX推進室新設で業務改革を加速し会議削減からデジタル化までを推進
オリコは、1954年の創業以来、個品割賦事業、クレジットカード事業、個人法人向け融資、決済保証事業などの金融サービスを展開してきました。社員数約5,400名、全国86拠点の営業ネットワークを持つ同社は、2024年に「その夢の、一歩先へ」という新しいパーパスを打ち出し、業務改革を本格的に始動させました。
具体的には、2025年4月にスタートを切った中期経営計画に則ったかたちでBPX(ビジネスプロセストランスフォーメーション)推進室を新設し、業務における「ムリ・ムダ・ムラ」の一掃に力を注いでいます。そのための施策として「会議資料の削減」「会議時間の短縮」「会議への参加人数の適正化」「電話機の見直し」「ペーパーレス化」などを推進しているほか、デジタルテクノロジーを使った業務の効率化・自動化も精力的に進めています。
オリコのオペレーショングループを率いる常務執行役員の嶋本 正治氏は「当社が目指す10年後の姿は『与信×テクノロジーで新たな金融シーンを作り出す先進企業』です。このビジョンのもと、長年にわたり培ってきた業務上の知見とテクノロジーを駆使しながら、お客様との接点の高度化や柔軟な商品開発、ステークホルダー全員の満足度の向上を目指しています」と説明します。

株式会社オリエントコーポレーション
常務執行役員
オペレーショングループ長(兼)BPX推進室担当
嶋本 正治 氏
RPAの展開で“市民開発”の文化を醸成し社員約270名が業務改革の担い手に
オリコにおける業務自動化は2017年に始まりました。当時、新たな基幹システムの本番稼働を翌年に控えていた同社は、障害発生時のデータ修正を自動化する目的でRPA(Robotic Process Automation)ツールを導入しました。2018年の基幹システム稼働後は、実際に発生した障害に対し、RPAツールで事前に開発していたソフトウェアロボット(以下、RPAロボット)を使いながら、業務を止めることなく迅速に対処・対応することに成功しています。その後、バックオフィス業務を中心にRPAの適用範囲を拡大させてきた同社は、2021年に転機を迎えます。
嶋本氏は「このとき当社では、RPAにおける『活用範囲の拡大』『運用管理の強化』『市民開発の推進』の3つを方針として掲げ、CTCによる導入支援のもと、使用するRPA製品を『UiPath』に一本化する決断を下しました。当時400台以上稼働していたRPAロボットを整理・統合する作業はかなりの労力を要し、社内の抵抗も強かったものの、CTCとUiPathの支援を得ながら、約1年でRPAロボットを214台に集約し、UiPathへの完全移行を実現しました」と振り返ります。
2025年3月時点で、UiPathベースの稼働ロボット数は415台に増え、ロボットの年間稼働時間は24万時間に達しています。また、“市民開発者”の数も増え、業務の現場で働く社員約270名がロボット開発者として活躍しています。
「現業部門がロボットを開発することは、システム開発の知見やスキルを身につけるうえで非常に有益です。業務フローの分岐や例外処理を考慮しながらRPAのロボットを作り上げることは社員のレベルアップにつながっています。今日では、ロボット開発は業務部門にとって身近な業務となり、研修の募集枠を超える申請が寄せられています。講師資格認定者も5名に増え、一部の開発者研修は内製化されています」(嶋本氏)

図1. 数字で見るオリコのRPA活用拡大
資料:オリエントコーポレーション
「UiPath Platform」への移行でRPA、AI、プロセスマイニングを統合活用
以上のように、RPAによる業務の効率化・自動化が進展するなかで、RPA単体での業務効率化には限界も見えてきました。例外処理や非定型業務への対応、属人的な暗黙知の形式知化といった課題が顕在化するなか、オリコでは、生成AIベースのエージェントやRPA、ならびにプロセスマイニングの統合運用を実現するエージェンティックオートメーションプラットフォーム「UiPath Platform(クラウド版)」への移行を決定しました。
その理由について、嶋本氏は「UiPath Platformの最大の特長は、RPAのロボットと、プロセスマイニング、チャットボット、生成AIベースのエージェントとの密接な連携が実現できる点です。こうした機能面での優位性と、さまざまなアプリケーションがサブスクリプション型の料金体系のもとで使えることが決め手となり、同プラットフォームへの移行に踏み切りました」と明かします。
現在、同社では、UiPath Platformを活用しながら、生成AI(エージェンティックAI)によるCX(顧客体験)の向上に力を注いでいます。具体的には、コールセンターにおける顧客との通話記録をリアルタイムに音声テキスト化し、FAQの自動作成や応対品質評価につなげる取り組みを進めています。

図2. オリコにおける生成AIを活用したCX向上施策
資料:オリエントコーポレーション
将来的には、生成AIとチャットボットを連携させ、顧客からの一次問い合わせ対応をAIが担い、適切な窓口や担当者へのエスカレーションを自動化する計画です。また、この仕組みを通じて、顧客情報の一元管理と顧客への応対履歴の追跡を可能にし、それを顧客体験の質向上に役立てることも視野に入れています。
「C-CodeBlossom」の活用により開発の標準化とガバナンス強化を目指す
市民開発者の拡大に伴い「RPAロボットの仕様書が作成されていない」「仕様書の品質にばらつきがある」「社内の開発ルールに準拠していないRPAロボットが稼働している可能性がある」「ロボット不具合時の原因の調査・特定に時間がかかる」といった課題が顕在化しました。
これらの課題を解決すべく、オリコではCTCが独自開発した生成AIベースの開発効率化・ガバナンス強化ツール「C-CodeBlossom」の導入を進めています。
オリコでは、C-CodeBlossomのユースケースの一つとして、RPAロボットのソースコードを生成AIに分析させ、所定の構成の仕様書を自動で作成させる仕組みづくりを進めています。その開発に際して、同社はCTCに対して記載項目の追加や詳細内容の充実など、さまざまなリクエストを出しています。嶋本氏によれば、これらのリクエストにもとづきながら、生産性、網羅性、可読性、効率性など面で合格ラインに達した仕様書作成支援のツールが出来上がりつつあるといいます。
また、オリコではRPAロボット開発のコーチングツールとして、C-CodeBlossomを活用する取り組みも推進しています。これは、生成AIがRPAロボットのソースコードを分析し、正しいルールのもとで開発されているかどうかのチェックや違反個所・要注意箇所の特定、コード改善のアドバイスなどを行う仕組みづくりです。この仕組みにより、RPAロボットを検証する業務負担を大幅に低減させることが可能になります。

図3. オリコによる開発コーチングツールとしてのC-CodeBlossomの活用
資料:オリエントコーポレーション
加えてもう一つ、同社ではRPAロボットの障害原因を調査・特定する作業の自動化・効率化にもC-CodeBlossomを活用していく計画です。作業中のRPAロボットの不具合は早急な対処・対応が必要とされる障害です。その原因を速やかに特定し、必要な改修を提案する仕組みをC-CodeBlossomを使って構築しています。
嶋本氏は「中長期的には、新しいEUC(End User Computing)ツールの活用拡大や市民開発の可視化とガバナンス、運営管理の安定化に向けて、生成AIなどの新たなテクノロジーを積極的に活用していきたいと考えています。ですので、C-CodeBlossomについても、RPAロボット以外のEUCツールや複雑なマクロの解析など、広範な領域での有効性の検証を進めています」としています。
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