途上与信システム更改と同時に、マーケティング支援機能を新規構築
システムの新規導入や更改を成功させるには、費用対効果の視点が不可欠である。オリエントコーポレーションはCTCの支援のもと、「Oracle Exadata」と「SAS Marketing Automation」を軸に、途上与信システムをメインフレームからオープンシステムに更改。運用コストの大幅削減に成功している。加えて、同システムと同一基盤上に、マーケティング施策実行支援機能を新規に追加。その結果、目標とする費用対効果を達成するだけでなく、新たにマーケティング施策実行支援基盤も構築できた。これに伴い、実施可能なキャンペーンの施策数を大幅に増やすことが可能になり、生産性向上による競争力強化も実現している。
課題と効果
- 課題
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- ITシステムの費用対効果向上
- 業務の生産性向上
途上与信システムを更改
同一基盤上でマーケティング施策実行支援機能を新規構築
- 効果
-
- 運用コストを大幅削減
- 実施可能な施策数が増大
導入事例インタビューデータ
- 会社名
- 株式会社オリエントコーポレーション
- 所在地
- 東京都千代田区麹町5丁目2番地1
- 創業
- 1954年
- URL
- http://www.orico.co.jp/
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株式会社オリエントコーポレーション
システムグループ システム企画部 部長
坂口 繁法 氏
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株式会社オリエントコーポレーション
システムグループ システム企画部 課長
中内 正浩 氏
導入背景
システム構築・更改は費用対効果で判断
クレジットカード「オリコカード」で知られる株式会社オリエントコーポレーション(以下、オリコ)。カード会員数1,257万人を超え、主力商品であるオートローン利用者は年間170万人にのぼり、業界トップシェアを誇る。近年は加えて、教育ローンやリフォームローンにも注力している。
同社のビジネスを支えるICTを担うシステム企画部では、システムの企画・開発とともに、スクリーニングの業務に重きを置いている。同社 システムグループ システム企画部 部長 坂口 繁法 氏は「当社には、大小150のシステムがあります。それらすべては、新規構築または更改するかどうかを構築・運用コストとビジネスメリットから算出される費用対効果で判断しています」と語る。
また同社のビジネスにおいて、欠かせない業務のひとつが途上与信だ。既存カード会員の融資やキャッシングの利用枠拡大の際、必ず実施しなければならない。同業務にはメインフレームで構築した途上与信システムを使用していた。
あわせて、マーケティングの一環としてのキャンペーン施策も重要だ。同社 システムグループ システム企画部 課長 中内 正浩 氏は「マーケティングはストーリーを持って実施することが重要です。たとえば、新規の会員様がその後も継続的にカードを利用するかは、加入後の1年間の利用回数に大きく依存します。そのため、季節のイベントなどを想定した会員様の1年間のストーリーに沿って、利用を促すようキャンペーン戦略を組み立てます」と話す。
課題と期待効果
途上与信システムを更改
2010年6月、改正貸金業法が完全施行され、途上与信においても、融資やキャッシングの限度額管理に関わる各種運用ルールが変更となった。各種運用ルール対応を踏まえ、改修コスト、運用コストにおいて、費用対効果のあるシステムが求められた。
「メインフレームで構築された現行の途上与信システムは、変更対応が大きいと、改修コスト、運用コストにおいて、目標とする費用対効果が得られなくなります。そこで、柔軟性の向上、運用コストを削減すべく、システムのオープン化を検討しました」(坂口氏)
一方、キャンペーン業務では、施策立案、対象者抽出実行、コンタクトポリシー除外、チャネル連携、キャンペーン管理、そして効果検証の一連の業務運用が必要となる。従来は情報系システムから取得したデータを、表計算ソフトやデータベースソフトで抽出・加工の上、手運用する体制であった。手作業での運用のため生産性が低く、目標とする施策数が実施できなかった。また、コールセンターと連動しておらず、顧客からキャンペーンの問い合わせを受けた際、回答に多くの時間がかかっていた。
「これまでもマーケティング部門から、マーケティング施策実行支援機能の導入を何度か要請されましたが、費用対効果の面から見送らざるを得ませんでした。今回、途上与信システムと基盤を共通化することで、途上与信システムの運用コストを削減するとともに、マーケティング施策実行支援機能でも目標とする費用対効果が得られると判明したので、新規構築に踏み切りました」と中内氏は説明する。
システム概要
共通基盤に「Oracle Exadata」と「SAS Marketing Automation」を採用
オリコはCTCの支援のもとにシステムを構築している。今回はCTCからの提案によって、アウトソーシングのかたちで途上与信システムの更改、およびマーケティング施策実行支援機能の新規構築を行うことにした。坂口氏は今回のアウトソーシング契約のメリットを「開発コストや納期のリスクをヘッジできたなど、費用対効果を投資判断時に確定できたことにあります」と述べる。
まずは土台となるデータベースを、大量データの高速処理、将来の更なるデータ増も見据えて刷新。複数の製品から比較検討した末、「Oracle Exadata」を採用した。
導入効果
運用コストを大幅削減、実施可能な施策数も増大
2010年初頭からプロジェクトを開始し、2011年11月に本稼働した。早くも狙い通りの効果を達成している。坂口氏は途上与信システムでの効果を「メインフレーム時代は年間多くの費用を要していた運用コストが大幅削減され、目標とする費用対効果を得られるようになりました。もちろん、必要とするパフォーマンスも安定して得られています」と強調する。
マーケティングにおいては、マーケティング施策実行支援機能導入の結果、従来の手作業が解消され、生産性の大幅な向上を達成できた。「当社ではキャンペーンを重視しており、経営層からも手作業では実現が難しい数の施策を要請されています。これまでは手作業での運用のため、実行できる施策数に限界があり要望に応えにくい状況にありましたが、今では同じ人的リソースのまま多くの施策を実施、経営層の要望により近い施策を打てるようになりました」と中内氏は目を細める。
その上、データ分析などキャンペーン業務の属人性が解消され、生産性や精度が更に向上。他にも、コールセンターのオペレータが顧客からのキャンペーン問い合わせに即回答可能となったなど、様々な効果が現れている。
このように従前に課題を解決できたCTCのソリューションについて、中内氏は「私たちの業務に入り込み、抱えている課題の解決策をいつも先回りして提案してくれるので助かりますね。マルチベンダー環境で幅広いポートフォリオから製品やソリューションの最適な組み合わせを提供できる点も、私たちの要望にマッチしています」と評価する。
今後の展望
更なる費用対効果向上を目指す
今後は当面、ユーザー部門が今回整備した両システムの利用を更に促進するためのサポートを行う。同時に基盤についても、「実はOracle Exadataのリソースはまだ余力があり、使い切っていません。その余力を他システムにも活かして、費用対効果をより高めていきたいですね」と坂口氏は展望を述べる。
そして今後も、CTCの支援のもとシステム最適化による競争力強化を推し進めていく。
用語解説
途上与信
クレジットカードやローンカードを利用している既存会員の利用状況や利用傾向を分析し、与信判断を再度行う業務。
Oracle Exadata
大量データの高速処理を可能とするデータベース・アプライアンス。
SAS Marketing Automation
SAS Institute Japan株式会社のマーケティング・キャンペーン管理ソリューション。