Technical Report
ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ実証実験
天然ゴムの原料調達サプライチェーンでブロックチェーン技術を用いた伊藤忠商事のトレーサビリティ実証実験。
SDGsの達成にも貢献する取り組みとして注目されています。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
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ブロックチェーン技術で透明性を確保
伊藤忠商事株式会社は、事業投資先や取り扱い商品におけるサプライチェーン上の資源の安定的な調達・供給及び、その流通の透明性確保のため、ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティ・システムの構築に向けた実証実験を開始しました。
実証実験は、伊藤忠商事が100%株式を有する天然ゴム加工会社PT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア)の天然ゴム原料調達サプライチェーンを活用し、CTCが実証実験用のトレーサビリティ・システムを構築しています。
天然ゴムは、日々の生活に欠かせない天然資源の一つで、主にタイやインドネシアなどの東南アジアで生産され、その約7割がタイヤに使用されています。世界的にモータリゼーションが進む中、今後もその需要は伸びていくと予測される一方で、森林減少や地域住民の権利侵害といった課題も報告されていることから、環境や人権に配慮した事業活動を推進していくことが不可欠です。現在、生産者からタイヤメーカーへの納品までには複数の事業者(集荷業者、輸送業者)が関わっており、天然ゴムの流通ではより高い透明性が求められています。
天然ゴムのサプライチェーンと実証実験のイメージ

SDGsの達成にも貢献する取り組み
実証実験では、スマートフォンアプリを利用して、受渡者間で取り引き内容の相互認証を行い、日時・位置情報などと合わせてブロックチェーン上に記録します。これにより、天然ゴムが加工工場に至るまでの流通の透明化を図るものです。また、各事業者の協力を促すため、正しく記録された取り引きに応じて対価を支払う仕組みも用意します。
これは、SDGsの観点でも、労働者の権利の保護や安全・安心な労働環境の実現に寄与することで目標8の「働きがいも、経済成長も」に、森林を含めた自然の管理という点では目標15の「陸の豊かさも守ろう」に貢献する取り組みです。
ブロックチェーンはデータの改竄に対する耐性が高く、本人認証や承認、送金などのトランザクションを管理するシステムに適しています。そのため、全ての人に対する金融サービスである「金融包摂」やIDを利用した公共サービスでの活用が期待されており、CTCは今後もブロックチェーン技術を追求し、その普及に努めていきます。
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