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株式会社デンソー 様

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株式会社デンソー 様 ロゴイメージ

100年に1度のパラダイムシフトに備えるべく、システム開発の「次世代化」を目指す。
その基盤として採用した「OutSystems」の活用法と成果とは?

  • Outsystems

自動車部品メーカーとして、世界中の自動車メーカーに各種機器・部品を提供するデンソー。電動化や自動運転など自動車業界の変化に対応すると共に、サステナビリティ経営を掲げ、2035年のカーボンニュートラル実現に向けて「環境」と「安心」の両分野で貢献すべく、様々な取り組みを進めている。
自動車業界全体での大きな変化に追随するためにも、社内での業務改革は欠かせない。しかし、業務システムは肥大化し、開発・改修の度に時間がかかり、柔軟な対応が難しい状態だった。そこで、システム開発の次世代化の一環としてローコード開発プラットフォーム「OutSystems」を導入。基幹システムにも適用できるよう開発プロセスなどを整備し活用を進め、大きな成果を出している。

課題と効果

課題
  • 年々システムは肥大化し、スピーディで柔軟な開発・改修が難しくなっている
  • 社会の大きな変化に追随し、高度化するユーザー要望に対応すべく、システム開発の次世代化が急務となった
  • 将来的な技術者不足に対処できる抜本的な対策が必要
効果
  • OutSystemsとアジャイル開発を掛け合わせることで、開発生産性が大幅に向上
  • 「日本語表記のゆれ」がなくなったことで、設計・実装間での齟齬が改善され、テスト工程の不具合が半減
  • CoEチームで開発の標準化、ナレッジ公開、サンプルアプリケーションの整備などを実施、開発プロジェクトの自立化を実現

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社デンソー
設立
1949年12月16日
所在地
愛知県刈谷市昭和町1-1
URL
https://www.denso.com/jp/ja/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社デンソー 基幹システム推進部 営生プロセス改革室 𠮷村 英展氏

    株式会社デンソー

    基幹システム推進部
    営生プロセス改革室

    吉村 英展氏

    ※ 吉村氏の「吉」の正確な表記は「土」の下に「口」(つちよし)です。

  • 株式会社デンソー 基幹システム推進部 営生プロセス改革室 丹羽 貴志氏

    株式会社デンソー

    基幹システム推進部
    営生プロセス改革室

    丹羽 貴志氏

導入背景

業務改革を支えるためにも、開発の「次世代化」が不可欠に

35の国と地域において、自動車関連分野を中心に幅広い事業を展開するデンソー。モビリティ社会の可能性を広げる新たな価値を提供すべく、様々な取り組みを進めている。

「電動化、自動化など自動車業界は100年に1度のパラダイムシフトが起きていると言われており、弊社でもこの変化に対応するための業務改革が求められていました。システム面でもこの改革をサポートすべきですが、社内システムは肥大化・複雑化し、スピーディで柔軟な対応が難しい状況でした。システムが業務改革の足かせとなることだけは避けなければなりません。システム開発も変わらなければならないと危機感を持っていました(吉村氏)」

そこで、2017年にシステム開発の「次世代化」を目指すプロジェクトが始動。テーマとして「ローコード」「アジャイル」「DevOps」「クラウド活用」の4つを挙げた。その実現手段のひとつとして、ローコード開発プラットフォームの検討を始めた。

他製品とは違う……これなら実際の開発で使えると感じた「OutSystems」

いくつかローコード開発プラットフォームを検討する中で、群を抜いていたのが「OutSystems」であった。

「2017年当時、ローコード開発の市場は今ほど成熟しておらず、実際の開発に適用できそうな製品がほとんど見られなかった中で、OutSystemsはほかと違い、直感的に『これならば使える』と思ったことを覚えています(吉村氏)」

まずは試行プロジェクトを進めることにしたが、本当に開発で使えるかを見極めるためにも、一定程度以上の規模があるシステムで確認したい。そこで、IT部門で利用するプロジェクト管理システムの開発をOutSystemsでおこなった。

「プロジェクト管理システムは40~50画面ほどあり、OutSystemsで開発するにも最初は分からないことばかりで手探りでした。CTCの技術支援で、細かくサポートいただくことで無事に開発でき、また、これならば十分使えると実感できました(丹羽氏)」

システム概要・導入効果

開発工数35%削減、品質向上……大きな成果を受け、OutSystemsを開発標準に

左から丹羽氏、吉村氏

次に、業務部門で利用するアプリケーションへと展開。ちょうど再構築が必要だった、自社サービスに特化した顧客管理システムの開発でOutSystemsを用いることに。その結果、設計と製造の工数が半減、全体でも35%程度の工数を削減するなど大きな成果をあげた。

「このほか、テスト中の不具合が半減し、品質も大きく改善しました。既存の開発では上流工程から設計書を作成して、要件を連携していきますが、OutSystemsではその必要がありません。設計した人自身ですぐにアプリケーションを作成し、ユーザー部門を交えてどう動くのかをその場で確認できるため、意図と違ったらすぐに修正できます。Excelで作成していた設計書の多くはOutSystems上で設計することで廃止でき、『システム開発のDX』が実現できると確信しました。(吉村氏)」

この結果を受け、2019年にOutSystemsをシステム開発の全社標準に制定。以降、新たに開発するWebアプリケーションは全てOutSystemsで構築することになった。

基幹システム開発に適用できるようアジャイル開発のプロセスを再定義

次のターゲットは基幹システムへの展開だ。OutSystemsはアジャイル開発との親和性が高いとはいえ、一般的なアジャイルの進め方は基幹システムに適用できない。アジャイル開発では、構想・企画を立案した段階でスピーディに実装まで進め、実際に動くものを見ながら調整を繰り返し、細かにリリースをおこなっていくが、基幹システムは連携システムも多く、事前に影響範囲を明確にする必要がある。また、効果が見えないままでは投資判断ができないという問題もあった。

「基幹システムはやはりスピードよりも品質を重視します。そこで、要件定義と、テスト以降のプロセスは従来に近いレベルでおこない、設計・製造・レビューを細かく回すやり方を考えました。要件定義で他システムへの影響など押さえるべきところは明確にしておく、そのうえで開発中にユーザーレビューをおこない改善を繰り返すなどアジャイルのメリットも取り入れることができます(丹羽氏)」

この方法で基幹システムへの適用にも成功。あわせて、OutSystems活用を進める中で重要だったのが、標準化の活動だ。

「以前から開発の標準化には積極的に取り組み、様々なルールを定めるほか、共通部品を150ほど提供していました。しかし、OutSystemsではチェック機能・サジェスチョン機能などで一定の品質が担保されるため、大きくルールを逸脱したものにはなりません。そこで、ルールの策定は必要最小限にとどめ、プロジェクト体制に合わせた社内ハンズオン教育の実施、ベストプラクティスとして実践ですぐに使えるサンプルアプリケーションを提供する方針へと転換しました。共通部品も今はいくつか提供するのみです(吉村氏)」

ほかにも、蓄積したナレッジを順次社内サイトで公開し、150件を超えるまでになった。標準化により各開発プロジェクトの自立化が進み、OutSystemsを利用するプロジェクトが広がる中で、開発標準化などを担うCoE(Center of Excellence)チームの体制をスリム化することもできた。

今後の展望

基幹システムで長期的に活用できる基盤として高く評価

現在オンプレミスで構築しているOutSystems環境の運用負荷が大きいことから、OutSystems Developer Cloudを含むクラウド環境への移行を検討している。

「オンプレミスでは、OutSystemsのバージョンアップやOSのセキュリティパッチ管理などに手が掛かりますが、本来ここは我々が大きく手間をかける領域ではありません。どうクラウド移行を進めるのがベストか、CTCにも相談している最中です(丹羽氏)」

基幹システムの標準ツールとして採用したからには、長期的な利用が大前提となる。いまやローコード開発プラットフォームのデファクトスタンダードになりつつあるOutSystemsだが、そのポジションに甘んじることなく、トレンドや最新技術を取り入れて進化を続ける姿勢が見えるのは頼もしい限りだ。

「長く使い続けるとなるとベンダーとの調整も重要になりますが、エンハンスのフォローやコスト面の調整などCTCが間に立ち、うまくベンダーコントロールをしてくれていることもあり、今後も安心して使い続けられると感じています(吉村氏)」

左から吉村氏、丹羽氏
  • 吉村氏の「吉」の正確な表記は「土」の下に「口」(つちよし)です。
  • OutSystems® とロゴはOutSystems-Software Em Rede S.A.の登録商標です。
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