事例

東映アニメーション株式会社 様

更新
東映アニメーション株式会社 ロゴイメージ

映像作品の公開サイトをAWSクラウドへ移行した東映アニメーション
移行計画からポリシー/ルール策定、運用までを一貫してCTCに委託

  • CUVIC on AWS

東映アニメーションは、オンプレミス環境で稼働していた映像作品ごとの公開サイトを伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が提案するアマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド環境へ移行した。AWSクラウドへの移行後は、新しい作品や追加コンテンツが登場するたびに発生していたアクセス集中による遅延・停止など障害のリスクが解消され、顧客に安定したサービス提供が可能になったという。

課題と効果

課題
  • 映像作品の公開サイトへのアクセス集中による遅延・停止があった
  • データセンターの廃止によりクラウド移行を急ぐ必要があった

CTCの支援により、映像作品の公開サイトをAWSクラウドへ移行

効果
  • アクセス集中による遅延・停止のない、快適な公開サイトを実現
  • 公開サイト運用にかかる情報システム部門の業務負荷を大幅に軽減

導入事例インタビューデータ

会社名
東映アニメーション株式会社
所在地
〒164-0001 東京都中野区中野4-10-1
設立
1948年
従業員数
840名(連結・2022年3月現在)
事業内容
アニメーションをはじめとする映像作品の企画・製作、IP管理事業ほか
URL
https://www.toei-anim.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 東映アニメーション株式会社 経営管理本部 情報システム部 セキュリティ室 室長 高村 伸人氏

    東映アニメーション株式会社

    経営管理本部 情報システム部
    セキュリティ室
    室長

    高村 伸人氏

課題

データセンター廃止が迫る中 公開サイトのクラウド移行が急務

東映アニメーションは、1956年に東映が旧・日動映画(1948年創業)を買収して創立した日本を代表するアニメーション製作会社。半世紀以上にわたって数々の映像作品を製作し続け、その数は劇場作品258本、テレビ作品231本、総話数約13,300話(2022年3月現在)という日本最大・世界有数規模を誇る。世界各国で放送・配信されている作品も多く、「世界の子ども達と人々に『夢』と『希望』を与える“創発企業”となることを目指す」という経営理念の下、より良い映像作品の製作を続けている。また、IP(知的財産)の新規創出・育成・運営を担うIPホルダー事業にも注力しており、既存のライセンス事業だけでなくIPの主体的な運用を推進している。

そんな東映アニメーションでは、長年にわたり映像作品ごとの公開サイトを開設・運営してきた。それらの公開サイトは、データセンター事業者が提供するハウジングサービスを利用したオンプレミス環境のサーバ上に構築されていたが、しばしばアクセス集中による遅延・停止など障害に見舞われていたという。

「テレビアニメの新シリーズが始まったり新しいコンテンツが追加されたりしたときに、通常時の数十倍ものアクセスが集中し、他の映像作品の公開サイトまで影響を受けて遅延やサーバダウンが毎年のように起きていました。現状のままではもう無理だということでクラウド移行などの対策を検討していたのですが、すべての公開サイトを移行するには規模が大きすぎたこともあり、なかなか着手できないのが実情でした。ところが、2018年末にデータセンター事業者から『2020年にデータセンターを廃止する』という告知があり、いよいよクラウド移行を本格化させる必要に迫られることとなりました」(高村氏)

経緯

クラウド移行の提案を各社に依頼 利用経験とコストからAWSを選定

公開サイトのクラウド移行を急ぐことにした東映アニメーションでは、2019年初にクラウド移行を得意とする複数のシステムインテグレータに提案を依頼した。その結果、インテグレータ3社から回答があり、各社の提案を入念に比較することにした。

「インテグレータ3社からは、移行先のクラウドサービスや移行方法の提案を受けました。すべての公開サイトを移行するとなると相当な費用がかかるため、見積金額を含めた提案内容を2~3カ月かけて慎重に検討しました」(高村氏)

選定

要件適合度と対応能力から CTCを移行パートナーに選定

検討を重ねた東映アニメーションが、最終的にパートナーとして選定したのは伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だった。

「クラウド移行要件に対する適合度、AWSクラウドの運用を含めた対応能力などを比較した結果、CTCにクラウド移行をお願いすることにしました。オンプレミス環境で運用していた公開サイトをAWSで負荷分散する際にもCTCへ依頼しており、その実績や信頼感もCTCを選んだ決め手になっています」(高村氏)

東映アニメーションがCTCと契約し、公開サイトのクラウド移行プロジェクトが始動したのは2019年4月のことだった。

「2020年2月までに従来のデータセンターから出なければならなかったため、まずはサーバとデータの移行を優先して進めることにしました。ただし、私たち情報システム部の業務が多忙で公開サイトのクラウド移行にまで手が回らないので、移行の方法や手順、セキュリティ対策などの計画立案はすべてCTCにお任せしました」(高村氏)

効果

遅延のない公開サイトを実現 情シスの業務負荷軽減も達成

東映アニメーションから依頼を受けたCTCでは、AWSの仮想サーバサービス「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」上にサーバインスタンスを構築し、数百に及ぶ数の公開サイトを順次移行する作業を進めた。基本的にはオンプレミス環境で稼働していた仮想サーバの構成イメージやデータをそのままOVF(Open Virtualization Format)に変換して、CTCのデータセンター経由でAWSクラウドへ移行する計画を立て、まずはEC2に検証用サーバインスタンスを用意してPoC(概念実証)を実施。PoCの結果、過去の映像作品などコンテンツが固定された公開サイトのデータはクラウドストレージ「Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)」、更新頻度が高い人気コンテンツがある公開サイトのデータはコンテンツ配信ネットワーク「Amazon CloudFront」経由でアクセスする方法を採用した。こうしたAWSクラウド側のインフラ上に公開サイトの移行が問題なくできることを確認したのち、およそ1年の期間をかけて移行作業に取り組んだ。

ちなみに、それぞれの公開サイトには作品コンテンツを運営・管理している外部の開発会社が存在しており、移行時はCTCが間接的に開発会社と連携してシステム上の関連性は調べながら慎重に進めていった。一部の公開サイトではCTCがサーバインスタンスを用意して開発会社が移行作業を担当するという方法がとられ、ツールを使った移行が難しい場合は、可搬型ストレージにデータをいったん保存してCTCのデータセンターへ人手で持ち運び、AWSクラウド上へコピーすることも行われた。

「実はオンプレミス環境で公開サイトを運営していたときには、インフラの利用ルールなどを決めていませんでした。しかし、AWSクラウド環境では利用ルールや運用ポリシーを設定しておかなければ、適切な運用は難しいと考えていました。そこで今回のタイミングを機に、AWSクラウド上で稼働する公開サイトの利用ルールと運用ポリシーの策定をCTCにお願いしました」(高村氏)

さらにAWSクラウドの運用管理もCTCに委託。公開サイトの移行だけでなく、サーバインスタンスや仮想サーバの死活監視、セキュリティの運用も含めてCTCが担当している。

「AWSクラウドへ移行したことにより、新しい人気コンテンツを公開してアクセスが集中しても遅延やサーバダウンが一切発生しなくなりました。また、情報システム部門の人的リソースが不足する中、公開サイトの運用管理をCTCに委託したことで業務負荷が大きく軽減されるという効果も得られています」(高村氏)

インフラ全体構成概略図

今後の展望

AWSクラウドのさらなる活用に向け 今後の施策を会社全体で模索

東映アニメーションがAWSクラウドに公開サイトを移行してから2年あまりが経過したが、今後はどのような展開を予定しているのだろうか。

「公開サイトをAWSクラウドへ移行したことにより、インフラのベースラインは出来上がったので、今度はAWSクラウドを使って何をするかという部分にシフトしています。これについては、情報システム部門だけで決められないので、マーケティングやプロモーションなどを担当する各部門とも連携を取りながら、会社全体としてどのようにしていくかを模索しているところです」(高村氏)

そうした取り組みの一環として、従来はそれぞれの開発会社が個別に行っていたコンテンツ管理を、新たに導入するコンテンツ管理システム(CMS)に統合することも進めているという。CTCでは引き続き、東映アニメーションが利用するAWSクラウドのサーバ導入、構築、運用を一貫して支えていくことになるだろう。

  • このページについてツイッターでツイート(新しいウィンドウで開く)
  • このページをフェイスブックでシェア(新しいウィンドウで開く)

この事例に関するお問い合わせはこちら

※記載内容は掲載当時のものであり、変更されている場合がございます。