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株式会社 武蔵野銀行 様

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武蔵野銀行

銀行のガイドラインを満たしたバックアップシステムをオラクルのパブリッククラウドOracle Cloud Infrastructureで構築

  • Oracle Cloud Infrastructure

埼玉県の地域経済を長年支える武蔵野銀行。同行は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の支援のもと、分散システムのうち仮想環境上で稼働するシステムのバックアップをパブリッククラウド上のストレージに保存する形で再構築した。パブリッククラウドには、オラクルのOracle Cloud Infrastructure(OCI)を採用。リストアの所要時間と工数の削減、コスト最適化など、バックアップの課題解決とともに、OCIによって拡張性の高いインフラを整備できたことで、今後DXをさらに推進可能な体制を実現している。

課題と効果

課題
  • バックアップシステムのリストア時間を短縮し、かつ、コストを最適化したい
  • 今後のDX推進の土台となる拡張性の高いインフラを整備したい
  • バックアップにパブリッククラウドのストレージを利用
効果
  • パブリッククラウドの有効活用で、リストア時間短縮とコスト最適化を達成
  • 高い拡張性、銀行のガイドラインを満たす品質を備えたインフラを実現

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社武蔵野銀行
設立
1952年3月6日
所在地
埼玉県さいたま市大宮区桜木町一丁目10番地8
URL
http://www.musashinobank.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 長谷部 達也氏、濱田 徹也氏、桑島 一浩氏、青木 俊太郎氏

    (左から)
    事務統括部 システム統括室 長谷部 達也氏、
    事務統括部 システム統括室 室長 濱田 徹也氏、
    事務統括部 システム統括室 副グループ長 桑島 一浩氏、
    事務統括部 システム統括室 青木 俊太郎氏

武蔵野銀行は1952年の創業以来、「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、地元埼玉県に本店を構える唯一の地方銀行として、地域社会の発展に貢献し続けてきた。近年は重要な経営テーマの一つとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)に注力している。2021年10月には、経済産業省の「DX認定事業者」の認定を取得。IT部門と各業務部門のメンバーで構成される専門チームを組織し、DXを推進している。

同行は基幹システムとは別に、顧客サービス向上および行員の業務効率化を担う分散システム(業務アプリケーション)を構築・運用している。たとえば、投資信託などの契約書の電子化、非対面での顧客サポート、スマートフォンアプリの提供などだ。

それらのシステムのうち、仮想サーバで稼働している70システムのバックアップは従来、オンプレミス環境にて、アプライアンスのバックアップストレージとテープの二重体制でバックアップを行っていた。対象サーバは約150台。テープサーバは4台で、テープメディアを県内の遠隔地で保管していた。

2019年8月、同行はバックアップシステムの更改の時期を迎えたことを契機に、バックアップ体制の再構築に着手した。武蔵野銀行 事務統括部 システム統括室 副グループ長 桑島一浩 氏は、「従来の体制では、バックアップデータのリストア時に、テープメディアを保管先から持ってこなければならないなど、少なくない時間と手間を要しており、再構築にあたりその削減を目指しました。同時に、バックアップシステム全体のコスト最適化と運用管理負荷軽減も図りました」と振り返る。

再構築の方針としては、テープから脱却し、パブリッククラウドの全面採用を決定。パブリッククラウドをIaaSやPaaSではなく、バックアップストレージとして利用することにした。

「従来のオンプレミスのまま機器だけを更改しても、コスト最適化などが果たせないのは自明の理です。パブリッククラウドに移行しても、サーバを立てると、構築・運用に相応のコストと手間を要します。そこで、バックアップ用にパブリッククラウドのストレージだけを利用することにしました。これなら手軽であり、コストも抑えられます」(桑島氏)

同行はすでに、サーバをパブリッククラウド上に構築するなど意欲的にクラウド化に取り組んでおり、今回もその流れで採用に踏み切った。

柔軟な価格体系などからパブリッククラウドとしてオラクルのOCIを採用

桑島一浩 氏

事務統括部 システム統括室
副グループ長
桑島一浩 氏

同行はCTCの支援のもと、バックアップシステムに最適なパブリッククラウドの選定に取り掛かった。その際、金融機関ならではの厳しい目で選定を行った。

「バックアップシステムのクラウド化は、銀行のガイドラインを必ず守らなければなりません。FISC(金融情報システムセンター)の『金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準』への準拠と同時に、金融庁監査や内部監査への対応をはじめとする諸要件を満たす必要があります。その上で、投資対効果の最大化も図ります」と桑島氏は強調する。

具体的な選定の過程では、パブリッククラウドの候補としてOCIを含め3つのクラウドサービスを挙げた。それらと主要なバックアップソフトを組み合わせた各種方式を、メリット・デメリットをそれぞれ挙げて比較検討した。

銀行のガイドラインを念頭に置きつつ、約1年間かけて吟味した結果、パブリッククラウドにOCIの採用を決定した。主にコスト面での優位性がポイントとなったという。

「OCIは価格が最もリーズナブルでした。他社のサービスはサポートに追加料金が発生し、しかも時間帯によって英語のみの対応でしたが、OCIはサポート込みの価格、かつ日本語での対応でした。柔軟な価格体系、アウトバウンド転送通信料が1ヶ月あたり10TBまで無料なところも採用のポイントです。コスト面に加え、リストアに要する時間と手間が最小で済むのも魅力でした」(桑島氏)

バックアップの課題解決とともに、拡張性の高いインフラ整備も実現

OCIの採用決定後、2020年9月から構築を開始し、2021年3月にカットオーバーした。オンプレミス環境にバックアップサーバを新規に構築し、バックアップデータをOCIに転送。ネットワークは専用線で接続する方式とした。バックアップシステムをクラウド化したことで、同行は狙い通りの効果が得られている。

「4台のテープサーバとストレージアプライアンスがゼロになり、テープメディア保管の工数やコストが不要になりました。また、リストア時に要する時間と手間も削減可能となり、バックアップシステム全体で運用負荷削減とコスト最適化を果たせました」(桑島氏)

それらと並ぶ大きな効果が拡張性の飛躍的な向上だ。拡張性はパブリッククラウド選定時からこだわっていた点である。「現在はOCIの東京リージョンのみにバックアップしていますが、近い将来、大阪リージョンにもバックアップすることで、広域災害に備えるDR(Disaster Recovery)を構想しています」(桑島氏)

さらに、バックアップ用途以外のクラウド活用も視野に入れている。たとえば、現在オンプレミスで稼働しているサーバをクラウド移行して継続利用することや、新規システムのサーバの一部をOCI上で構築することなども想定している。選定の際にアウトバウンドの転送通信料も重視したのは、これらを見据えていたからだ。

「OCIによって従来とほぼ同等のコストで、バックアップを含めたインフラを大幅にレベルアップできました。バックアップを皮切りに、OCIをさまざまな用途で利活用し、投資対効果をより高めていきます」(桑島氏)

今回のOCIを軸としたバックアップシステム再構築を支援したCTCを、桑島氏は「選定の際はクラウドの豊富な知識と経験を下敷きに、フラットな立場から提案してもらえたおかげで、当行に最適な方式を採用できました。構築作業はCTCにほとんどお任せで、スムーズに移行できました」と評価する。

武蔵野銀行は今後、クラウドのさらなる活用も含め、DX推進をCTCの支援のもと加速していく。「専用線とインターネット回線を柔軟に切り替える仕組みの導入など、バックアップ以外にも取り組みたいことはたくさんあります。銀行のガイドラインを守りつつ、可用性やセキュリティと利便性を両立した提案をCTCにはこれからもしてほしいですね」(桑島氏)

  • OracleおよびJavaは、オラクルおよびその関連会社の登録商標です。その他の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。
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