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株式会社鳥取県情報センター 様

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株式会社鳥取県情報センター ロゴイメージ

企業が取るべき変革の進め方
DXの成否を左右するデータファースト戦略のススメ

  • PowerStore

大量データの利活用をより迅速・柔軟に
商用クラウドのストレージ基盤を増強

鳥取県情報センターは、鳥取県の産業・経済の発展をITの側面から支援する地域密着型のSIベンダーだ。同社は自営の「TICクラウドサービス」の拡充を目指し、パートナー企業の伊藤忠テクノソリューションズのサポートのもと、ストレージ基盤に「Dell PowerStore」(以下、PowerStore)を導入した。これを軸にどのようなビジネス戦略を描いているのか。それは地域の顧客にどのような価値をもたらすのか。鳥取県情報センターの取り組みを考察したい。

導入事例インタビューデータ

会社名
株式会社鳥取県情報センター
所在地
鳥取県鳥取市寺町50番地 NTT寺町ビル
設立
1969年4月1日
URL
https://www.tori-info.co.jp/新しいウィンドウで開く
  • 株式会社鳥取県情報センター ITインフラサービス部 副部長 田中 良祐 氏

    株式会社鳥取県情報センター

    ITインフラサービス部 副部長

    田中 良祐氏

  • 株式会社鳥取県情報センター ITインフラサービス部 リーダー 高橋 健太 氏

    株式会社鳥取県情報センター

    ITインフラサービス部 リーダー

    高橋 健太氏

クラウドをデータ利活用基盤に活用するニーズが拡大

1969年に財団法人として設立して以来、鳥取県内の自治体を中心に、多様な業務システムや情報通信インフラを提供し続ける鳥取県情報センター(以下、TIC)。2009年の株式会社化以降は企業体制を一新し、県内だけに留まらず、県外行政機関や民間企業へのサービス提供や新規分野の開拓など新たな挑戦も積極的に進めている。

また業務システムや情報通信インフラの計画立案から設計・開発・導入・運用管理までサポートできる総合力を生かし、超高速データ通信用ネットワークサービス「鳥取情報ハイウェイ」の設計・構築を担当。その後の運用もTICが担っている。

「地域に根差した活動で培った高い提案力と技術力、きめ細かなサポート力は大きな強みです。長年の経験を生かしつつ、特定のメーカーにとらわれないニュートラルな立場から、お客様にとって最適なサービスおよびソリューションを提供しています」。こう話すのはTICの田中 良祐氏だ。

近年ニーズが高まっているクラウドサービスも自治体向けにいち早く提供を開始した。2010年9月より提供している「TICクラウドサービス」がそれだ。「弊社データセンターとお客様ネットワークを鳥取情報ハイウェイやセキュアな回線で結び、ベンダーロックインのない仮想サーバーを提供するサービスです。業界標準機能を用いることで、高信頼・高パフォーマンスなクラウドサービスを提供します」と田中氏は説明する。

「インフラの構築や運用管理に高額な投資はできない」。「システムやデータは身近な場所でセキュアに管理したい」――。そうした地域ニーズをとらえたTICクラウドサービスは、鳥取県やその近隣をはじめとする多くの自治体や企業に利用されている。

一方、近年はクラウドサービスに対するニーズが次第に変化してきている。「コスト削減や運用のアウトソースを目的とした利用だけでなく、多様なデータを利活用して新たな価値創造や業務変革を推進したいと考えるお客様が増えています」と同社の高橋 健太氏は述べる。実際、データ容量やサーバー台数は大規模化する傾向にあるという。そしてこれを迅速に提供してほしいというニーズも高まっている。「お客様のデータ利活用戦略を支援するため、TICクラウドサービスの基盤を増強することにしたのです」と田中氏は話す。

高信頼・高パフォーマンス、低価格の強みを継承したい

これまで、TICクラウドサービスのストレージ基盤はハイエンドストレージ「Dell EMC XtremIO」(以下、XtremIO)を使用してきた。ストレージ容量はディスク追加で拡張できるが、クラウド利用の大規模化やデータ利活用ニーズの高まりを考えると、ディスク追加だけでは抜本的な解決策にならない。「新たにストレージを追加する方向で増強を考えました」(田中氏)。

サービスを止めることが許されない自治体の顧客が多いため、高信頼・高パフォーマンスというTICクラウドサービスの強みは堅持しなければならない。一方、大量のデータを利用する顧客に迅速にサービスを提供するためには、高効率で高い拡張性も求められる。なおかつ多くの顧客が利用しやすいように、低価格帯でサービスを提供したい――。

この一見相反するような、要件を満たすストレージとして、パートナー企業の伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)から提案されたのが、ミッドレンジストレージの「PowerStore」である。なお、CTCはTICクラウドサービスの構築を支援し、リモート/オンサイトによる保守サポートも担当している。

PowerStoreを提案した理由について、CTC通信キャリアビジネス営業第3部 主任 佐野 修平氏は次のように述べる。

「当社はEMC製品の自営保守サービスを提供しています。この強みを生かし、社内でPowerStoreの事前検証を実施しました。オールフラッシュのPowerStoreは処理が非常に高速で、容量効率も高い。リソースプールやボリューム構成の仕組みもXtremIOを継承し、同等の操作性で運用できます。TICクラウドサービスの設計思想と親和性が非常に高い」

事前検証の結果を受け、TICはPowerStoreの採用を決定した。「コストとパフォーマンスのバランスに優れている。データ容量を4分の1に削減し、できない場合には容量を無償で追加する『データ削減保証プログラム』も大きな魅力でした。高信頼・高パフォーマンスなサービスを低価格で提供する。当社のクラウドコンセプトを維持する上で最適なストレージインフラと判断しました」と田中氏は選定の理由を述べる。

キックオフからわずか2カ月半で新基盤の稼働を開始

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 プラットフォームテクノロジー第2部 舘野 智紀氏

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
プラットフォームテクノロジー第2部
舘野 智紀氏

PowerStoreの導入・構築作業はCTCが担当した。プロジェクトは提案・設計担当のチームと構築・保守担当のチームがタッグを組んで進めた。設計段階から運用を意識したつくり込みが可能になり、保守性もアップするからだ。

今回のプロジェクトチームがPowerStoreを採用するのは初めてだったが、デル・テクノロジーズのサポートにより作業はスムーズに進んだという。

「デル・テクノロジーズのSEはTICクラウドサービスの設計思想を理解し、環境構築のための作業を具体的な設定シートに落とし込んでくれました。分からない点は開発とサポート担当者が連携し、対応も迅速・的確でした。必要に応じて弊社SEにトレーニングも実施してくれたことも心強かった」とCTCの舘野 智紀氏は振り返る。

これにより、ストレージ基盤は実質2週間程度で構築。その後の検証・テストも含めプロジェクト全体は約2カ月半で完了し、新基盤は2021年9月にカットオーバーした。

今回のストレージ増強の契機になった大規模案件の利用開始が2021年9月だったため、このスケジュールは厳守する必要があった。「短期間でカットオーバーできたのはCTCの技術力とデル・テクノロジーズのサポート力のおかげです。大変感謝しています」と高橋氏は語る。

顧客のデータ利活用チャレンジを幅広く支援していく

PowerStoreの導入により、TICクラウドサービスのスケーラビリティは大幅に向上した。「2021年9月から利用を開始したお客様の場合、リソース容量は想定の数倍の規模でしたが、問題なくサービス提供を開始することができました」と高橋氏は満足感を示す。

大量のデータを蓄積し、クラウド上で分析してトライアル&エラーにチャレンジする、といったニーズにも機敏に対応できる。リソースプールもSSDの追加で容易に拡張が可能だ。「将来を見据え、顧客のデータ利活用戦略を支える基盤が整った。これが一番のメリットです。信頼性が高く稼働も安定していることから、今後は自治体向けの仮想サーバー基盤にはPowerStoreを積極的に活用していきます」と田中氏は前を向く。

運用面でのメリットも大きい。「ユーザーインタフェースは分かりやすく、非常に運用がしやすい。スナップショットの利用もシンプルに行える。パフォーマンスやリソース容量も可視化されるため、サービスの監視も効率化できました」(高橋氏)。

なかでも高く評価しているのがデータ削減効果だ。「カタログスペックの謳い文句にとどまらず、重複排除や圧縮により本当にデータを4分の1以下に削減できました」と高橋氏は続ける。データ削減機能はインラインで常時稼働するため、手間もかからない。重複排除や圧縮処理はハードウエアアクセラレーションにより、CPUからオフロードされているため、性能への影響もない。リソース容量を有効活用できるため、低価格というTICクラウドサービスの強みも維持できるという。

最近は民間企業だけでなく自治体でもデータ利活用の期待が高まり、蓄積するデータ量も増大する傾向にある。「AIの活用による価値創造をサポートするなどサービスの付加価値を高め、新たな提案につなげていきたい」と話す田中氏。TICは今後もTICクラウドサービスを軸に、地域の自治体および企業のIT化・デジタル化、そしてデータ利活用戦略を強力に支援していく考えだ。

右:株式会社鳥取県情報センター ITインフラサービス部 副部長 田中 良祐 氏、左:株式会社鳥取県情報センター ITインフラサービス部 リーダー 高橋 健太 氏
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