空調事業をグローバルで展開するダイキン工業(以下、ダイキン)。同社は2025年度を最終年度とする中期経営計画「FUSION25」の重点戦略テーマの一つとして変革を支えるデジタル化の推進を掲げ、デジタル技術とデータの徹底活用で、事業拡大と収益力向上を目指す取り組みを実施。そのための基盤としてグローバルITインフラの標準化を進めてきた。ネットワークの刷新、グループウェアの統合、CTCの支援による認証基盤の構築、Webポータル導入や情報セキュリティ対策等による、ITインフラ基盤の整備を実施。グループガバナンスの強化と協創の加速に向けた活用推進を図っている。
課題と効果
課題
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- 急速なグローバル化、事業拡大に対し、グローバルITインフラ基盤が脆弱
- 次期中計(FUSION25)の目標達成に向け、グローバル協創を支えるITインフラ基盤の強化は必須
- グループ全体におけるITインフラ運用コストダウンとセキュリティレベルの高位平準化を実現するITインフラ基盤の構築が必要
効果
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- SD-WAN環境構築による全拠点接続と高速化、コスト削減を実現
- グループウェア基盤統合によるセキュリティレベルの高位平準化、運用コストダウン
- グローバルでの認証「前」「中」「後」を保護する認証基盤、及びセキュリティプラットフォーム導入によるセキュリティレベルの高位平準化
導入事例インタビューデータ
- 企業名
- ダイキン工業株式会社
- 所在地
- 大阪市北区梅田 1-13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス
- 創業
- 1924年10月
- 事業内容
- 住宅用と業務用、サービスからなる空調事業、冷媒製造の化学事業及びその他事業
- URL
- https://www.daikin.co.jp/
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ダイキン工業株式会社
IT推進部長
徳永 一成氏
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ダイキン工業株式会社
IT推進部
西嶋 康仁氏
中期経営計画のテーマにデジタル化の推進を据え
グローバルITインフラを刷新
1924年の創業で、空調事業をグローバルで展開するダイキン工業(以下、ダイキン)。同社は2010年から19年まで10期連続増収、23年度にはグループ連結で売上高4兆円を突破し、海外売上比率は8割を超えている。
ダイキンでは2025年を最終年度とする「FUSION25」で11の重点戦略テーマに基づく取り組みを進めてきた。その一つが「変革を支えるデジタル化の推進」で、環境・社会貢献と顧客への新しい価値創出のためにデジタル技術とデータを徹底活用することで、事業拡大と収益力向上を実現することだ。
FUSION 25の目標達成、及びダイキンを取り巻く環境変化への対応に向け、ITインフラ基盤の強化が必須との判断から立案された。ダイキン工業 IT推進部長 徳永 一成氏は「今までのグローバルITインフラはグループの急速なグローバル化、M&Aの拡大、事業拡大に追いついていない状態でした。そこでグローバルでガバナンスを効かせながら、デジタル化の推進、協創を加速できる安価で安全なITインフラ環境を構築することにしたのです」と語る。
長年の支援実績があるCTCとの協業で、
各拠点の事情を考慮したグローバルでのITインフラ標準化を実施
ダイキンでは、2018年にグローバルITインフラ標準化に着手した。CTCは2019年からダイキンのプライベートクラウド基盤と工場のネットワークの導入を支援。20年には、ダイキンはCTCをパートナーに選び、IDaaS・認証基盤の導入を進めることにした。CTCを選んだ理由は、当時CTCの大阪オフィスには認証基盤に詳しく、多くの経験を持つメンバーが揃っていた。実績も豊富にあったことからプロジェクトのパートナーとして選定されるに至った。
実際の取り組みでは、IT推進部と子会社のダイキン情報システムでプロジェクトチームを編成し、事業統括部門・統括会社のマネジメント構造を活用し、海外グループ会社のIT部門と連携。遠心力と求心力のバランスを取りながら、各拠点の事情を考慮して5つの施策を実施。その1つ目としてネットワークは、専用線をグローバルSD-WAN環境に切り替えた。これによって、グローバル全拠点が接続され、運用コストの削減と高速化を実現、グローバル共通システムの導入と展開の加速、拠点間のデータ連携の足場を築くことができた。
CTCの支援でクラウド型ID管理サービス「Okta」を導入、
IDをトータルに保護しセキュリティを強化
施策の2つ目はグループウェアで、欧州と中国以外の海外拠点の基盤を本社のテナントに統合。拠点ごとの移行・展開計画書と共に、Office 365利用を基準にして移行手順などの作業内容をワークパッケージ化し、迅速な移行を進めた。これによって、グローバル各社との協創の加速と、ライセンス費用と運用の効率化によるコストダウン、セキュリティレベルの平準化に取り組んだ。
3つ目が認証基盤で、従来グローバルで共通の認証システムがなかったため、CTCの提案でクラウド型ID管理・統合認証サービス「Okta」を採用した。Oktaは認証「前」「中」「後」をトータルに保護するアイデンティティセキュリティ基盤で、ID基盤の自動化による運用性向上を実現し、様々な組織形態・ユースケースに対応できる柔軟性を持っている。Okta導入によって、各拠点のID情報を中央で集中管理し、二重管理を防止した。また、本社管理のHubテナントと、地域・拠点管理の複数のSpokeテナントを連携させる構成の採用で、本社管理のHubテナントで全体のセキュリティポリシーを管理しつつ、地域・拠点単位での独自のアプリケーション追加を容易にした。「導入の際にはグローバル拠点の都合や事情によるスケジュール見直しを余儀なくされました。プロジェクトリーダーの西嶋氏(巻頭写真右)をはじめ、ダイキン情報システムメンバーがCTC様と共に、拠点長レベルを巻き込んで、粘り強く善後策を検討したことで、影響を最小限に食い止めることができました」(徳永氏)。
Oktaの導入により、多要素認証によるアクセスコントロールなど、国内・グローバル拠点でのセキュリティレベルの強化・統制、シームレスなグローバル共通システムの利用を推進しているところだ。
構築したITインフラ基盤を活用し、
グループガバナンス強化と協創を目指す
従来ダイキンではグループへ周知したい情報をグローバルに発信する手段が限定されていた。この解消のため、4つ目の施策として、SD-WAN環境、Oktaを活用して構築したポータルサイト「Daikin Universe」を構築、グローバルでの定着を図っている。5つ目が情報セキュリティで、「製品・サービス」「工場設備システム」「社内システム」それぞれの領域に対して「ルール・体制」「技術的対策」「教育」の3つの軸で、情報セキュリティ対策をグループ横断で実行。情報セキュリティマネジメント体制の整備と共に、技術対策ではグループ標準セキュリティプラットフォームをグループ全体に展開。デジタル資産を一元管理する取り組みもグローバルで展開中だ。「これら5つの取り組みにより、ITインフラ基盤の整備が進みましたので、今後、協創やガバナンスなどの目的に向け、活用を加速させていきたい」(徳永氏)。
今後は、ITインフラ基盤の維持、グローバル末端までの展開徹底、新規M&A拠点への迅速な展開のためのグローバル協業体制の整備をグローバル各拠点のIT部門や内部人材の育成を進めるダイキン情報技術大学とも連携して進めていく。CTCはOktaの豊富なサードパーティ連携により、業務に最適なアプリケーションの組み合わせの実現などを支援していく。